第十六話『口コミ』
BAR 命の灯火
午前一時。
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客は一人。
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二十代前半の女。
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酒を一口飲む。
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そして。
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盛大にため息を吐いた。
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「尾鹿さん」
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「ん?」
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「私さ」
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「所謂メンズエステってところで働いてるんだけど」
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「知ってる」
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「口コミがおかしいのよね」
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尾鹿はグラスを磨く。
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「悪口か?」
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「それならまだ良かった」
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女はスマホを取り出した。
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「見て」
尾鹿がスマホを見る。
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★★★★★
非常に丁寧な接客。
香りも良く見た目も美しい。
ただし白米が欲しくなる。
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尾鹿
「何だこれ」
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女
「知らない」
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次。
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★★★★★
塩でいただきたい逸品。
素材の味が活きている。
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尾鹿
「何だこれ」
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女
「だから知らないって」
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次。
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★★★★☆
昨年より甘みが増した。
今後に期待。
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尾鹿
「お前サツマイモなのか?」
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女
「違う」
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次。
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★★★★★
冷めても美味しい。
持ち帰りにも向いている。
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女
「持ち帰らないで欲しい」
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尾鹿はスマホを返した。
カラン。
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ドアが開く。
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飯田だった。
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女が即座に立ち上がる。
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「飯田さん!」
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「ん?」
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「助けて!」
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飯田は口コミを見る。
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数秒。
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笑う。
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「なるほど」
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「分かった」
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「本当!?」
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「解決したいならしてやる」
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飯田はスマホを受け取る。
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そして。
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ふっ。
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画面に息を吹きかけた。
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沈黙。
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「おわり」
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「は?」
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そして翌週。
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女がまた来る。
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「今度はどうした」
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尾鹿が聞く。
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女は酒を飲む。
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「いや」
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「口コミなくなったなって」
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「良かったじゃねぇか」
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「そうなんだけど」
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少し寂しそうだった。
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「毎日見てたからさ」
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「なくなると変な感じ」
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尾鹿は呆れた。
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翌月。
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飯田が来る。
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スマホを差し出す。
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「ほら」
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「何?」
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レビューサイト。
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そこには。
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店内ランキング一位。
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女の源氏名。
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大量のレビュー。
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静音性が高い。
夜間利用でも気にならない。
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★★★★★
バッテリー持ちが良い。
長時間使用可能。
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★★★★★
設定も簡単。
初心者にもおすすめ。
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★★★★★
説明書を読まなくても直感的に操作できます。
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★★★★★
二台目を検討中。
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★★★★★
前モデルから大幅に改善されています。
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飯田が酒を飲む。
「良かったな」
「人気商品だ」




