錬金術師の資格
ご閲覧ありがとうございます!
時期が時期だけに…これ書いてる最中手が悴んじゃいまして…誤字とかありましたらすいません…。
フィオラの計らいで錬金術を教えて貰うことになったレン達は、渡された記録を具現化するためのイメージを練っていた。
彼等が錬金術を使い、成功するためには…この記録の"イメージ"をほぼ完全にフィオラと同じものにしなければならない難しい事だった。
錬金術の事は資料や伝記等でしか知り得なかった彼等がまず、基礎的なイメージ連鎖ですら出来るとは限らない。
片隅で見守っている俺は、不安の種しか彼等には感じなかった。
しかし、彼等はそれでもお互いに意見を出しあってイメージを膨らませている様だ。
きっと、これが彼等なりの錬金術への思い…形はどうであれ、仲間と疎通し合うと言うのは、今の状況ではかなり賢い選択なのかもしれないな。
「ジャック、わたし思ったんだけど…素材のベースにはこの『キラメキ』が使われてますよね?
これはカテゴリー【植物】【魔法】を含んでいます、つまり…この完成形の花に加えられる力は…カテゴリー【魔法】が中心になるのでは無いでしょうか?
カイン、クウォーラ…二人もどう思います?」
「流石は情報屋レン様だ…俺達を説得しただけの知識は有るってことだね。
レンの言うとおり、もしこれが魔法によって光るってんなら…」
レンの考察した情報に、ジャックが補足を入れようとした所で、その補足に割って入る様に、カインとクウォーラが前に出た。
どうやら二人も同じ考えを抱いていたらしく、手柄取りの様に言い合っていた。
「はいはい!俺が思うにその魔法は人工的な物じゃなくて、自然から取り込んだ奴を溜め込んで発光してるんじゃ無いかな?」
「あっ!カイン!それ私が言おうと思ってたのに!」
「俺もだぞ!先に言うなよ!」
「まあまあ、ジャックもクウォーラも落ち着いて…これは意見を取り合う所じゃ無くて、意見を共通しなきゃ!」
レンの言う通りだ。
だが…取り合いが出来るほど彼等の考えが同じ方向性で固まっているのであれば、もしかしたら上手く行く可能性はある。
錬金術の主な力はイメージだ。
と、言うことはそのイメージの元となる情報を頭に次々に思い浮かべなくてはならないと言うこと。
見る限り、情報が豊富なレンを中心に…ジャック、カイン、クウォーラの三人もそれに準じる様にして想像を固めていると見える。
志しが同じ仲間と言うのは、もしかしたら想像を超える感覚を共通しあっているのかも知れないな。
と、改めて完成形である『ピカピ花』のイメージを考えている彼等を見ていると、コンコンと実験室の扉を叩く音と声が聞こえた。
「リュウノスケさん、お嬢様。開けて貰えますでしょうか?」
「ああ、リベルさんか…はいよー、ちょっと待ってくれ。」
ノックの主はリベルさんだった。
急いで扉を開けると…何やら美味しそうな臭いが漂ってきた。
よく見ると、リベルさんが頑張っている彼等に差し入れを持ってきたみたいだった。
甘いハチミツの様な臭いに、小麦を焼いたかのような香ばしい風味を漂わせる焼き菓子だ。
勿論ドリンクも用意してくれているようだった。
「皆さん、錬金術の勉強も良いですが…休息も大切ですよ?」
「えっ!?良いんですか!?」
「レンさん…でしたね、それとそこのお三方もどうぞ。
甘いものは精神的な疲れにも効きますし、集中力を高める効果があるとリュウノスケさんに教えて貰いましたので…。」
「ちょ、リベルさん手間良すぎでしょ!」
「そうなんですかリュウノスケさん!?私知らなかったですよ!?」
「あ、ああ。疲れた身体には甘いものが効くって良く言われてな。
実際考え事で疲れきった頭とかにチョコレートとか食べると集中力が続くんだよ。」
「ちょこれーと??」
「あー…フィオラの知らないお菓子だ、気にするな。」
以前リベルさんが家事で疲れていた時に、ふと甘いものに含まれる成分が疲れた身体に良いことを教えたことがあったのだが…丁度考えに耽っている彼等には絶好のタイミングでお菓子を持ってきた物だ。
流石はリベルさん…完璧だな。
「リュウノスケさんの分もありますよ。」
「マジで!?サンキューリベルさん!」
「あのー…私の分はありますかリベルさーん…?」
「…はぁ…お嬢様はさっき食べたでしょう?リュウノスケさんに見つからない様にこそこそ調理場で食べてたの見てましたよ。」
「はわわ!バレてたんですか!?」
「フィオラー……。」
呆れながら彼女を見ると、あははと苦笑いをして誤魔化そうとしたが…直ぐに素直に謝ったのであった。
フィオラは疲れやすいってのは分かるが…少々甘いものを取りすぎだと思うのだ。
だから無駄な栄養がそんな上の大きな膨らみにゲフン!…やはり何でもない。
すると、リベルさんに手渡された菓子を口に運ぼうとしたところで…何やら視線を感じたのだった。
「じーーーっ……。」
「……あげないぞフィオラ……。」
「ジーーーーッ………。」
「だぁぁああ!!分かった半分やるから!
全く…可愛い子には弱いんだから俺…ほらよ。」
「わぁ!ありがとうリュウノスケさん♪
もぐもぐ……うーん♪おいしーですー!」
あまりにも恨めしそうに眺めてくるもんだから、人がいいのか悪いのか…その視線に耐えられず、俺はフィオラにお菓子の半分をあげることにした。
喜んで受け取った彼女は、満面の笑みを浮かべながら…まあとっても可愛い小動物の様にそれを食べている。
うーん…この笑顔守りたい…ジャスティス…。
※※※
リベルさんの持ってきたお菓子を皆で美味しく頂いた後、直ぐに彼等は記録連想に戻った。
驚くことに、フィオラが言うには素晴らしいスピードで情報を纏めているとの事。
度々レンが中心となってメモを施したりしているが…その内容が、増える度に見れば見るほど彼女の思い描くイメージに連なる物へと近づいているのが分かるらしい。
どうやら、彼等を甘く見くびりすぎていたのかもしれないと、フィオラは懸念を表していた。
「もしかしたら…あの皆さん、本当に錬金術を覚えようと思ったら出来るかも知れません…。
特にレンさん…私より歳が下だと言うのにあの情報量とイメージ力…もしかしたら素質は素晴らしい物かもです。」
「俺も思ってた。
多分歳は…15か其処らだろうけど、情報処理に使う時間が他の三人に比べて比にならない早さだ。
まっ、俺ほどとは言わないけどなー?」
「あらら?リュウノスケさんそんなに自信満々に言って…実はレンさんに負けそうと思ってるのでは無いですか?うふふ。」
「ば、バカ言え!まだ俺の方が上だよ。
まあ…そもそも俺は錬金術すら使えないと思うけどな…。」
「そんな事は…リュウノスケさんだって…。」
「いや、分かるんだよ。
そもそも俺はこの世界の人間じゃないしな…世界が違う奴が、その世界の理に介入出来ないことぐらいはある程度理解してるさ。」
出来れば…彼等に混ざって同じように錬金術を行使してみたい。
だけど、俺には彼等の持っている何かが足りないと思うんだ。
例えば魔力。
俺にはそんなものは無いし、錬金術を使う際に発動するのは魔力あってこそだ。
その時点で俺に『資格』が無いことは分かっていた。フィオラは詳しくは何も言わなかったが…きっと彼女も薄々感づいている筈だ。
理解している事が、錬金術を扱う資格にはなり得ない事を。
「……いつか、リュウノスケさんも錬金術が使えるようになれば良いですね…。」
「ああ、そうだな…こんなにワクワクしそうなこと…お預けってのは辛いもんだ。
まあ、俺はその分コイツら見たいな奴等に手を貸してやりたいと思ってるし…それにフィオラの錬金術を手伝えるだけでも充分楽しいけどな?」
「ふふ…本当にお人好しなんですから…リュウノスケさんは…うふふ。
まあ…何でも出来ますもんね?リュウノスケさん♪」
「おうよ!天下の竜之介さんだからな!ははは!」
例え俺自身が錬金術を使えないとしても、それが全て終わりって訳じゃない。
目の前で必死こいてひとつの目標に複数人で挑んでいるように、俺にも夢の一辺を共に背負う相棒が居る。
いや…こっちでは相棒か。
何れにせよ…横で微笑んでいるこの可愛らしい相棒の為に動けるってんなら、俺は満足だ。
まあ…諦めた訳じゃ無いけどな。
と、雑念を巡らせていた俺を他所に、どうやら彼等のその目標に進展があったようで、俺達を呼んでいる。
彼等のサポートもまた、今の俺の大事な役目だからな。
「リュウノスケさん!フィオラさん!気になる部分があるのですが…少しいいですか?」
「おう!レンは気付きがいいな、任せろ!」
「私もイメージが大きくなるように少しお手伝いしますよ♪」
こうして次々に記録を読み解き、様々なイメージを膨らませていく彼等を見守りながら…あっという間に時間は過ぎていった。
フィオラも俺も、既に知っている物であれ…初心に帰りながら共有して話を展開できる彼等との会話に、夢中になっていたのだった。




