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命の灯火  作者:
17/18

第十六話『口コミ』

BAR 命の灯火



午前一時。




客は一人。



二十代前半の女。



酒を一口飲む。



そして。



盛大にため息を吐いた。



「尾鹿さん」



「ん?」



「私さ」



「所謂メンズエステってところで働いてるんだけど」



「知ってる」



「口コミがおかしいのよね」



尾鹿はグラスを磨く。



「悪口か?」



「それならまだ良かった」



女はスマホを取り出した。



「見て」


尾鹿がスマホを見る。




★★★★★



非常に丁寧な接客。



香りも良く見た目も美しい。



ただし白米が欲しくなる。





尾鹿


「何だこれ」





「知らない」



次。





★★★★★




塩でいただきたい逸品。




素材の味が活きている。





尾鹿


「何だこれ」




「だから知らないって」



次。





★★★★☆




昨年より甘みが増した。




今後に期待。





尾鹿


「お前サツマイモなのか?」




「違う」




次。






★★★★★




冷めても美味しい。




持ち帰りにも向いている。






「持ち帰らないで欲しい」



尾鹿はスマホを返した。


カラン。




ドアが開く。



飯田だった。



女が即座に立ち上がる。



「飯田さん!」



「ん?」



「助けて!」



飯田は口コミを見る。



数秒。



笑う。



「なるほど」



「分かった」



「本当!?」



「解決したいならしてやる」



飯田はスマホを受け取る。



そして。




ふっ。




画面に息を吹きかけた。




沈黙。




「おわり」



「は?」





そして翌週。





女がまた来る。



「今度はどうした」



尾鹿が聞く。



女は酒を飲む。



「いや」



「口コミなくなったなって」



「良かったじゃねぇか」



「そうなんだけど」



少し寂しそうだった。



「毎日見てたからさ」



「なくなると変な感じ」



尾鹿は呆れた。



翌月。



飯田が来る。



スマホを差し出す。



「ほら」



「何?」



レビューサイト。



そこには。



店内ランキング一位。



女の源氏名。



大量のレビュー。





★★★★★




静音性が高い。




夜間利用でも気にならない。







★★★★★




バッテリー持ちが良い。




長時間使用可能。







★★★★★




設定も簡単。




初心者にもおすすめ。









★★★★★




説明書を読まなくても直感的に操作できます。









★★★★★




二台目を検討中。







★★★★★




前モデルから大幅に改善されています。





飯田が酒を飲む。




「良かったな」




「人気商品だ」



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