#ONE「突然の訪問」
カーテンの隙間から差し込む朝日と、けたたましいアラーム音。
それが、ロアの一日の始まりだった。
ロングの黒髪を揺らしながら目を覚ましたロアは、窓を開けて外の空気を吸い込む。
肺いっぱいに満たした空気を、ゆっくりと体に巡らせる。
そして――
「よーーーし!!今日も一日がんばるぞーー!!」
近所迷惑ギリギリの大声。
だがこれは、今日でちょうど一年続いている彼女の日課だった。
(今日は記念日だし……仕事早く終わらせてケーキ買おう)
そんなささやかな決意を胸に、ロアは朝食へ向かう。
料理の腕?
――壊滅的である。
過去に一度だけ人に振る舞ったことがあるが、結果は惨敗。
客は無言で席を立ち、その後――吐いた。
よって今日も安定のコンビニカツ丼。
朝から重い?そんな言葉はロアには通じない。
なぜなら――
ロアはカツ丼が大好物だからだ。
その後、朝風呂を済ませ、身支度を整える。
時計は朝8時。家を出るにはまだ少し早い。
(じゃあコーヒーでも――)
そう思いキッチンへ向かった、その瞬間。
――ピンポーン。
インターホンが鳴った。
一人暮らしのロアに代わりに出る人間はいない。
仕方なく玄関へ向かい、ドアを開ける。
そこに立っていたのは――
完璧な所作の執事と、冷たい声を持つメイドだった。
「貴方が……ロア様でございますでしょうか?」
想像以上に低く、真っ直ぐな声。
「は、はいっ!そ、そうですっ!わ、私がロアでございまっ――!」
噛んだ。
盛大に噛んだ。
羞恥に悶えるロアをよそに、執事は無表情のまま言う。
「確認できて何よりです。では、ついて来ていただけますか」
返事を待たず歩き出す二人。
ロアは慌てて後を追った。
(なんか……機械みたいな人たちだな……)




