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命の灯火  作者:
8/18

第八話『アフター②』




翌朝。







眠れなかった。







正確には眠った。







だが何度も目が覚めた。







理由は分からない。







ただ。







何度も夢を見た気がする。







長い髪の女。







白い服。







内容は覚えていない。







なのに。







朝から涙が出そうだった。







出社。







仕事。







昼休み。







スマホ。







何気なく写真フォルダを開く。







昨日の画像。







削除したはずだった。







残っている。







しかも。







女が少し近い。







「は?」


思わず声が漏れた。







昨日見た時より。







確実に近い。







気のせいじゃない。







そんなはずがない。







なのに。







近い。







慌てて画像を閉じた。






夜。



仕事終わり。



尾鹿へLINEを送る。





尾鹿さん


ちょっと聞きたい事があるんですけど






既読。







返信なし。







五分。







十分。







三十分。







ようやく返信が来る。







どうした







凛が返信を打とうとした瞬間だった。







別の通知。







差出人不明。







会わせてあげましょうか







「……は?」







全身が粟立つ。







意味が分からない。




気味が悪かった。







スクリーンショットを削除する。







画像を削除。







ゴミ箱からも削除。







ついでに差出人もブロック。







終わり。



そう思った。



その直後。



スマホが震える。







通知。







差出人不明。







消さないで







凛の背筋が凍る。



少し頭を冷やそうと思った。



だが。



会社から家へ帰る道中。



通行人が何人も振り返る。



自分を見ている。



いや。



違う。







自分の後ろを見ている。







振り返る。







誰もいない。







歩き出す。







また振り返られる。







中年の男。







女子高生。







サラリーマン。







みんな。







凛の後ろを見ていた。







気味が悪い。







コンビニへ入る。







何か飲もう。







そう思った。







レジ。







店員が固まる。







「……あの」







「はい?」







店員は凛の肩越しを見る。







顔色が悪い。







「後ろの方……お連れ様ですか?」







凛の心臓が止まりそうになる。







振り返る。







誰もいない。







「え?」







店員も困惑している。







「今、確かに……」







それ以上聞かずに店を出た。







電車。







窓ガラスに自分が映る。







疲れた顔。







青い顔。







そして。








隣。







長い髪。







白い服。







女。







凛は飛び上がる。







振り返る。







誰もいない。







窓を見る。







まだいる。







女はこちらを見ている。







スマホが震える。







通知。







もう少しです







意味が分からない。







ホーム。







電車が入ってくる。







その瞬間。







ふと思った。







飛び込めば会える。







凛は固まる。







今。







何を考えた?







怖い。







怖い。







怖い。







そんな事思うはずがない。







なのに。







妙に納得してしまいそうだった。



涙が出る。



帰宅。



震える手で鍵を開ける。



部屋へ入る。



誰もいない。



そのはずだった。







奥から音がした。







コツ。







コツ。







コツ。







足音。





凛は息を止める。



スマホが震える。





通知。







差出人不明。







会わせてあげましょうか






凛は逃げるように洗面所へ入った。


顔を洗う。


冷たい水。


深呼吸。


大丈夫。


大丈夫。


そう言い聞かせる。


ゆっくり顔を上げた。







鏡。







自分。







その後ろ。







誰かいる。







振り返る。







誰もいない。







もう一度鏡を見る。







いる。







女。







長い髪。







白い服。







初めて顔が見えた。







綺麗だった。







息を呑むほど。







女は凛を見つめる。







微笑む。







そして。



口が動いた。













邪魔












凛の悲鳴が部屋に響いた。





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