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宮廷魔術師の採用試験に落ちたので、試験問題の間違いを全部直して返した

作者:てへろっぱ
最新エピソード掲載日:2026/10/08
北の田舎で水車や揚水器を直して暮らす修理屋、イェルク・ハルデ。

曲がった工房の梁を直す金を稼ぐため、安定した給料と官舎を求めて宮廷魔術師の採用試験を受けた彼だったが――結果は三十八点。不合格だった。

儀礼や正式名称を覚えきれなかった。
そこについては、イェルクにも異論はない。

しかし、返却された試験問題を見直しているうちに、別の問題へ気づく。

二十問中、七問。

模範解答どおりに魔法設備を造ったら、動かない。
壊れる。
下手をすれば、人が怪我をする。

「答えられる設問にしてくれよ」

不合格を取り消してもらうつもりはない。

ただ、誰かがこの間違った図面を正しいと覚えてしまうのは困る。

そこでイェルクは王都で赤インクを買い、試験問題の間違いを全部訂正し、正しい図面と計算、簡単な実験方法まで添えて宮廷へ返却した。

そのまま故郷へ帰る――はずだった。

ところが彼が間違いを指摘した問題は、現在建設中の魔法設備を簡略化したものだった。

しかも、その設備はまもなく実際に稼働する予定だった。

一枚の答案から事故を防いだ田舎の修理屋は、宮廷魔術師たちから次々と「現場を見てほしい」と頼まれるようになる。

そして調べるうちに判明する。

間違っていた七問すべてに、元となった実在の設備があること。

さらに、その図面の一部が、いつの間にか書き換えられていたこと。

宮廷の試験には落ちた。

けれど、現場で本当に必要とされていたのは、模範解答を覚えた人間ではなかった。

紙の上では正しい魔法を、現実でもちゃんと動く魔法へ直していく。

田舎の修理屋から始まる、魔法技術と宮廷を巡るお仕事ファンタジー。
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