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こはる行政書士見習帖 〜 昭和に転生して許認可に振り回されると試験知識が骨身にしみます 〜  作者: 条文小説
〈民法 配点76点/300点〉 債権

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528/576

[民法・請負]法理編 こはるノート

挿絵(By みてみん)

 完成していない仕事には、価値がないのでしょうか。


 三か月かけて作った家具。


 材料を買い。


 木を削り。


 何度も磨いて。


 四台のうち、三台を完成させた。


 ところが、注文者が突然言います。


「もう作らなくていい。全部完成していないから、一円も払わない」


 そんな理屈が通るなら。


 職人は、最後の一台が完成するまで、三台分の仕事さえ守れないことになります。


 でも。


 民法は、そんなに単純な法律ではありません。


 昭和六十三年。


 夕方の片桐行政書士事務所。


 私は机に向かい、ノートを開いていました。


 表紙には大きく、


 ――こはるノート・民法編。


 と書いてあります。


 その隣には、小さな木製の本立て。


 森田源蔵さんからいただいたものです。


 あの配膳台事件。


 四台で百六十万円の請負契約。


 三台完成。


 三台納品。


 三台とも旅館で使用中。


 なのに、注文者の黒岩社長は、


「四台全部完成していないから、一円も払わない」


 と主張しました。


 結局。


 内容証明郵便によって、既納入三台分の報酬百二十万円を請求。


 さらに、四台目の製作中止による損害についても整理しました。


 その結果。


 百二十万円の報酬。


 八万円の損害賠償。


 合計百二十八万円が支払われたのです。


「……請負って、意外と奥が深いですね」


 私が呟くと、相馬先輩が新聞から顔を上げました。


「今さら何だ」


「最初は簡単だと思ったんです」


「ほう」


「仕事を完成させる。お金をもらう。それだけだと思ってました」


「で?」


「完成しなかったときが、ものすごく面倒でした」


 相馬先輩が笑いました。


「契約ってのは、うまくいってる間は簡単なんだよ」


「はい」


「問題は、途中で約束が壊れたときだ」


 ……なるほど。


 確かに。


 四台全部を完成させて、百六十万円を受け取っていたら。


 今回の事件は起きませんでした。


 でも。


 四台目を作らなくてよくなった。


 しかも、注文者の都合で。


 その瞬間に。


 契約の本当の難しさが表に出てきたのです。


「よし!」


 私は鉛筆を握りました。


「今日は請負を完全攻略します!」


「また始まったな」


「行政書士試験に出ますから!」


「お前の試験は、いつまで続くんだよ」


 ……未来に帰れるまででしょうか。


 もちろん、そんなことは言えません。


 そこへ。


 奥から片桐所長が声をかけました。


「相馬」


「はい」


「付き合ってやれ」


「……所長まで」


 よし。


 本日も強制勉強会。


 開催です。


 ◇


「まず、請負の定義です!」


 私はノートに書きました。


 ――民法第六百三十二条。


 請負とは、請負人が仕事の完成を約束し、注文者がその結果に対して報酬を支払うことを約束する契約。


「ここは昭和六十三年でも、現代でも基本は同じです!」


 相馬先輩が頷きました。


「そうだな」


「つまり、請負の中心は仕事の完成です」


 私は大きく丸をつけました。


 仕事を完成させる。


 結果に対して報酬を支払う。


 この二つが、請負契約の柱です。


「例えば、森田さんの場合」


 私は言いました。


「配膳台四台を作って納入することを約束しました」


「うん」


「浜名観光は、百六十万円を支払うことを約束しました」


「そうだ」


「これが請負契約です」


 ここで私は、ノートに三つの言葉を書きました。


 有償契約。


 双務契約。


 諾成契約。


「先輩、確認問題です!」


「何で俺が解くんだ」


「請負は、有償契約ですか?」


「当たり前だろ」


「なぜですか?」


「報酬を払う約束があるからだ」


「正解!」


「お前が採点するな」


 私は続けました。


「では、双務契約なのは?」


「請負人には仕事を完成させる義務。注文者には報酬を支払う義務があるからだ」


「正解!」


「だから採点するな!」


「では、諾成契約なのは?」


「当事者の合意だけで契約が成立するからだ」


「完璧です!」


 相馬先輩が机を叩きました。


「俺が教えてるんだよ!」


 私は笑いました。


 でも。


 この三つは重要です。


 有償。


 報酬がある。


 双務。


 双方が義務を負う。


 諾成。


 合意だけで成立する。


 つまり。


 請負契約は、必ずしも契約書がなければ成立しないわけではありません。


「森田さんの事件では、契約書があったので助かりましたね」


「そうだ」


「もし口約束だけだったら?」


「契約自体は成立し得る。だが、内容を証明するのが難しくなる」


 なるほど。


 請負契約書。


 納品書。


 受領印。


 それらがあったから、黒岩社長の主張を崩すことができた。


 私はノートに書きました。


 ――契約書は成立要件ではない。しかし、紛争になったときの強力な証拠になる。


「ところで、こはる」


 相馬先輩が聞きました。


「はい?」


「雇用契約と請負契約の違いは?」


「あっ」


 私は少し考えました。


 雇用。


 労務に従事すること。


 請負。


 仕事を完成すること。


「請負は、結果が重要なんです!」


「そうだ」


「例えば、家具を一台完成させる約束なら請負です」


「うん」


「でも、家具工房で一日働くこと自体を約束し、使用者の指揮命令を受けて働くなら、雇用契約が問題になります」


「いいだろう」


 私は頷きました。


 名前だけで決めるわけではありません。


 実際に、どんな義務を負っているか。


 そこが重要なのです。


 ◇


「次は、報酬の支払時期です」


 私は六法を開きました。


 民法第六百三十三条。


 ――請負の報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に支払う。


「ここ、試験で引っかかりやすいところですね」


「どこがだ」


「仕事の完成と報酬の支払いが、同時履行だと思ってしまうんです」


 相馬先輩が頷きました。


「ああ」


 私はノートに二つ書きました。


 仕事の完成。


 目的物の引渡し。


「似てますけど、違います!」


「説明してみろ」


「はい!」


 例えば。


 家具職人が、注文された机を完成させました。


 机は、工房に置いてあります。


 注文者は、まだ引渡しを受けていません。


 この場合。


「完成したから、直ちに報酬を支払わなければならない!」


 と、常に言えるわけではありません。


 原則として、目的物の引渡しと報酬の支払いが同時履行の関係になるからです。


「つまり」


 私は言いました。


「注文者は、原則として、机を引き渡してもらうのと引換えに代金を支払えばいい」


「そうだな」


「請負人も、報酬の支払いと引換えに目的物を引き渡す関係になる」


「うん」


 ただし。


 契約で別の支払時期を定めれば、その約束も重要になります。


 森田さんの契約書には、


 ――四台全部の納入完了後に支払う。


 と書かれていました。


「だから、先輩」


「何だ」


「普通に契約が進んでいたなら、四台納入した後に百六十万円を支払う約束だったんですよね」


「そうだ」


「でも、今回は黒岩社長が四台目を中止させた」


「そこだ」


 相馬先輩が頷きました。


「自分で契約を途中で終わらせておいて、四台完成という条件だけをいつまでも盾にする。それが通るかって話になる」


 私は納得しました。


 報酬の支払時期。


 契約の解除。


 完成済み部分の取扱い。


 全部つながっているのです。


「じゃあ、物の引渡しが必要ない仕事は?」


 相馬先輩が聞きました。


「例えば、建物の壁の塗装などですね」


「うん」


「引き渡す独立の動産がない場合には、仕事の終了後に報酬を支払うのが原則です」


「よし」


 私はノートに書きました。


 ――引渡しを要する請負は、原則として引渡しと報酬が同時。引渡しを要しない請負は、原則として仕事終了後に報酬。


「……よし!」


「まだまだあるぞ」


「分かってます!」


 相馬先輩が笑いました。


 ◇


「さて」


 片桐所長が言いました。


「今回の事件の核心だ」


 私は姿勢を正しました。


「はい!」


「四台のうち三台が完成していた」


「はい」


「最後の一台は完成していない」


「はい」


「それでも、三台分の報酬を求めた。なぜだ」


 私は答えました。


「完成済みの部分が分けられて、注文者が利益を受けていたからです!」


「そうだ」


 私はノートに書きました。


 ――可分な部分。


 ――注文者の利益。


 この二つです。


「一台ずつ独立した家具だったことが重要なんですね」


「ああ」


 例えば。


 四台の配膳台。


 一台ずつ独立して使える。


 三台は完成している。


 納入も済んでいる。


 注文者は、既に使用している。


 これは分かりやすい。


 でも。


「先輩。もし四台で一つの巨大な機械だったら?」


「ほう」


「一台だけでは動かず、四台すべてがそろって初めて使える設備だったら?」


「その場合は、話が変わるな」


 そうです。


 途中まで作った部分に、独立した利用価値があるとは限りません。


 契約で予定された結果。


 完成した部分。


 注文者が実際に受ける利益。


 それを具体的に考えなければならない。


「つまり、作業を七十五パーセント終えたから、必ず報酬も七十五パーセントとは限らないんですね」


「そういうことだ」


 相馬先輩が頷きました。


「仕事の進み具合と、注文者が受ける利益は同じとは限らねえ」


 あ。


 そこ、重要です。


 私は赤線を引きました。


 例えば。


 百万円で特注機械を作る契約。


 九十万円分の作業をした。


 でも、機械はまったく動かない。


 注文者が使える部分もない。


 そんな場合に。


 九十万円分働いたから九十万円払え。


 と、当然に言えるわけではありません。


 逆に。


 四台の家具のうち三台を完成させた。


 一台ずつ独立して使える。


 契約上の単価も決まっている。


 注文者は三台を利用している。


 この場合は、完成済み部分の報酬を考えやすい。


「森田さんの事件では、一台四十万円という契約上の単価もありました」


「そうだな」


「三台で百二十万円」


「ああ」


「だから、何に対する報酬なのかが明確だったんですね」


 片桐所長が頷きました。


「そこが証拠の強さだ」


 私は、あの内容証明を思い出しました。


 三台の納品書。


 三つの受領印。


 使用中の写真。


 四台目の製作中止通知。


 あれらが、全部つながった。


 でも。


 ここで、時代の問題が出てきます。


「先輩」


「何だ」


「実は現代には、これを明確に定めた条文があるんです」


「また未来の話か」


「はい!」


 私はノートに大きく書きました。


 ――現代民法第六百三十四条。


 注文者が受ける利益の割合に応じた報酬。


「令和の民法では、仕事が完成できなくなった場合や、完成前に解除された場合に、可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるなら、その部分を完成とみなす規定があります」


「ほう」


「請負人は、その利益の割合に応じて報酬を請求できるんです」


 私は胸を張りました。


「今回の事件、まさにこれです!」


 ところが。


 相馬先輩が、昭和六十三年の六法を開きました。


「で、今の六百三十四条は?」


「……」


 私は顔をしかめました。


「瑕疵担保責任です」


「そうだ」


「分かってますよ!」


「前は間違えただろ」


「忘れてください!」


「忘れねえよ」


 ぐっ。


 痛いところを突かれました。


 昭和六十三年の民法六百三十四条。


 目的物に瑕疵がある場合の修補請求などを定めた条文。


 現代のような、利益割合に応じた報酬についての規定ではありません。


「だから今回は、判例も調べたんですね」


「そうだ」


 最高裁判所。


 昭和五十六年二月十七日。


 私は判例集を開きました。


 請負契約が完成前に解除された場合でも。


 既に完成した部分が分けられ、その部分によって注文者が利益を受けるときには、特別な事情がない限り、完成済み部分まで解除することはできず、未完成部分について解除されるにとどまる。


 そうした考え方を示した判例です。


「ただし」


 所長が言いました。


「前の事件では、この判例をそのまま当てはめるなと教えたな」


「はい」


「理由は?」


「判例の事案と、森田さんの事件では事情が違うからです」


「そうだ」


 私は続けました。


「だから、判例の結論を丸写しにするのではなく、共通する考え方を使ったんです」


「うん」


「完成済み部分の利益を、契約全体の解除によって当然に消してはいけないという考え方です」


 所長が頷きました。


「よし」


 私はノートに二重線を引きました。


 昭和六十三年。


 旧法の条文と判例・法解釈を組み合わせて考える。


 現代。


 改正民法六百三十四条に、可分な給付と利益割合に応じた報酬の基本的な考え方が明文化されている。


「なるほど……」


 私は鉛筆を止めました。


「現代の条文って、突然ゼロから生まれたわけじゃないんですね」


「何だ?」


 相馬先輩が聞きました。


「昔から積み重ねられてきた判例の考え方が、あとから条文になったものもあるんです」


 片桐所長が頷きました。


「そういう改正もある」


 私は、何だか嬉しくなりました。


 令和の民法。


 昭和の民法。


 違うところは多い。


 でも。


 法律の考え方は、時代を超えてつながっているのです。


 ◇


「次は、契約解除です!」


 私はページをめくりました。


 ――民法第六百四十一条。


 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約を解除することができる。


「これ、最初は納得できませんでした」


 私が言うと、相馬先輩が首をかしげました。


「何でだ」


「だって、職人さんが一生懸命作っている途中ですよ?」


「そうだな」


「注文者が、やっぱりいらないって言うだけで解除できるなんて!」


 相馬先輩が笑いました。


「じゃあ、完成するまで絶対に解除できない方がいいのか?」


「……え?」


「もう必要なくなった物を、最後まで作らせるのか?」


 私は黙りました。


 例えば。


 旅館が閉館することになった。


 注文していた家具が不要になった。


 それでも、注文者は必ず最後まで製作を続けさせなければならない。


 そういうことになったら。


「……無駄になることもありますね」


「そうだ」


 相馬先輩が頷きました。


「だから注文者に、完成前の解除を認めてるんだ」


「でも!」


「ただし、損害を賠償しろってことだ」


 あ。


 そうでした。


 自由に解除できる。


 でも、無償で解除できるわけではない。


 そこが大切なんですね。


「森田さんの事件では、四台目を途中で中止させられました」


「ああ」


「だから、解除自体は可能でした」


「そうだ」


「でも、材料費や失われた利益などについて、損害賠償の問題が残った」


 私は頷きました。


 ただし。


 損害賠償額は、未完成部分の契約代金をそのまま請求できるわけではありません。


 例えば。


 四十万円の仕事を途中で中止した。


 でも、まだ買っていない材料がある。


 外注費も使わずに済んだ。


 働く予定だった時間を、別の仕事に使えたかもしれない。


 そうした事情も考慮する必要があります。


「先輩」


「何だ」


「四十万円の仕事を中止したから、四十万円全部を損害賠償として取れるとは限らない」


「そうだ」


「解除によって実際に生じた損害を考える」


「うん」


「だから、材料費や製作日誌を集めたんですね」


「ようやく分かったか」


「はい!」


 私はノートに書きました。


 ――注文者の完成前解除は自由。ただし、損害賠償は必要。解除できることと、無償で解除できることは違う。


「しかも」


 私は言いました。


「ここは昭和六十三年と現代で、基本的な考え方が同じなんですよね」


「そうだな」


 ようやく。


 未来の条文を持ち込んでも、大きな時代錯誤を起こさないところが出てきました。


 少し安心です。


 もっとも。


 安心した瞬間に、別の地雷が待っているのが民法なのですが。


 ◇


「では、こはる」


 片桐所長が言いました。


「次の問題だ」


「はい!」


「配膳台を作るための木材を、注文者が全部提供していたらどうなる」


「……木材?」


「そうだ」


 私は考えました。


 今回の森田さんは、材料を全部自分で用意していました。


 木材も。


 金具も。


 塗料も。


 でも。


 もし浜名観光が、木材を全部提供していたら?


「完成した配膳台の所有権ですか!」


「そうだ」


 私はノートに書きました。


 ――請負目的物の所有権。


 ここは、少し難しいところです。


「まず、特約があれば、それを考えるんですよね」


「そうだ」


 例えば。


 契約書に、完成した家具の所有権を引渡し時に注文者へ移転すると定めてあれば、その約束が重要になります。


 では。


 特約がなかった場合。


「原則的な判断要素の一つとして、材料の全部または主要部分を誰が提供したかを見るんですね」


「そうだな」


 私はノートに二つの欄を作りました。


 注文者が主要材料を提供。


 請負人が主要材料を提供。


「注文者が材料の全部または主要部分を提供した場合は、原則として注文者に所有権が帰属すると考えられます」


「うん」


「大審院昭和七年五月九日判決などの考え方ですね」


 相馬先輩が頷きました。


「じゃあ、請負人が材料を全部出した場合は?」


「そこが、ややこしいんです」


 私は書きました。


 請負人が主要材料を提供。


 代金がほとんど支払われていない。


 この場合。


 特約その他の事情がなければ、請負人に所有権が帰属するとする古い判例があります。


 大審院大正三年十二月二十六日判決。


「なるほどな」


 相馬先輩が言いました。


「材料を出して、まだ金も受け取ってないなら、作った側の所有物と考える余地があるわけだ」


「はい」


 でも。


 ここからが問題です。


「請負人が材料を出していても、注文者が代金の大部分や全部を支払っている場合は、注文者への所有権帰属が認められることがあります」


「そうだな」


「大審院昭和十八年七月二十日判決、最高裁昭和四十四年九月十二日判決など、事案に応じた判例の考え方を確認します」


 私は鉛筆を止めました。


 うーん。


 難しい。


「先輩」


「何だ」


「これ、材料を出した人だけで決まるわけじゃないんですね」


「そうだ」


「代金の支払いも重要」


「うん」


「特約も重要」


「そうだ」


「そして、何を作ったかも重要」


 片桐所長が頷きました。


「特に建物の請負では、土地との関係や工事の進行状況なども問題になる。すべての請負目的物に、同じ結論を機械的に当てはめるな」


「はい!」


 私は赤線を引きました。


 所有権の帰属。


 特約。


 材料の提供者。


 代金の支払状況。


 目的物の性質。


 これらを考える。


「でも先輩」


「何だ」


「もし森田さんが、配膳台を一台も引き渡していなかったら?」


「ほう」


「材料は森田さんが全部提供していて、代金も未払いです」


「その場合は、請負人の所有権を考えることになるな」


「ですよね!」


 私は頷きました。


 でも、今回の事件では違いました。


 三台は既に納品済み。


 旅館で使用中。


 契約書の内容や所有権移転の事情も、確認しなければならない。


 だから。


「材料を森田さんが出したから、三台は絶対に森田さんの物だ!」


 と短絡してはいけなかったのです。


「なるほど……」


 私は頷きました。


「所有権の問題と、請負報酬の問題は、分けて考えるんですね」


「そうだ」


 相馬先輩が言いました。


「それができないと、争点がぐちゃぐちゃになるぞ」


 私は大きく丸をつけました。


 ◇


「さて」


 相馬先輩が言いました。


「ここまでは、ちゃんとした家具の話だったな」


「はい」


「じゃあ、完成した家具に欠陥があったら?」


「あっ」


 私は顔を上げました。


 来ました。


 瑕疵担保責任。


 そして。


 現代の契約不適合責任。


「先輩!」


「何だ」


「ここは時代の違いが大きいです!」


「またか」


「はい!」


 私はノートに書きました。


 ――昭和六十三年。


 瑕疵担保責任。


 ――現代。


 契約不適合責任。


 例えば。


 旅館が配膳台を注文しました。


 ところが。


 完成した配膳台の脚がぐらぐらする。


 料理を載せると傾く。


 約束していた強度がありません。


 そんな場合です。


「昭和六十三年なら、民法六百三十四条で瑕疵の修補請求や損害賠償請求が問題になります」


「そうだ」


「当時の六百三十五条では、瑕疵のため契約目的を達成できない場合の解除も定められていました。ただし、建物その他土地の工作物については解除できないという制限がありました」


「うん」


 私は続けました。


「でも、現代は違います」


 現代の民法では。


 種類や品質などについて、契約内容に適合しない目的物が引き渡された場合。


 履行の追完。


 報酬の減額。


 損害賠償。


 契約解除。


 これらの問題を、改正後の債務不履行や契約不適合の規律によって考えます。


「請負についても、売買の契約不適合責任の規定が準用されるんですね」


「未来の制度の話だな」


「はい!」


 私は、ここで少し考えました。


「先輩。どうして改正されたんでしょう?」


「お前が知ってるんじゃねえのか」


「そうでした」


 私は笑いました。


 昔の瑕疵担保責任は、独自の要件や効果を持つ制度として定められていました。


 でも。


 そもそも、請負人が約束した仕事の結果を実現していないのなら。


 契約どおりの給付がされていないという問題として、整理することもできます。


 そこで現代では。


 契約内容に適合しているか。


 不足している部分を補えるか。


 報酬を減らすべきか。


 損害賠償や解除が認められるか。


 そうした形で、売買などの制度と整合するよう整理されたのです。


「でも、ここで注意です」


 私は言いました。


「注文者が材料を提供した場合です」


 例えば。


 旅館が、古い木材を持ち込みました。


「この木材で配膳台を作ってくれ」


 職人は、その指示どおりに作りました。


 ところが。


 木材自体に欠陥があり、配膳台が壊れてしまった。


「この場合、すべて請負人の責任ですか?」


 私が聞くと、相馬先輩が首を横に振りました。


「注文者が渡した材料の問題なら、そう単純じゃねえな」


「そうです!」


 昭和六十三年の民法六百三十六条。


 注文者の提供した材料の性質や指図によって瑕疵が生じた場合、原則として請負人の瑕疵担保責任に関する規定は適用されません。


 ただし。


 請負人が、その材料や指図が不適当だと知りながら、告げなかった場合は別です。


「つまり」


 私は言いました。


「職人が、この木材は危険だと知っていたのに黙って作った場合には、責任を免れないことがあるんです」


「そうだ」


「ここは、現代の六百三十六条にも引き継がれています」


 私は頷きました。


 注文者が悪いのか。


 請負人が悪いのか。


 それとも、両方に問題があるのか。


 材料と指図の関係。


 請負人が何を知っていたのか。


 その事実を調べる必要があるのです。


「なるほど……」


 私はノートに書きました。


 ――注文者の材料・指図が原因なら、原則として請負人の担保責任は制限される。ただし、不適当と知りながら告げなかった場合は別。


「先輩」


「何だ」


「これ、職人にも説明する責任があるってことですね」


「そうだな」


 相馬先輩が頷きました。


「注文されたとおり作ったから全部知らねえ、では済まない場合もある」


 私は、森田さんのことを思い出しました。


 木材の状態。


 乾燥具合。


 強度。


 そんなことまで、きちんと確認していた職人。


 だからこそ。


 あの配膳台は、旅館で毎日使われていたのです。


 ◇


「次は期間です!」


 私はノートをめくりました。


 ――民法第六百三十七条。


 ここも、昭和と現代で大きく違います。


「先輩、例えばです」


「何だ」


「完成した家具に欠陥があったとします」


「うん」


「注文者が、その欠陥に気づいたのが、引渡しから半年後だったら?」


「それで?」


「いつまでに請負人の責任を追及しなければならないんでしょう?」


 相馬先輩は六法を開きました。


「昭和六十三年なら、目的物の種類によっても違うが、通常の請負目的物については、引渡しから一年という期間が基本になる」


「そうです」


 旧民法六百三十七条。


 原則として、引渡しを受けた時から一年以内に、瑕疵の修補請求や損害賠償請求など、所定の権利を行使する必要がありました。


 ただし、建物その他の土地の工作物には、旧六百三十八条などの特別な規律がありました。


「ここで現代です!」


 私は言いました。


 現代の民法六百三十七条。


 種類または品質について契約内容に適合しないことを知った時から、一年以内にその旨を請負人へ通知する。


「つまり、期間の起算点も、要求される行為も変わっています」


「ほう」


「昭和の一般的な規律は、引渡しから一年以内の権利行使」


「うん」


「現代は、不適合を知った時から一年以内の通知です」


 私は赤線を引きました。


 ただし。


 現代でも、通知さえすればいつまでも権利行使できるわけではありません。


 消滅時効など、別の期間制限にも注意する必要があります。


 そして。


 請負人が不適合を知っていた場合や、重大な過失によって知らなかった場合には、一年以内の通知を要求する規定の適用が制限されます。


「……またややこしいですね」


 私が呟くと、相馬先輩が笑いました。


「民法だからな」


「それ、便利な言い訳ですね」


「お前が覚えろ」


「はい……」


 私はノートに書きました。


 ――昭和は引渡しからの権利行使期間、現代は不適合を知った時からの通知期間。起算点と必要な行為を混同しない。


 よし。


 ここは試験に出ても、間違えたくありません。


 ◇


「さて、最後だ」


 相馬先輩が言いました。


「はい!」


「注文者が破産した場合だ」


 ……来ました。


 民法六百四十二条。


 現場編の最後に、私が固まったところです。


「所長」


「何だ」


「これ、少し怖い条文ですね」


「なぜだ」


「仕事を頼んだ人が破産したら、請負人は報酬をもらえなくなるかもしれないからです」


 片桐所長が頷きました。


「そうだ」


 例えば。


 森田さんが四台の配膳台を作っている途中。


 浜名観光株式会社が破産した。


 まだ四台は完成していません。


 材料は買ってあります。


 仕事も進んでいます。


 でも、注文者が破産。


 このとき。


 民法六百四十二条が問題になります。


「昭和六十三年の法律用語では、破産宣告です」


 私は言いました。


「現代では、破産手続開始の決定ですね」


 相馬先輩が眉をひそめました。


「お前、破産宣告って言葉まで未来で変わるのか」


「はい」


「面倒な話だな」


「法律って、改正されるんです」


「分かってるよ!」


 私は笑いました。


 昭和六十三年の民法六百四十二条。


 注文者が破産宣告を受けたときは、請負人または破産管財人が契約を解除できる。


 ただし。


 ここが重要です。


「先輩」


「何だ」


「請負人は、仕事を完成した後には、この規定による解除ができません」


「そうだ」


「でも、破産管財人については、同じただし書による制限はないんですよね」


「そういうことだ」


 私はノートに書きました。


 仕事完成前。


 請負人も破産管財人も、解除が可能。


 仕事完成後。


 請負人からの解除はできない。


 破産管財人については、このただし書による制限はない。


「ただし、実際の解除や精算は、破産手続全体の規律も確認する必要があります」


 片桐所長が頷きました。


「そうだ」


 私は少し考えました。


「どうして、完成した後の請負人は解除できないんでしょう」


 相馬先輩が言いました。


「もう仕事が終わっているからだろ」


「……あっ」


 そうでした。


 仕事が完成した後。


 請負人は、完成した仕事の結果について、契約に従った報酬請求を考える立場になります。


 もちろん。


 注文者が破産していれば、報酬を全額回収できるとは限りません。


 でも。


 それは、破産手続の中で債権をどう扱うかという問題になる。


「じゃあ、仕事の途中で請負人が解除した場合は?」


 私は聞きました。


 所長が答えました。


「既にした仕事の報酬や、まだ報酬に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することが問題になる」


「はい」


 つまり。


 解除できるからといって。


 既に使った材料費や、行った仕事について、必ず全額を受け取れるとは限りません。


 他の債権者との公平。


 破産財団の財産。


 そうした問題があるからです。


「それと、もう一つ」


 私は言いました。


「破産管財人が解除した場合には、請負人から解除によって生じた損害賠償を請求できる場合があります」


「うん」


「この場合も、破産財団の配当に加入する形になるんですね」


 相馬先輩が頷きました。


「よし」


 私はノートに大きく書きました。


 ――注文者破産。完成前は請負人・破産管財人が解除可能。完成後の請負人解除は不可。報酬・費用・損害の扱いは破産手続を確認。


「……ふう」


 私は鉛筆を置きました。


「やっと終わりました」


「まだだぞ」


「ええっ!」


 相馬先輩が笑いました。


「まとめが残ってる」


「……容赦ないですね」


「試験に容赦なんかねえよ」


 私は肩を落としました。


 でも。


 ここまで来たなら、最後までやります。


 ◇


 窓の外は、すっかり夕暮れでした。


 私はノートの最後のページを開きました。


 そこに、今日の内容を整理します。


 請負とは。


 仕事の完成と、その結果に対する報酬の約束。


 有償。


 双務。


 諾成。


 報酬は、原則として目的物の引渡しと同時。


 ただし、引渡しを要しない仕事は、原則として仕事終了後。


 仕事が完成しなかった場合でも。


 分けられる部分によって注文者が利益を受けていれば、その部分の報酬が問題になる。


 昭和六十三年には、判例の考え方が重要。


 現代では、民法六百三十四条に明文化。


 注文者は、仕事完成前なら損害を賠償して解除できる。


 ただし、解除が自由だからといって、損害賠償が不要になるわけではない。


 完成した目的物の所有権は。


 特約。


 材料の提供者。


 代金の支払状況。


 目的物の性質。


 そうした事情を考える。


 欠陥があれば。


 昭和では瑕疵担保責任。


 現代では契約不適合責任。


 そして。


 注文者が破産した場合には、請負人と破産管財人による解除や、報酬・費用の扱いが問題になる。


「……よし」


 私は顔を上げました。


「所長!」


「何だ」


「確認問題をお願いします!」


 片桐所長が頷きました。


「請負契約は、要物契約か」


「いいえ! 諾成契約です!」


「有償か」


「有償契約です!」


「双務か」


「双務契約です!」


「請負報酬は、原則として何と同時に支払う」


「目的物の引渡しです!」


「注文者が仕事完成前に解除するには?」


「損害を賠償する必要があります!」


「では、四台の家具のうち三台が完成し、注文者がその三台を使っている場合は?」


「可分な完成済み部分について、報酬請求が問題になります!」


「よし」


 所長が頷きました。


 私は嬉しくなりました。


「やった!」


 ところが。


 相馬先輩が横から言いました。


「じゃあ俺からも一問」


「はい!」


「昭和六十三年の民法六百三十四条は?」


「瑕疵担保責任!」


「令和の六百三十四条は?」


「注文者が受ける利益の割合に応じた報酬!」


「おお」


「もう間違えません!」


「じゃあ、昭和六十三年の民法六百三十五条は?」


「瑕疵によって契約目的を達成できない場合の解除です! ただし、建物その他土地の工作物については解除できないという制限がありました!」


「よし」


「現代では旧六百三十五条は削除されています!」


「未来の話まで答えるな!」


「聞いたの先輩じゃないですか!」


 私は笑いました。


 でも。


 今日の勉強で、少し分かった気がします。


 民法の改正。


 それは、単に条文番号が変わったということではありません。


 昔の判例で積み重ねられた考え方が、現代では条文として整理される。


 昔の瑕疵担保責任が、現代では契約不適合責任という仕組みに整理される。


 でも。


 その根底には、共通する考え方があります。


 契約を守る。


 仕事をした人を守る。


 報酬を払う人の利益も守る。


 そして。


 途中で契約が終わったときには、どちらか一方に不合理な負担を押しつけない。


 その公平さです。


 ◇


「所長」


 私は聞きました。


「何だ」


「請負って、仕事の完成が中心ですよね」


「ああ」


「でも、仕事が完成しなかったときにも、民法は答えを用意している」


「そうだ」


「それが、何だか不思議です」


 片桐所長は、少し考えてから言いました。


「契約は、約束どおりに終わるとは限らない」


「……はい」


「だからこそ、途中で終わったときのことも考えておく必要がある」


 私は頷きました。


 森田さんの三台の配膳台。


 あれは、確かに完成していました。


 旅館の食堂で使われていた。


 観光客の料理を支えていた。


 職人の技術が、そこで生きていた。


 それなのに。


 四台目が完成していないから。


 契約全体が終わっていないから。


 そんな理由で、三台分の仕事の価値まで消えてしまったら。


 あまりにも理不尽です。


「……民法って」


 私は呟きました。


「本当に、人の生活に近い法律なんですね」


 相馬先輩が頷きました。


「そりゃそうだ」


「はい」


「法律ってのは、机の上だけにあるんじゃねえ」


 先輩は、私の本立てを指差しました。


「そこにもある」


「……これですか?」


「ああ」


 木製の本立て。


 森田さんが作ってくれたもの。


 請負契約ではなく、好意による贈り物です。


 でも。


 もし私がお金を払って注文していたら。


 請負契約になります。


 もし途中でいらなくなったと言ったら。


 民法六百四十一条が問題になります。


 もし完成した本立てに欠陥があったら。


 瑕疵担保責任が問題になります。


 もし材料を私が提供していたら。


 責任の所在や所有権の帰属が問題になります。


 ……なるほど。


 たった一つの本立てから。


 こんなにたくさんの法律問題が見えてくる。


「先輩」


「何だ」


「民法って、すごいですね」


「今さらだろ」


「はい!」


 私は笑いました。


 そして。


 ノートの最後に、今日の一行を書きます。


 ゆっくり。


 丁寧に。


 ――請負は「完成」が原則、「引渡し」で報酬、「途中解除」は損害賠償、「可分な利益」は無駄にしない。


「……できました!」


 私はノートを掲げました。


 相馬先輩が覗き込みます。


「まあ、覚えやすいんじゃねえか」


「褒めましたね!」


「気のせいだ」


「またそれですか!」


 私は笑いました。


 でも。


 この一行は、きっと忘れません。


 あの三台の配膳台を思い出せばいい。


 四台のうち、三台が完成していた。


 残り一台は、注文者の都合で中止された。


 それでも、完成した三台の価値まで消えたわけではなかった。


 法律は。


 仕事を完成させる約束だけでなく。


 途中で終わってしまった仕事の価値も、適切に評価しようとしている。


 そのことが、よく分かったのです。


 ◇


「ところで、こはる」


 相馬先輩が言いました。


「はい?」


「その本立て、随分気に入ってるみたいだな」


「はい!」


「じゃあ、明日から六法を全部そこに立てておけ」


「え?」


「事務所の六法もだ」


「……全部?」


「ああ」


 私は本立てを見ました。


 一冊分の大きさです。


 どう考えても、全部は入りません。


「先輩」


「何だ」


「無理です」


「何でだ」


「一冊分しかありません!」


「じゃあ、もう一つ作ってもらえ」


「ええっ!」


「森田さんに頼めばいいだろ」


 私は腕を組みました。


「先輩。それは請負契約になりますよ」


「そうだな」


「報酬を支払う必要があります!」


「分かってるよ」


「しかも、途中でいらなくなったからって、無料で解除できません!」


「分かってるって!」


「材料はどちらが出しますか!」


「知らねえよ!」


「特約はありますか!」


「ねえよ!」


「完成した本立ての所有権は!」


「うるせえ!」


 私は笑いました。


 相馬先輩も、とうとう吹き出しました。


「お前、覚えた法律をすぐ使いたがるな」


「だって、実生活に役立つんです!」


「まあ、そうだけどよ」


 そのとき。


 片桐所長が帳簿を閉じました。


「こはる」


「はい!」


「その本立ては、もう一つ頼まなくていい」


「本当ですか!」


「ああ」


「よかった!」


「ただし」


「はい?」


「明日までに、今ある六法を整理しておけ」


「……え?」


 相馬先輩が笑いました。


「ほらな」


「何ですか!」


「仕事は減らねえんだよ」


「ひどい!」


 私は思わず言いました。


「所長! それは請負ですか、雇用ですか!」


 所長は、少しだけ顔を上げました。


「今は業務分担の話だ」


「……!」


「明日までに頼む」


 相馬先輩が大笑いしました。


「残念だったな!」


「先輩!」


「何だ!」


「私、今日あれだけ請負を勉強したんですよ!」


「だから何だ!」


「なのに、整理の仕事が増えました!」


「勉強と仕事は別だろ!」


 ……なるほど。


 請負契約を理解しても。


 事務所の雑用が減るわけではないようです。


 残念ながら。


 そこまで守ってくれる民法の条文は、今のところ見当たりません。


 私はため息をつきながら、六法を本立てに戻しました。


 窓の外。


 夕暮れの町に、家々の明かりが灯っていきます。


 あのどこかで。


 森田源蔵さんは、今日も木を削っているのでしょう。


 トン。


 トン。


 トン。


 職人の仕事は、今日も続いています。


 完成を目指して。


 誰かのために。


 約束したものを作るために。


 そして。


 その仕事が、正当に評価されるように。


 私はノートの最後の一行を、もう一度読みました。


 ――請負は「完成」が原則、「引渡し」で報酬、「途中解除」は損害賠償、「可分な利益」は無駄にしない。


 よし。


 完璧。


「こはる!」


 相馬先輩の声が飛びました。


「はい!」


「ノート見てねえで、六法を整理しろ!」


「今、学習内容を確認してたんです!」


「確認は後だ!」


「先輩!」


「何だ!」


「私、請負契約の解除については完璧です!」


「知ってるよ!」


「だから、この整理の仕事も解除できませんか!」


「そもそも請負契約じゃねえだろ!」


「……あっ」


 ……なるほど。


 請負と雇用。


 仕事の完成と労務の提供。


 そこを区別するところから、また考えなければならないようです。


 残念ながら。


 民法六百四十一条を使って、事務所の片付けから逃げることはできませんでした。

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