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フラワーアルケミストと異世界旅行 作者:此峰 優
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欠けたピース、共鳴再び

ご閲覧ありがとうございます!
 最近シリアス多い…多くない?(シラナイヨ)
 偶然は、俺達に味方することは無かった。

 あの時の偶然は、もう起こらなかったのだ。

 信じていた…信じざるを得なかった存在に、裏切られた感触を、心の奥底で感じ取りながらも…直ぐに現実へと目を向ける竜之介。

 四人手を合わせ、その"奇跡"を待つしかないレン達に…これ以上自分の考えを押し付ける事は出来るのだろうか。
 "共鳴"は失敗した。だが、彼等は諦めていない。

 身体に負担が掛かっているのは目に見えて分かるが…それでも彼等は不安と葛藤の中でも、その目の輝きだけは絶やすことは無かった。

 俺を見つめ、まだ何か…何か方法があるのではないかと、そう訴えてくる。

 俺はさっき言った、もう術は無いと…だけど、この期待だけは裏切れない。
 そんな彼等の、窮地に置いても現実に向ける真っ直ぐな目を見て、俺はもう一度だけ冷静になることを決めた。

「リュウノスケさん!箱の魔力濃度が上がってます!
 このままだと私でもどうなるか分かりません…どうしたら…。」

「フィオラ…まだだ…例え"共鳴"を使えなくても…錬金術の暴走を止める方法が…いや、違う、それは甘えだ。

『俺はこの窮地を救う方法を一つしか知らない』…だから、行き当たりばったりに手探りするよりか確実だ…。」


 ここであれこれ試す時間はない、それに先程より吹き荒れる風や力を更に強く感じる…チャンスは持ってあと一回だろう。

 その一回で俺は…もう一度"共鳴"を引き出して見せる。

 彼等もその意図を自然に感じ取ったのか、諦めることをしなかった俺の目を見て…静かに頷いた。
 彼等は俺を信じて居る。俺の言ったことを…手を合わせながらイメージする事をまだ続けているのだ。

 赤く光る箱から溢れる光は、そんな彼等を均等に包む…皮肉な物だ、この窮地で光の調和が取れているとはな…。

「……いやちょっと待て!何で光の調和が成り立っているんだ!?
 全員同じ光の量、色は…赤いが、量はさっきとは比べ物にならない位多い筈なのに均等にそれぞれの面から出ている…。」

「えっ!?あ、本当ですね!わたしもジャックも…カインもクウォーラも…さっきより安定している気が…。」

 レンの言う通り、彼等の光の調和が何故か取れているのだ。
 暴走は、光のバランスが崩れたのが原因だった筈だ…なのに、今はバランスが取れる所か安定すら見える。

 相変わらず色は赤く、未だに彼等の魔力を無尽蔵に吸っているのは確かだが…。

 と、なると…暴走が止まってもいい筈だ。原因は取り除かれたからな…だけど止まらない。

「…もしかして…暴走の原因は他にもあるのか!?
 幸いにも俺が指示した事でイメージの均衡が取れているのは今分かった…だが…何か足りないのか…?」

 俺は今一度、湖での錬金術…俺とフィオラが再度共鳴し、錬金術を成功させたいあの時の事を振り返った。

 あの時は…俺が彼女の身体に触れ…同じ事を、記録(レシピ)の具現化に至るイメージを極限まで考えて…それから…。

 そこまで考えた所で、俺はあることに気付いた。

 彼女が…フィオラが錬金術を成功させる為に、毎回欠かさず行ってきた…大切な事が一つ、欠けているのだ。

 最初の一回目の共鳴の理由は…流石に偶然かもしれない。
 だが、俺が偶然だと思っていた二回目…『錬金術行使に置ける共鳴』は、偶然じゃなかったとしたら。

 そこで俺は急遽、フィオラに『錬金術の仕上げ』について聞き出した。

「フィオラ!君がいつも錬金術を終わらせる時、何か呟いてたよな!?
 そう言えば俺が"共鳴"を使ってフィオラと錬金術を成功させた時も…自然と口から出てきたけど…あの『言葉』ってなんだ!?」

 そう、俺が目をつけたのは錬金術の最後に彼女が呟く『言葉』だ。

 大地の…何とかかんとか…見たいな事を毎回欠かさず呟いているんだ。
 "俺が知っている錬金術"の中には、あとそれだけしか欠けていなかった。

 彼女は少々焦り、あわあわしながら答えてくれた。

「えっ!?えっと…えっとですね!あれは私がいつも癖と言うか…なんと言うか、素材に感謝をして言ってる言葉って言うか何といいますか…。」

「『素材に感謝』……それだ!!ナイスフィオラ!!」

「ええっ!?あ、ありがとうございます!?」

 俺は彼女から聞いた最後のピースを、頭の中に当てはめた。

 これまで何か足りないと感じていたのはこれだったのか…。

 そもそも錬金術と言うのは、自然の力を借りて…魔力と精神力を行使する事で出来る神秘の力だ。
 ある意味…『自然の力を借りて奇跡を起こす力』なのだ。つまり、一方的に自然の力を借りるだけでは…応えてくれないのかもしれないと感じた。

 フィオラがその言葉を呟くのは自然の力に対しての恩赦感情を抱いているからだ。
 一方彼等はそれを知らない…つまり『便利な方法』として錬金術を見ていた可能性が高い筈だ。

 半分暴論に近くはなるが…箱は精神力やイメージ…つまり『思考』を感じ取っているのだろう。
 『奇跡を扱う為』の、それに対する感情や何かも感じていたんだ…。

 いや、まだ分からない、これは仮説だ。
 だが…俺の知っている範囲で思い付くのはこれだけだった。
 そう思ったとき、俺は直ぐ様彼等にその仮説について迅速に話をした。

「よし…いいかお前ら!イメージや集中力をそのままに…出来るだけこの力に対して感謝をするんだ!極論だけどな!」

「は!?えっ?何それ!?」

「どう言うこと!?」

「私らが分かる範囲で説明して…」

「そんな時間はないッッ!!」

「「すいませんッ!!!」」

 そう彼等に言うと、どうやらレンはその意図が掴めているようで、代わりにその事をシンプルにまとめて貰った。

 感謝の意味、錬金術とはそもそも何か…元を辿れば自然の力だと言うことを、レンは直ぐ様理解しジャック達に簡単に説明した。
 最初こそ首を傾げていたが…彼等もそこまでバカではない、直ぐに意図を掴んでくれたようだ。

「よし、理解したな。
 ズバリ…それを錬金術に対して積極的に示す事が出来れば…恐らく今度こそ暴走を止められる筈だ。
 多分だが、シンプルに思えば…『この箱は生きている』…と、そう考えた方がいいのかも知れないな。

 力を…便利な『理想』を提供する代わりに…その者のイメージ、つまり思考と魔力を取引する…そんな感じだ!」

 人間と同じだ、この箱も…感情に近い何かを持っているとしか考えられなかった。
 レンは頷くと、問いかけるようにジャック達へと言葉を掛ける。

「分かりました…みんな!錬金術とは何か…行ってみてください!」

「錬金術とは神秘を写す鏡であり!」

「錬金術とは奇跡を持って人を救う力である!」

「故に私達は…その力を恩義を持って扱う事ですわ!」

 レンが三人に言うと、彼等はそう答えた。
 心の底から思いを伝える様に…怒り狂う惑いの光を放つその箱に対して、そう言葉を放った。

 すると…僅かではあるが、箱の一部…赤く点滅するラインが次第に青い光を再び帯び始めたではないか。

 確実に彼等の言葉や思いは伝わっている…どうやら、俺の仮説は当たっていたみたいだ。

「いいぞ!箱が反応し始めた!
後は……成功させたい思いをぶつけるだけだ!」

「はい!リュウノスケさ…っ!!」

「な…っ!レンッ!!」

 ふと、急にレンが言葉を詰まらせたと思った瞬間…まるで力が急に抜けたように…ふらっと倒れそうになってしまった。

 俺はすぐに察し…反射的に彼女の手を掴んだ。
お陰で何とか倒れる事は無かったが、ずっと魔力を吸われている…と言うのを忘れていた。

 体力も限界の筈だ、錬成開始からもう1時間は経っている…この小さな身体では辛い部分もあった筈だ。

 だが、俺が彼女の体制を戻すと、頷いてまだやれると…そう意思表明をした。
 途中で投げ出すことは許されない…と言いたげな彼女のその顔を見て、俺は三人から離れてしまったその手を再び繋ぎ直した。

「ありがとうございます…リュウノスケさん。」

「レン…大丈夫だぞ。
 それにあんた達には俺が付いてる…だから、最後にもう一回だけ…その力と思いを振り絞って頑張ってくれ!」

「少年…。」

「ジャック、カイン、クウォーラ…そしてレン。
俺がこうやってあんた達の手を繋いで居てやる…。
 こうして触れていると…あんたらの苦労や経験、思いが俺伝わる気がする。

 だから、最後に…俺を、錬金術を信じてくれ。」

 俺は彼等の手を上下に包むように…絶対に離さないようにして、箱の斜角から手を差し出す。

 温もりと繋がりを、俺が支えるんだ。
この錬金術を必ず成功に導くと約束したからな。

 彼等はお互いに最後のアイコンタクトを交わすと…俺を見つめ、とある言葉を無意識の様に呟く。
 それは彼等に触れている俺も…自然と口から溢れるように、呟いていた。



『神秘に抱かれた蜜を、その身に宿す小さな光の力を…我らに!』


────※※※
 そう、声を揃え…言葉を発した瞬間だった。

 俺は、再び…あの時と同じ感覚に襲われる。
光の糸が三本…いや、四本…お互いに繋がれるような…そんなイメージが、感覚が、俺の身体を突き抜けた。

 そして、またプツン…と、何かが切れる様な音がした。


「これは!!」

「眩しい!」

「何だこれ…光の中から…イメージが沸き上がってくる…?」

「これ……記憶…?」

 それまで赤黒く光を放っていた箱は、言葉を呟いた瞬間に、その忌まわしい光を途端に青い希望の色へと変化させた。
 ぶわっ!と大量の光が箱から飛び出す。
温もりと、希望に溢れたその神秘の光は…手を繋ぐ五人を包み込んだ。

 そして同時に…レンの首に掛けていた『賢者の花』は更に強烈な光と風を放ち…この部屋を一瞬にして包み込んだ。

 そんな光の中…側面で見守っていた少女…フィオラは見ていた…いや、見てしまった。

 光と強烈な風によって視界を奪われていくそんな中で、彼女は見た。

 彼等四人の…レン達の手を繋げていた竜之介の身体に…その光が集まっていくのを。


「リュウノスケさん…!?」

 思わずそう途端に叫んだ彼女の声に反応した彼は、光に包まれる瞬間…一瞬だけはっ!と振り向いた。

 冷静なその表情…そんな彼の目を見たフィオラは驚いた。

 竜之介の瞳は……これまでの黒い優しい瞳ではなく…彼を包み込む光の様に…澄んだ青色の瞳へと変わっていたのを。
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