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巨大な影

ご閲覧ありがとうございます!

食いしん坊な女の子って皆さんどう思います?

因みにゴリラのお兄さんはバナナを突っ込んで…あっ別にそう言うバナn(自重

「どうだ?見つかったか?」


「うーん…分かんないや、この花の近くにあるのは分かるんだけど…。」


「おいおいミッシェル…分かるんじゃなかったのかよ。」


「実物は見たこと無かったのー!この花の近くにあるって聞いたから直ぐに見つかると思ったんだけど…どれなんだろう…。」


「はぁ…勘弁してくれよー…。」


 フィオラの錬金術で作った『オオブネダケ』の上から、湖面に群生したエメラルドの花…"ミッシェルの花"の近くを渡航していた。

 フィオラは魔法でこのオオブネダケを動かすのに集中しているせいで、探すのは俺達だ。

 止まって探すのもいいが…そもそもそこになければ意味がないので、動きながら探索の方が効率が良いと思ったのだが…どうやら上手く行っていない。


 肝心の依頼物が見つからない。"グジラボール"があるのはこの周辺の筈なんだが…。


「なあミッシェル、グジラボールは『生物循環式』の【エリクシール】素材だと言ったよな?

 具体的にその…"生物循環"ってのはどういう事を示しているんだ?特に今回の(モノ)は。」


「うーんそれなんだけどね、確か…動物をどうこうして…それを食べた何かがパーッ!と何か落として…それを植物がパクーッ!ってしたのがそれ!…だったかな?分かった?」



「うん、全くわかんねぇ。

 教科書通りの典型的なアホの娘発言過ぎて何処から突っ込んだら良いのかわかんねぇやうん。」


 生物循環って聞いているのにこれではどういう事なのか全くわからん。

 辛うじて分かるのは"動物を食べた何か"が関係していると言うこと。

 動物を食べる…そう言えば、岸辺の亡骸…小動物の死骸があったが…あれと何か関係があるのだろうか?

 だとしたら…あれを起こした物が"グジラボール"に関係してるのだろうか。


 色々と考察しながら湖面を進み、探索を続けるも、それらしきものは見つけることすら出来なかった。


 途方に暮れながら水面を眺めていると、群衆したミッシェルの花の根が気になった。

 ふと、船を止めて湖面の花を手に取った…すると持ち上げた時に、水中から根が出てくるのだが、かなり高く持ち上げてもその根は絶えず、どこまでも伸びていた。

 不思議に思って目を凝らして水中を見ると…花の周辺にはいくつもの根が張り巡らされていた。


「な、なんじゃこりゃ。まるで網みたいに絡まって…しかも長い!水草にしては根っこが長すぎるんじゃないか?そんなに水は深くないのに…地面に根を張ると言うよりは、まるで水中その物(・・・・・)に根を張っている…。」


 疑問をそのまま口に出しながら、不思議そうに水中の根を見ていた。

 俺が疑問に頭を使っていると、横からミッシェルがこの花の特徴を教えてくれた。


 ミッシェルは手にその花を持つと、少し引っ張りあげ…根を見せる。その根の一部分と、水中の様子を俺に見せながら、説明してくれた。


「リュウノスケ!これね、ここを見てもらえるかな?」


 彼女が根の一部分を指差して俺に押し付ける。

示した部分には幾つものヒダヒダがついていて…ウネウネ動いている。まるで別の生物の様に動いているのだが、非常に興味深い。


「まるでそこだけ触手みたいに動いてやがるな…これがどうしたんだ?」


「これを踏まえてよーく水中を見てみてよ!ほら!彼処(あそこ)とか?」


 今度は彼女が水中の根を見ろと指を指した。

その指が指し示した部分…水中で動いている根の一部の近くだ、どうやら魚が泳いでいる。

 何かあるのかと思い見ていると、その部分に泳いでいた魚に変化が現れた。


「なっ!?魚が!?」


「ふふっ、始まったね。」


 何と、泳いでいた小魚に触れるように、その根についていたヒダが絡まっていく。

 身動きを取れなくなった魚が更に暴れ、そして更に根が絡まっていく…その様子はまさに"補食"。

 この花は…今、魚を補食しているのだ。


「補食…してんのか?」


「お腹が減ってたんだね!実はこのお花は水面に住んでいるお魚や、溺れた動物…とにかく生きてる動物の体から養分を吸いとって生きてるんだー…面白いでしょ!」


「いやこえぇよ!さっき思いっきり触っちゃったよ!養分吸われるとか怖いわ!」


「相当お腹空いてたんだねー!あっという間に食べ終わっちゃったみたい!」


「うわぁ…マルテッタさんが"ミッシェル"って名前付けたのって…えぇ…。」


「食いしん坊な所はそっくりだよね!」


「お前はもうちょっと食欲を抑えろよな…って言った側から何食っとんねん!あー!確かにそうやって無作為に突然食い始める所とかそっくりだなおい!」


「それほどでもないね!」


「誉めてねぇんだよぉ!」


 俺が話終わる前に、またしても何処からか取り出した巨大なお菓子を頬張っているミッシェル。

 "食いしん坊なお花"ねぇ…綺麗だけど裏返せばこれとは恐ろしいわ。綺麗な花には(どく)…じゃなくて(しょく)ってか。


 まあでも変わった植物なのは言わずもがな、とても興味深いな。特に生物から養分を取る何てのは面白い。

 養分があるなら何でも食べそうだ…ここには落ちたくない物だな。


 と、花について話ながらも、目的の物を探しては居るんだが…やはり見当たらない。

 ここは一旦岸に戻って考えた方が良さそうだな…。


「すまないフィオラ、一旦岸に戻れるか?」


「分かりました!どうやら探しても(らち)が空かなさそうですからね…。」


「ほーひへはひんはほうへー?」


「口に物入れながら喋るんじゃありません!お兄さん聞き取れないし何言ってるか分かんないぞ!」


 ミッシェルはやっと半分そのお菓子を食べた所で、ハムスターの様に頬張っていたお菓子を飲み込んだ。

 幸せそうな顔をしてにまーっと笑っている。ほんとマジハムスターだな…可愛く見えてきたぞ。


 可愛いのは良いんだが、食べているだけではなくて探してほしいものだ。

 それに…案外お菓子の匂いが香ばしくて俺の腹にダイレクトアタックしてくるから勘弁してほしいと思っていた。


「食べるのも良いけど働けよ?フィオラだってずっと動いてるんだからな?」


「はーい!じゃあ早く食べちゃおー!えへへー。」


「全く…はぁ、見つかんないし時間も結構掛かってるなぁ…夕暮れにならなきゃ良いけど。」


 ミッシェルに注意しながら、マンネリ化したその探索作業に疲労を感じていた。

 モタモタしていると夕暮れになる…勿論街灯や明かりと言った物はせっちされてなど居ないし、持ってるって言っても懐中電灯だけだ。

 夜になったら捜索所か帰るのも危ないし、何があるか分からない。早めに見つけたいんだけどな…。


「大きく作りすぎちゃったかな?まあいいや!あー…むっ…ってあれ?あれあれ!?」


「どうした?ミッシェル?」


「あれ!?今手に持ってたお菓子は!?」


「はあ?食べたんじゃ無いのか?

食べたの忘れるとは…流石にそんな歳じゃ無いだろ?」


「違うんだってー!今確かに…しかも結構余ってて…あれー?」


 何やらミッシェルが食べてないお菓子が消えたと言っている。

 そんなわけ無いだろうと言うも、私は食べきってないのにーと駄々をこねる。

 だとしたら落としたんじゃないのか?と思って水面を見るも、その影は無い。やっぱり食べたのではないか?


 それにしても…何だか影が出てきたな。

 雲でも出てきたか?だとしたら早く探さないとまずいかも知れないな。


 と、俺が悠長に座っていると、お菓子を探していたミッシェルが上を向いた。

 そして、空を見たミッシェルがピタリと止まり、その表情がどんどんと曇っていく…あわあわと汗を雨の様に流して…どうしたんだろうか。


「あわわわ…どうしよぉ…。」


「どうしたミッシェル?そんなに慌てて…何かヤバい物でも見た…か?」


 俺も釣られて彼女の見る上空に目を向けた。


 すっぽりと船を包む影の下から、影を作ってるであろう上空の雲を見るつもりで顔をあげた。


 だがその時、俺が見たのは雲では無かった…。


 その上空にあったのは…彼女が慌てるほどの巨大な何か…だった。


「これ…は…鳥か?にしても…デカすぎ…る!?」


「ま…ま…まーーー!!!」


 上空に覆い被さる巨大な影…そこには、巨大な翼と鋭く光った光沢のあるクチバシ…凶器になり得る巨大な三本足を付けた姿。


 そう…ただただデカイ…鳥だった。


「にびゃぁああ!魔物だーーー!!キャーーー!!」


『クルッボォオオオ!!!』


 威嚇とも取れる強烈な咆哮を上げるその影。


 上空に突如現れた物はこの湖に出ると言われていた…魔物その物だった。

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