第10話 漢の1両は13.8〜15.6グラム。今の台湾は1.5〜2グラム、日本は1グラムほどに置く。台湾は宋本の比を生姜まで守り、日本は生姜だけを外す。
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第10話 発見A 1両は、国ごとに何グラムで置かれているか
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「閑話休題Aで、漢の1両は13.8か15.625グラムって話をしたでしょう」
「桂枝の3両が40グラム以上になる話」
「今日は、今の台湾と日本が1両を何グラムに置いてるかを見る」
「置いてる?」
「どの国も漢の量のまま使ってはいないの。だから置き換えてる」
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■台湾の基準方
臺灣中藥典には「中藥基準方」が200方載っている。台湾の衛生署が1995年に100方、2000年にもう100方を告示した物だ。方ごとに、出典・処方・効能・適応症と、一日の飲片の量が書いてある。
桂枝湯は出典が傷寒論で、桂枝6・白芍6・炙甘草4・生薑6・大棗5。一日の飲片で27グラム。
「宋本は桂枝3両・芍薬3両・甘草2両・生姜3両」
「3・3・2・3が6・6・4・6」
「比がそのまま。1両を2グラムに置いてる」
葛根湯も同じ形で載っている。葛根6・麻黄4.5・桂枝3・白芍3・炙甘草3・生薑4.5・大棗4で、一日28グラム。
「宋本は葛根4・麻黄3・桂枝2・芍薬2・甘草2・生姜3」
「4・3・2・2・2・3が、6・4.5・3・3・3・4.5。今度は1両が1.5グラム」
「方によって置き方が違うのね。でも一つの方の中で、両で量る生薬の比は崩さない」
■白芍と炙甘草
「白芍って書いてある」
「第7話で、宋本は『芍藥』とだけ書いて白か赤かを言っていない、って残した所」
「台湾の基準方は白芍と決めて書いてる」
甘草も「炙甘草」だ。宋本の甘草には「炙」の注がついているので、そこは宋本どおりになる。
■日本のエキス
同じ二つの方を、ツムラの添付文書の量で並べる。
◇桂枝湯
生薬:桂枝
宋本:3両
台湾の基準方:6g
ツムラ:4.0g
◇—
生薬:芍薬
宋本:3両
台湾の基準方:白芍 6g
ツムラ:4.0g
◇—
生薬:甘草
宋本:2両
台湾の基準方:炙甘草 4g
ツムラ:2.0g
◇—
生薬:生姜
宋本:3両
台湾の基準方:6g
ツムラ:1.5g
◇—
生薬:大棗
宋本:12枚
台湾の基準方:5g
ツムラ:4.0g
◇葛根湯
生薬:葛根
宋本:4両
台湾の基準方:6g
ツムラ:4.0g
◇—
生薬:麻黄
宋本:3両
台湾の基準方:4.5g
ツムラ:3.0g
◇—
生薬:桂枝
宋本:2両
台湾の基準方:3g
ツムラ:2.0g
◇—
生薬:芍薬
宋本:2両
台湾の基準方:白芍 3g
ツムラ:2.0g
◇—
生薬:甘草
宋本:2両
台湾の基準方:炙甘草 3g
ツムラ:2.0g
◇—
生薬:生姜
宋本:3両
台湾の基準方:4.5g
ツムラ:2.0g
◇—
生薬:大棗
宋本:12枚
台湾の基準方:4g
ツムラ:3.0g
(台湾は一日の飲片の量。ツムラは1日分のエキスの元の量。宋本は1剤の量)
「ツムラの葛根湯は、葛根4・麻黄3・桂枝2・芍薬2・甘草2。両の数がそのままグラムになってる」
「1両を1グラムに置いた形ね」
「でも生姜だけが違う。宋本の3両が2グラム」
「桂枝湯でも生姜は3両が1.5グラム。ほかは1両が1〜1.3グラムなのに」
台湾はどちらの方でも、両で量る生薬の比を生姜まで守る(大棗は枚なので比べられない)。ツムラは生姜だけが比から外れる。
「どうして生姜だけ?」
「それはわからない。今回の出典には量の決め方が書いてない」
■並べてみると
◇漢
グラム:15.625
出典:2019年の論文
◇漢
グラム:13.8
出典:2015年の専門家の合意
◇合意の換え方(重い病)
グラム:6〜9
出典:同じ合意
◇合意の換え方(長く続く病)
グラム:3〜6
出典:同じ合意
◇合意の換え方(予防)
グラム:1〜3
出典:同じ合意
◇台湾の基準方
グラム:1.5〜2
出典:臺灣中藥典
◇ツムラ
グラム:1〜1.3ほど(生姜を除く)
出典:添付文書から計算
「生姜を除けば、台湾も日本も合意の言う予防の幅に入る」
「ただ、台湾は煎じる生薬の量、日本はエキスを作る元の量。それに宋本は1剤で、今の二つは1日分」
「一つの表に並べても同じ物差しではない」
「そう。だからこれは何グラムに置いたかの並びまで」
■大棗の12枚
「閑話休題Aで、枚は重さに直せないって言ったよね」
「言った。それは今も同じ」
「でも台湾は12枚を4か5グラム、ツムラは3か4グラムで使ってる」
「それは使っている量。12枚が何グラムかという換算ではない」
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「今日の発見は?」
「台湾は宋本の比を生姜まで守る。日本は生姜だけ比を外す。どちらも1両を1〜2グラムに置く」
「それと台湾は芍薬を白芍と決めてる」
「次の発見は桂枝湯の一家だね」
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第10話 まとめ
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■覚えておく数
・漢:13.8〜15.625
・台湾の中藥基準方:桂枝湯 2・葛根湯 1.5
・ツムラ:1〜1.3ほど(生姜を除く)
■発見
・台湾の基準方は、一つの方の中で、両で量る生薬の比を生姜まで守る(大棗は枚なので比べられない)。
・ツムラは生姜だけが比から外れる(桂枝湯 3両→1.5g、葛根湯 3両→2.0g)。なぜかは出典が無い。
・台湾は宋本の「芍藥」を白芍と決めて書く(第7話の種の回収)。甘草は宋本どおり炙甘草。
・生姜を除けば、どちらの国の 1 両も 2015 年の合意の「予防」の幅(1〜3g)に入る。ただし台湾は煎じる生薬の量、日本はエキスの元の量、宋本は 1 剤の量で、物差しは同じではない。
■まだわかっていないこと
・ツムラの生姜が比から外れる理由。日本のエキス剤の量がどう決まったか。
・大棗の「枚」の換算(使っている量は台湾 4〜5g、ツムラ 3〜4g)。




