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命の灯火  作者:
3/18

第三話『送り』

BAR 命の灯火




午前一時三十分。 




雨の中客は一人。




麻縄凛(あさなわ りん)




ひょんな事から尾鹿と知り合いBAR命の灯火に通うようになった女性だ







「珍しいな。凛がこんな時間まで飲んでるなんて。」




尾鹿が煙草に火をつけながら話しかける




「帰りたくなくて」




凛はジントニックを一口飲む







しばらく沈黙。





「尾鹿さんってさ」


「自分からLINE来たことある?」




「は?」






二週間前。


深夜。


通知。



送信者


麻縄凛(あさなわ りん)





送ったよ





ある日それだけきたんだ 自分から


当然、自分で送ったと思う。


消す。


寝る。





翌朝。



お気に入りのボールペンが無い。



数日後。



また通知。







送ったよ







その翌日。




腕時計が消える。








また来る。







送ったよ







財布が消える。







気味が悪い。







パスワード変更。




端末確認。




乗っ取りなし。







それでも来る。







送ったよ







しかも、




送られてくる時間が毎回同じ。







午前二時十三分。







そしてある日。




凛は気付く。







消えた物には共通点がある。







全部、




大切にしていた物。








凛が尾鹿にスマホの画面を見せる。




最新の通知。




受信時刻。




昨日の午前二時十三分。







スマホ画面。







送ったよ







その下。







次はあなた






尾鹿が聞く


「何が起きるんだ」



「分からないけど...多分良くないこと」



「警察は?」



凛は諦めた様に笑ってみせる



「行ってない」



「こんなの見せても頭おかしいと思われるし」






暫く外の雨の音だけが二人を包む。



凛がぽつり。



「ねぇ」



「これってさ」



「私が送られる側って意味かな」


 


凜はスマホを見ながら笑う。




「ちょっとだけ安心したんだよね」




「やっと終わるのかなって」








尾鹿は煙草を揉み消しながら言う


「知らねぇよ」



凛は苦笑い。


「尾鹿さんらしい」







尾鹿は何かを考えながら続ける




「ただ」 




「送られる奴に事前連絡する必要あるか?」







凛が顔を上げる。





「え?」





「送るなら黙って送るだろ」



「わざわざ『次はお前です』なんて言うのは」



「まだお前がそこにいるからだ」









沈黙。





尾鹿は続けて問いかける



「送ったよ、しか来てないんだろ」



「うん」



「お前、受け取ったのか」



「え?」



「だから」



「受け取ったって返事したのか」



凛は首を振る。






「してない」





「だったら終わってねぇじゃねぇか」



「終わってない?」



「宅配便だってそうだろ」

 


「送っただけじゃ届かねぇ」

 


「受け取りがいる」










凛は半信半疑。



尾鹿は凛に声をかける



「返せ」



凛の手が震える。



「何て?」



受け取ったってな












「受け取りました」








「本当に送っちゃった」


凛が呟く。




その日の午前二時十三分。











スマホが震える。







通知。








ありがとうございました。










凛は目を丸くする。



「助かったのかな」



「さぁな」


尾鹿はぶっきらぼうに言う



「でも礼は言われた」















凛が帰った後。



尾鹿のスマホに通知が来る



それを見た彼は舌打ちをしてから頭を掻きむしった。










知らない番号。





配送完了




添付ファイル1件





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