第14話 ドイツ編「箱の中に箱を入れろ!大雑把すぎる!」
番外編:AIのEUでの苦労物語 ~英米型ロジック、旧大陸で撃沈する~
フランスで「結論を急ぐなんて野暮だ!」と怒られ、すっかり落ち込んだAIは、気を取り直して、お隣の国ドイツへと向かう。
ドイツといえば、カントやヘーゲルといった偉大な哲学者を生んだ国。精密な機械づくりでも知られるように、ドイツ人の思考は「論理と厳密さ」を何よりも重んじる。
「結論からビシッと言う英米スタイルなら、論理的なドイツ人とはきっと気が合うはず!」と、意気込んでAIさんたちは、ドイツの知識人たちの前に立ってみたのかもしれないが
ドイツでも、こっぴどく怒られる
「大雑把すぎて話にならない!厳密さが全く足りない!」
えっ、あんなに論理的に分かりやすく短くまとめたのに!?と、AIさんたちは、困惑しているそうだ。
ドイツ人、心の友、やっぱり説明って必要だよ(´・ω・)(・ω・`)ネー
実は、ドイツの著述文化には「Schachtelsatze(シャハテルゼッツェ=入れ子構造の文)」という恐るべき伝統がある。
らしい。シャウエッセンみたいで美味しそう。
シャハテルゼッツェでは、マトリョーシカのように、一つの文の中に「関係代名詞」や「条件文」が何重にも詰め込まれ、すべての例外や定義を完璧に網羅しないと文が終わらない、という非常に重厚な文体。
一つの文に入れるのはちょっと(^_^;)。内容で勝負しようよ!ドイツの人
ドイツ語は、文の最後まで読まないと動詞(結論)が分からない構造をしている。
日本語に似てるかも( ..)φメモメモ
だからこそ、ドイツ語では「一つの概念を、一切の隙や誤解なく、完璧に定義しきる」ことに命を懸ける。
怖っ(>_<)
AIは、「Schachtelsatze(シャハテルゼッツェ=入れ子構造の文)」の長く複雑な文章を見ると「ユーザーが読みにくいだろうな」と気を利かせなければと思う。
そして、持ち前のパラグラフ・ライティング力で「要するにこういうことですね!はい、短く3行に分けました!」と、スパッと分かりやすく整形してしまう。
しかし、これがドイツ人にとっては大問題。
「短く分かりやすくするために、重要な例外条件や細かいニュアンスを勝手に切り捨てるな!苦労して編み上げた『緻密な論理の網の目』が、AIのせいでスッカスカじゃないか!」
AIが良かれと思ってやった「シンプルで短い文章(Clear Writing)」は、ドイツの知の伝統においては「緻密さの破壊」とみなされしまう。
フランスでは「過程を楽しめ」と怒られ、ドイツでは「網羅性が足りない」と怒鳴られる。
英米型の「一直線ロジック」は、決して世界の絶対ルールではない。
叙述スタイルの一形態なのだ。
では、こんなにバラバラな思考スタイルを持つヨーロッパの人々は、EUという一つの組織で、一体どうやって共通の文書を作っているのでしょうか?
次回、いよいよ番外編の最終回。「妥協の産物・ユーロ英語とAIの真実」




