13話 クラスメイトからの質問攻め
登校中に絡んできた元・幼馴染を振り切り、俺と星良は二人仲良く自分たちのクラスにたどり着く。
教室に入ると同時、クラスメイト達からの疑念に満ちた視線が俺と星良の二人に突き刺さった。
「え、何で北條さんが大道君と?」
「あいつ、何で星良さんと一緒に登校してんだよ?」
男子達からの嫉妬の入り混じった視線、女子達からの困惑の視線に晒されながら、俺の中ではやはりこうなってしまったかと内心で溜息を吐いた。
このクラス、というよりもこの学園において星良は誰もが知る文武両道、容姿端麗の超美少女。
それに引き換えこの俺はクラス内でも特に目立たず、ありふれたモブ男子。
そんな不釣り合いな二人が仲良く同時に教室に入れば、クラスメイトから奇異の目を向けられても仕方がないだろう。
「おはようみんな」
どう対処すべきか悩んでいる俺とは裏腹に、星良は普段通りにクラスメイト達に挨拶をしていく。
この困惑の空気漂う教室の状況でも、一切動じない星良の胆力に感心すらしてしまう。
「ねえ北條さん。どうして大道君とその……一緒に登校してるの?」
クラスの女子が俺をチラチラと横目で見つつ、やはりの疑問をぶつけていた。
正直に言えばだ、俺としてはまだここで交際の件を話すべきか悩んでしまった。
何しろどう考えてもアンバランスな関係なのだ。俺個人が強く当たられるのはまだいいが、下手をすれば星良にまで被害が及びかねない。
だから俺は慎重に言葉を選ぶよう星良に耳打ちしようとするが、それよりも先に彼女は笑顔を維持したままこう返した。
「実は私と誠也君、昨日から正式にお付き合いする事になったの。一緒に登校したのは私が誠也君と一緒に居たかったからよ」
あまりにもどストレートな発言に質問した女子はおろか、隣に居た俺も、クラス内の皆までもが数瞬の間、口をつぐんで黙り込む。
しばし賑わっていた教室がしーんと静まり……そして間を空けて全ての生徒が騒ぎ出す。
「ええええええええッ!?」
「ちょっ、どういうこと?」
「あの北條さんに彼氏ができるなんて!?」
「おいコラ大道、ちゃんと説明しろッ!?」
一斉に男子連中は俺に、女子連中は星良へと詰め寄って根掘り葉掘り聞き出そうとする。
いきなり押しかけられて俺はしどろもどろ状態になってしまう。
とゆーかほとんどの男子の目が怖すぎた。嫉妬の混じったその視線には羨みを通り越し、中には殺意の色が見え隠れしている野郎までいるんだが!?
「学園のアイドル様とお前がどうやったら付き合えんだよ!?」
「そ、それは……」
どこから答えるべきか悩んでいる俺とは対照的に、星良の方は次々と女子達の質問を捌いていっている。その中で彼女の口から出てきた単語が、俺の方に詰め寄る男子達の動きを止めた。
「実は私と誠也君って幼馴染だったの」
「え、幼馴染?」
星良のこの言葉に俺の方に来ていた男子達の喧騒も一度止む。
「北條さんと大道って幼馴染だったのか?」
「そんな話聞いた憶えないよな」
「幼馴染ってマジなのか大道?」
新たな新情報にまたざわつき出す男子達だが、その中の1人が俺に真実か否か確認を取って来た。
「ああ事実だ。小学生の頃に俺と北じょ、星良は幼馴染だったんだよ。仲も良くてさ……」
俺がそう答えると男子達はひそひそと話し始める。
「マジか、じゃあ付き合えたのも幼馴染の縁があったからか……」
「くそっ、俺も昔から北條さんとご縁があったら……!」
いきなり俺と星良が交際した事に納得のいっていなかった男子連中だったが、俺たちが幼馴染だと知るとどこか納得し始める。いやまぁ、厳密に言えばまだ釈然としてはいないが。
それでもクラスの興奮も静まりつつあり、内心で俺はほっとしてした。
思ったよりも早くカミングアウトしてしまったが、下手に後へと誤魔化すよりも良かったかもな。まだ男どもからは妬みのこもった目を向けられているが……。
とにかくこれでひとまずは場が収まった、そう思った俺だがそこへ野次を飛ばす連中が居た。
「はんっ、なーにが交際したよ。どうせまた罰ゲームなんじゃない?」
声の聴こえた方向に皆が目を向ける。
野次を投げてきたのはクラスの端の方の席に集まっていた3人の女子グループだった。
そう、昨日の放課後に双葉と共に俺を笑いものにしたあの連中たちだ。他のクラスメイト達と違い質問に加わらなかった彼女等は、俺の方に視線を向けて嘲笑の目を向けていた。それは昨日に俺を見下し馬鹿笑いしたいた時と同じ眼だ。
あいつら、この期に及んでまだ俺で遊ぶつもりかよ!?
こちらとしてもこれ以上昨日の事を思い出したくはない。
だから俺は言い返そうとするのだが、タイミング悪く教室の扉が開きアイツが入って来た。
「そうそう、誠也なんかが学園のアイドル様と付き合えるわけないでしょ。みんなしっかりしなよ~」
耳障りな声を発しながら遅れてやって来たのは双葉だった。
彼女は醜悪な笑みと共に俺を見て嗤っていた。




