426.
腕の中の白い毛玉――小さな子狐をまじまじと見つめる。
「あらかわ……」
思わず声が漏れた。子狐は目を閉じたまま、ぷるぷると小刻みに震えている。
「寒いのかしら? ねえ、真理」
「えー、やどぅ」
真理はとてつもなく面倒くさそうに、やる気の欠片もない気の抜けた返事をした。
しかし、私はそれで確信する。
「ふむ。真理がやる気ないってことは、つまりこの子は無事で、今の状況は安全ってことね」
「ちょっ、真理さんをおかしな使い方してません? 私が本気になってないってことは、つまりやばくないって、そういう検査機器みたいに使ってません?」
「はは、ワロス」
「なにわろてんねん!」
真理のキレのいい関西弁ツッコミが、静かな雪山にこだました。
相変わらず騒がしいが、とりあえずこの衰弱した子狐を放置するわけにもいかない。私は毛玉をコートの懐に大事に抱え込み、ログハウスへと転移で帰還した。
ぽかぽかと暖かいリビングの扉を開け、中にいる同居人に声をかける。
「ふぶきー。この子拾ったー」
「……また拾ってきたのか」
呆れたようにため息をついたのは、吹雪だ。
「うん、よろ」
「見事なまでの丸投げ……。お主というやつは本当に……。まあよいがの」
吹雪はやれやれと首を振りつつも、その表情はどこか優しげだった。
「おいで、おちびちゃん。ここはもう寒くないぞ」
吹雪がそっと手を差し伸べると、子狐は温もりを求めるように、安心しきった様子でその腕の中へすっぽりと収まっていくのだった。
【おしらせ】
※3/1(日)
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