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32 サロンに花飾り

火曜日・木曜日・土曜日の21時前に更新しています。

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本来はフランス語で交わされている会話の原文を下に載せていますので、

雰囲気もあわせて楽しんでいただければ嬉しいです。

 かんざし作りがひと段落したところで、道具類が片付けられ、お茶の時間となった。


 カトリーヌは色とりどりの花をひたすら作り続け、ちょっとした山が出来上がっていた。その横では、マノンは自分のところの従業員と話しながら、小花を組み合わせた、様々なデザインモデルを並べていた。そして、クレモンスは完成させた花の数こそ多くないが、細かく記録をつけていたので、紙の束があった。私は成人式で作った髪飾りを思い出しながら、持参した半球の土台に花びらを貼り、大輪の菊を作っていた。


「Je me demande si on pourrait présenter ces magnifiques œuvres au prochain Salon d’Automne.」

(この花飾り、次の秋のサロンに出品できないかしら)

 マノンが話の流れで提案してきた。


「Salon?」

 どうしても美容サロンしか思い浮かばず、頭の中でエステ店の看板がちらついた。いや、確か意味は応接間だった気がする。そこにつまみ細工を飾りたいということだろうか?


「Le Salon d’Automne est une exposition où l’on présente chaque année de nouvelles techniques et de nouveaux modèles dans divers domaines. Il se tient en novembre dans la capitale. Je me demandais si ces œuvres pourraient y être exposées.」

(秋のサロンは、各分野の新しい技術や意匠を発表する展示会よ。毎年11月に王都で開かれるの。そこにこの飾りをどうかなと思って)


 マノンの話から推測するに、サロンは場所でなく、デザインや技術系の展示会のようだ。そこに参加できるなら、楽しそうだ。


「確かに、召喚人の持ち込んだ新しい技術だから、出品するに値するわね。」

 意外にもクレモンスが乗り気になっている。


「それに可愛いし。」

 カトリーヌもすかさず口を挟む。


「そうでなくても、この花細工の作り方は画期的よ。特別な技術も材料も道具もなく作れるのだから。」

 マノンは意外に熱い口調で続けた。


「でも、日程的には問題ないかしら?」

 クレモンスが冷静につっこみを入れる。


「参加募集の締切自体は過ぎているけれど、毎年トラブルで出品できなくなる工房があるの。しかるべきルートで交渉すれば、そこにすべり込めるはずよ。 」

「それに、制作日程も、細工自体はそんなに複雑でないから、うちの工房で作らせれば、多分間に合うわ。今日、うちのクララが基本を覚えたから、明日から早速、試作をはじめられるし。どうかしら、舞花?」


 マノンに急にふられて、一瞬固まってしまった。

 そんな私に、三人の視線が集まる。


「え、私が決めるの?」


「だって、これはあなたが持ち込んだ技術よ。それにデザインもあなたの故郷のものでしょ。出品するとしたら、あなたの名義よ。私たちはあくまでサポート。」

 カトリーヌの言葉に、他のふたりもうなずく。


「そうなのね。じゃあ......楽しそうだから、参加してみたい。」


「やった!」

 カトリーヌが喜び、マノンが指示を出し始める。

「デザインは、舞花とカトリーヌにお願い出来るかしら。私は工房の手はずを整えるわ。クレモンスは…」

「私はサロン出品の手続きとボーモン家の許可取りをするわ」

「助かるわ。」


 早速、マノンはお茶を飲み干して、クララと帰宅し、クレモンスはエレオノール宛に説明とお願いの手紙をしたためた。カトリーヌの喜びのおしゃべりを聞き流しながら、私はなんだか熱に浮かされてきた。




 その夜、夕食の席でエレオノールがサロンについて話を切り出してきた。

「今日のワークショップは上手くいったようね。」

「はい。楽しかったです。」

「この前のお茶会でつけていたブドウの髪飾りもよかったものね。皆さん自作だと聞いて驚いていたわ。」

「ありがとうございます。それで、今度サロンに出品できないかという話になったんです。」

「手紙は読んだわ。とてもいい考えね。聞いてみるわね。返事は明後日まで待ってもらえるかしら。」

「わかりました。ありがとうございます。」


 マキシミリアンは何も言わず席を立ったが、アントワーヌが不満げに尋ねてきた。


「Maïka, vous allez participer au Salon d’Automne?」

(舞花、サロンに参加するのかい)

 ワークショップへの送り出しも嫌がった彼が、サロンの出品を快く喜んでくれるはずがなかった。


「Si c’est possible…」(可能ならば……)

「Les cours ――」(授業は――)

「Je continue」(続けます)

「Ça va?」 (大丈夫なのかい)

「Je pense que ça va.」(多分)


 しかし、今はアントワーヌ先生の納得していない視線が全く気にならない。急に浮上した大型イベント参加に心が躍り、頭のなかは、新しい髪飾りの花々でいっぱいだった。


お茶会の会話

«Je me demande si on pourrait présenter ces magnifiques œuvres au prochain Salon d’Automne.»

«Salon?»

«Le Salon d’Automne est une exposition où l’on présente chaque année de nouvelles techniques et de nouveaux modèles dans divers domaines. Il se tient en novembre dans la capitale. Je me demandais si ces œuvres pourraient y être exposées.»

« C’est vrai. Puisque c’est une technique nouvelle apportée par Maïka, cela mérite d’être présenté. »

« Et puis, c’est joli ! »

« Même sans cela, cette méthode est remarquable. On peut créer ces fleurs sans outils spéciaux, sans matériaux rares, ni savoir-faire compliqué. C’est justement ce qui la rend innovante. »

« Mais… au niveau du délai, est-ce encore possible ? »

« La date d’inscription est déjà passée. Mais chaque année, certains ateliers se retirent à cause d’imprévus. Si nous faisons intervenir les bons intermédiaires, il devrait être possible d’obtenir une place. »

« Quant à la production, ces accessoires ne sont pas si compliqués à fabriquer. Si mon atelier s’en charge, nous pouvons probablement tenir les délais. Clara a déjà compris la base aujourd’hui, elle pourra commencer les essais dès demain. Alors, veux-tu y participer, Maïka ? »

« Euh… c’est à moi de décider ? »

« Bien sûr. C’est toi qui as apporté cette technique. Et le design vient aussi de ton pays, non ? La participation se fera sous ton nom. Nous, nous sommes seulement là pour t’aider. »

« Je vois… Alors… c'est intéressant, donc je veux faire. »

« Oui ! »

« Dans ce cas, Maïka et Catherine, je vous confie les dessins. Moi, je m’occupe de préparer l’atelier. Clémence… ? »

« Je prendrai en charge les démarches pour le Salon et l’autorisation auprès des Beaumont. »

« Parfait. Merci. »


夕食の席

« Il semble que l’atelier d’aujourd’hui ait été une réussite. »

« Oui. C’était très amusant. »

«L’accessoire en raisin que vous portiez l’autre jour était déjà charmant. Nous avons été surprises d’apprendre qu’il était fait à la main. »

« Merci. Et… je veux participer au Salon d’Automne. »

« J’ai lu la lettre de Clémence. C’est une très belle idée. Je vais me renseigner. Pourriez-vous attendre la réponse après-demain ? »

« D’accord. Merci beaucoup. »

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