[連帯保証]法理編 こはるノート
借金をした本人より、保証人のほうが先に請求される。
しかも。
借金をした本人に十分な財産があっても。
「まず本人から取り立ててください」
とは言えない。
それが、連帯保証です。
では。
連帯保証人が返済したら、借金をした本人の債務はどうなるのでしょうか。
連帯保証人が相殺したら?
債権者が連帯保証人にだけ請求したら?
そして。
昭和六十三年と現代では、なぜその答えが違うことがあるのでしょうか。
昭和六十三年。
夕方の片桐行政書士事務所。
私は机に向かい、昨日の事件を思い出していました。
六百万円の借金。
家を売れと迫られた洋裁店の女性。
そして。
二枚の領収書をはじめとする証拠と、二通の内容証明郵便。
今日は、その事件に隠れていた民法の仕組みを、徹底的に整理します。
◇
「……連帯保証って、怖すぎません?」
私はノートを開きながら呟きました。
表紙には大きく、
――こはるノート・民法編。
と書いてあります。
相馬先輩が新聞から顔を上げました。
「またその話か」
「またです!」
「昨日、解決しただろ」
「事件は解決しました。でも、試験問題は解決していません!」
「何だそりゃ」
私は昨日の相談者を思い出しました。
佐伯澄江さん。
五十八歳。
亡くなったご主人が残した家で、洋裁店を営んでいる女性です。
甥の和夫さんが、工場のために六百万円を借りた。
澄江さんは、その連帯保証人になった。
ところが金融業者の東海商事は、和夫さん本人ではなく、澄江さんに六百万円を請求してきた。
しかも。
――本人に財産があろうと関係ない。
――連帯保証人には催告の抗弁権も検索の抗弁権もない。
そう言って、家を売るよう迫ったのです。
「最初、私も普通保証と混同しちゃいました」
「ああ。見事に間違えたな」
「思い出させないでください!」
「お前が思い出したんだろ」
ぐう。
反論できません。
でも、そこが今日の出発点です。
「先輩。まず普通保証と連帯保証を整理します!」
「やってみろ」
私は鉛筆を握りました。
◇
「保証って、そもそも何ですか?」
私は尋ねました。
「お前が説明するんじゃねえのか」
「確認です!」
相馬先輩が面倒くさそうに答えます。
「主たる債務者が払わないときに、保証人が履行する責任を負うことだ」
「はい!」
私はノートに書きました。
――主たる債務者。
実際に借金をした人。
――債権者。
お金を貸した人。
――保証人。
主たる債務者が履行しないときに、保証債務を負う人。
「昨日の事件なら?」
先輩が聞きました。
「和夫さんが主たる債務者です」
「うん」
「東海商事が債権者」
「うん」
「澄江さんが連帯保証人!」
「そうだ」
私は三人の名前を線で結びました。
そして、大きく書きます。
――普通保証には補充性がある。
「ここが出発点ですね」
「ああ」
「普通保証は、基本的に主たる債務者が履行しないときの責任です」
「そうだな」
「だから保証人には、一定の場合に、まず本人に請求してくれと言う権利があります」
相馬先輩が頷きました。
「それが?」
「催告の抗弁権です!」
民法第四百五十二条。
催告の抗弁。
私は大きく丸をつけました。
「たとえば、和夫さんの普通保証人になっていた場合です」
東海商事が澄江さんに、
――六百万円を払え。
と請求する。
そこで澄江さんは、
――まず借りた本人に請求してください。
と主張できる。
「これが催告の抗弁権!」
「そうだ」
「ただし、例外があります」
私は鉛筆を立てました。
主たる債務者が破産している場合。
あるいは、行方が分からない場合。
昭和の条文でも、こうした場合には催告の抗弁が認められません。
「本人がどこにいるか分からねえのに、まず本人に請求しろって言われても困るからな」
「そういうことです!」
私は頷きました。
でも。
普通保証人には、もう一つ武器があります。
「検索の抗弁権です!」
民法第四百五十三条。
「検索って、インターネット検索の検索ですか?」
「何だ、それ」
「あっ」
しまった。
昭和六十三年。
一般家庭にインターネット検索なんてありません。
「い、いえ。財産を探すという意味です!」
相馬先輩は怪訝な顔をしました。
「変な奴だな」
私は慌てて説明を続けました。
「検索の抗弁権は、主たる債務者に弁済する資力があって、しかも執行が容易だと保証人が証明した場合に、まず本人の財産から取り立てるよう求められる権利です」
「そうだ」
たとえば。
和夫さんが、差押え可能な預金を持っている。
その預金の所在も明確。
十分な残高がある。
執行も容易。
それを保証人が証明する。
「なら、普通保証人は?」
「まず和夫さんの財産に執行してください、と言える!」
「そういうことだ」
私は頷きました。
ここで重要なのは。
単に、
「本人はお金持ちです!」
と言えばよいわけではないこと。
主たる債務者に弁済する資力がある。
しかも執行が容易である。
その両方を証明する必要があります。
「先輩、催告と検索って、似ているようで全然違いますね」
「どう違う」
「催告は、まず本人に請求しろ!」
「うん」
「検索は、まず本人の財産から取り立てろ!」
「そうだ」
よし。
覚えました。
ところが。
「じゃあ、連帯保証の場合は?」
相馬先輩が聞きました。
私は一瞬、黙りました。
そして。
「……両方ありません」
「正解」
民法第四百五十四条。
連帯保証の場合の特則。
連帯保証人には、第四百五十二条と第四百五十三条の権利がない。
つまり。
催告の抗弁権なし。
検索の抗弁権なし。
「……恐ろしい!」
私は机を叩きました。
「本人が工場を持っていても!」
「うん」
「機械を持っていても!」
「うん」
「銀行預金を持っていても!」
「うん」
「連帯保証人に先に請求できる!」
「そうだ」
相馬先輩は頷きました。
「だから、連帯保証人になるってのは、それだけ重い責任を引き受けることなんだよ」
私は澄江さんの顔を思い出しました。
甥を助けたい。
その気持ちで押したハンコ。
でも、その結果。
自分の家を失うかもしれなかった。
「……法律って、厳しいですね」
「ああ」
相馬先輩は言いました。
「だからこそ、署名する前に知っておかなきゃならねえ」
◇
「でも先輩」
「何だ」
「昨日の黒田社長、連帯保証人に全額請求できるって、勝ち誇っていましたよね」
「ああ」
「でも結局、六百万円は払わずに済みました」
「そうだ」
「なぜですか?」
相馬先輩が笑いました。
「お前、分かってて聞いてるだろ」
「復習です!」
私はノートをめくりました。
そこには、昨日の事件の数字が並んでいます。
借入元金。
六百万円。
弁済済み元金。
四百万円。
残元金。
二百万円。
さらに。
和夫さんが東海商事に対して持っていた、金属棚の売買代金債権。
二百万円。
「つまり、最初の六百万円のうち、四百万円は既に消えていたんです」
「そうだ」
「そして残った二百万円について、和夫さんが相殺した」
「ああ」
私は大きく書きました。
――六百万円から四百万円を弁済で消滅。
――残二百万円を相殺で消滅。
――主たる債務の残額、ゼロ。
ここで。
連帯保証のもう一つの重要な性質が登場します。
「附従性です!」
私は言いました。
片桐所長が帳簿から顔を上げます。
「説明してみろ」
「はい!」
私は姿勢を正しました。
「保証債務は、主たる債務に従う性質があります」
「うん」
「主たる債務が弁済や有効な相殺で消滅すれば、その範囲で保証債務も消滅します」
「そうだ」
つまり。
連帯保証人だからといって、何もかも独立して背負うわけではない。
保証債務の根拠となる主たる債務が消えれば、保証債務もそれに従う。
「昨日、澄江さんを守ったのは、これだったんですね」
所長が頷きました。
「そうだ」
私は少し考えました。
「じゃあ、先輩」
「何だ」
「連帯保証人には催告と検索の抗弁権がないけど、主たる債務者が既に払ったことは主張できる」
「そうだ」
「主たる債務者による有効な相殺で借金が消えたことも主張できる」
「そうだ」
「つまり、連帯保証人は何も反論できないわけじゃない!」
「そのとおり」
私は拳を握りました。
なるほど。
ここを間違えてはいけません。
連帯保証人は、補充性による保護を受けない。
でも。
主たる債務が消えたことまで無視されるわけではない。
「先輩!」
「何だよ」
「黒田社長は、連帯保証の強さだけ知っていて、附従性を無視していたんですね!」
「そういうことだ」
相馬先輩は笑いました。
「法律を都合よく半分だけ使おうとした奴の負けだ」
◇
「さて」
片桐所長が言いました。
「では、昨日の事件と逆の場合を考えてみろ」
「逆?」
「ああ」
所長は白い紙を取りました。
そこに、三人の名前を書きます。
東海商事。
和夫。
澄江。
「昨日は、和夫が弁済し、相殺した」
「はい」
「だから澄江の連帯保証債務も消えた」
「はい」
「では、澄江が自分の金で百万円を支払ったら、どうなる」
私は即答しました。
「その百万円について、和夫さんの借金も減ります!」
「なぜだ」
「同じ借金について、債権者が二重取りすることはできないからです!」
所長が頷きました。
「そうだ」
連帯保証人が弁済すれば、その分だけ債権者に対する主たる債務も消滅する。
もちろん。
連帯保証人が主たる債務者に対して、後から求償できる場合があります。
でも、それは別の問題です。
「つまり、保証人が払っても、本人の借金は減るんですね」
「ああ」
ここで相馬先輩が口を挟みました。
「じゃあ、相殺はどうだ?」
「相殺?」
「澄江さん自身が、東海商事に対して百万円の債権を持っていたとする」
「はい」
「その債権を使って、連帯保証債務と相殺したら?」
私は考えました。
「相殺が有効なら、その百万円分は主たる債務にも影響します!」
「正解」
私は頷きました。
弁済。
相殺。
どちらも、債権者が受けられる満足に関係する。
だから、連帯保証人について生じたことでも、主たる債務者の債務に影響する場合がある。
そして、ここで登場するのが。
「絶対効!」
私は大きく書きました。
――絶対効。
ある人について生じた事由の法律上の効果が、ほかの関係者にも及ぶこと。
「じゃあ相対効は?」
先輩が聞きました。
「原則として、その人についてだけ効力が生じ、ほかの人には及ばないことです」
「そうだ」
私は二つの言葉を囲みました。
絶対効。
相対効。
名前だけ見ると難しい。
でも、考えていることは単純です。
誰かに起きたことが、ほかの人にも影響するのか。
それとも、その人だけの話なのか。
ただし。
「先輩、連帯保証は普通の連帯債務と完全に同じではないですよね」
「ああ」
相馬先輩が頷きました。
「そこが大事だ」
主たる債務者と連帯保証人。
二人とも債権者から全額請求される立場にある。
でも、二人の関係は対等な共同借主というわけではありません。
片方は主たる債務者。
もう片方は保証人。
この違いが、絶対効と相対効を考えるときにも重要になるのです。
◇
「まず、主たる債務者に生じた事由から整理しましょう!」
私はノートに書きました。
――主たる債務者から連帯保証人への影響。
「和夫さんが借金を全額返したら?」
相馬先輩が聞きました。
「澄江さんの連帯保証債務も消えます!」
「和夫さんが有効に相殺したら?」
「その範囲で保証債務も消えます!」
「貸付契約が無効だったら?」
「原則として、それに従う保証債務も成立しません!」
よし。
ここまでは大丈夫。
私は続けました。
「主たる債務者について生じた事由は、保証債務の附従性によって、連帯保証人にも影響します」
「そうだな」
「ただし、正確には、その事由が主たる債務にどういう法律効果を生じさせるかを確認しなければなりません」
所長が頷きました。
「大事なところだ」
たとえば。
主たる債務者が亡くなった。
それだけで借金が消えるとは限りません。
原則として、相続の問題になります。
主たる債務者が支払不能になった。
だからといって、当然に保証債務が消えるわけでもありません。
つまり。
「本人に何かあったら、何でも保証人が助かる、という意味じゃないんですね」
「そうだ」
私はノートに赤線を引きました。
主たる債務に生じた法律上の効果が、保証債務にも反映される。
これが大事。
単純に、
主たる債務者に生じたことは全部、保証人を免責する!
と覚えてはいけません。
◇
「では、今度は逆だ」
相馬先輩が言いました。
「連帯保証人に生じた事由が、主たる債務者に影響する場合だ」
「はい!」
私は鉛筆を握り直しました。
「原則としては、相対効ですね」
「そうだ。ただし昭和六十三年の民法には、今より広い範囲で絶対効を認める規定がある」
……来ました。
時代錯誤ポイント。
私は六法を開きました。
民法第四百五十八条。
そこには、連帯債務についての第四百三十四条から第四百四十条までを準用する規定があります。
「……あれ?」
私は首をかしげました。
「どうした」
「私の覚えている現代の条文と違います」
「また未来か」
「すみません!」
現代の民法第四百五十八条では、準用する条文が整理されています。
でも。
昭和六十三年では、もっと多くの事由について、連帯債務の絶対効の仕組みが及びます。
「具体的には?」
所長が尋ねました。
私は古い六法を見ながら答えました。
「履行の請求、更改、相殺、混同……」
「うん」
「さらに、免除や時効の完成についても、旧法では一定の絶対効が認められていました」
「そうだ」
私は少し驚きました。
「現代では、かなり変わっているんですね」
相馬先輩が言いました。
「今の仕事では、今の条文を使え」
「はい」
「それに、免除や時効の完成は、何でも主たる債務が全額消えると覚えるな」
「……はい?」
「連帯債務の負担部分をめぐる規定が、どう準用されるかという問題もある。単純な丸暗記で済ませるな」
なるほど。
絶対効といっても。
その効果が及ぶ範囲は、事由ごとに確認する必要がある。
私は赤鉛筆で書き加えました。
――絶対効は、いつでも全額消滅という意味ではない。
すると。
相馬先輩が、机を指で叩きました。
「こはる」
「はい」
「一番分かりやすい違いを教えてやる」
「何でしょう」
「請求だ」
◇
「例えば、昭和六十三年の今日、東海商事が澄江さんに履行を請求したとする」
「はい」
「でも、和夫さんには何も知らせていない」
「はい」
「この場合、旧民法ではどうなる」
私は六法を見ました。
第四百五十八条。
そして、準用される第四百三十四条。
連帯債務者の一人に対する履行の請求の効力。
「……あ!」
私は顔を上げました。
「和夫さんにも、請求の効力が及ぶんですか?」
「そうだ」
「和夫さん本人には何も言っていないのに?」
「ああ」
「……怖っ!」
私は思わず叫びました。
昭和の民法。
連帯保証人に対する履行の請求は、主たる債務者にもその効力が及ぶ。
そして、当時の民法では、請求が時効の中断に関係します。
「つまり、和夫さん本人が知らないところで、連帯保証人への請求が和夫さんの時効にも影響する可能性があるんですね」
「そういうことだ」
もちろん、具体的な請求方法や時効中断の要件は別に確認する必要があります。
でも。
旧法では、連帯保証人への履行請求に、主たる債務者への絶対効が認められていた。
ここが重要です。
「じゃあ現代は?」
相馬先輩が聞きました。
私は少し身を乗り出しました。
「原則として、連帯保証人に請求しただけでは、主たる債務者に同じ効力は及びません!」
「ほう」
現代の改正民法では。
連帯債務者の一人に対する履行請求は、原則として相対効です。
それに対応して、連帯保証人への請求も、原則として主たる債務者に効力を生じません。
ただし、法定の範囲で別段の意思表示がある場合などは別です。
「なぜ変わったんでしょう?」
私は自分で問いかけました。
そして、昨日の澄江さんを思い出します。
もし。
甥の和夫さんが知らないうちに。
東海商事が澄江さんにだけ請求していたら。
和夫さんは、自分に対する請求があったと同じような法律効果を受けることになります。
「……本人が知らないところで、不利益が生じるのは不公平ですよね」
私は呟きました。
片桐所長が頷きました。
「その考え方は大切だ」
保証人は、主たる債務者とは別の人です。
その保証人がどんな通知を受けたかを、主たる債務者がすべて把握しているとは限りません。
まして。
主たる債務者から依頼されたわけではなく、保証人になっている人が存在する場合だってあります。
「だから、現代では原則として、人ごとに法律効果を判断する方向へ整理されたんですね」
「そういうことだな」
相馬先輩は腕を組みました。
「ただし、弁済したなら別だ」
「はい!」
私は頷きました。
誰かが実際に払って、借金が減った。
それなのに、ほかの人にも同じ額を払えというのはおかしい。
だから弁済による債務消滅の効果は、他方にも及ぶ。
一方。
誰か一人に請求した。
それだけで、何も知らない他方にも当然に請求の効力が及ぶ。
これは、現代では原則とされなくなった。
「なるほど……」
私は鉛筆を止めました。
「昔の民法と今の民法、何を公平と考えるかの整理が変わっているんですね」
所長が静かに言いました。
「法律は、そうやって見直されていくものだ」
◇
「次!」
私はノートをめくりました。
「連帯保証人について生じた相殺です!」
相馬先輩が頷きます。
「昨日は、和夫自身が相殺したな」
「はい」
昨日の事件。
和夫さんが東海商事に対して持っていた、二百万円の売買代金債権。
それを使って、借入金残債務二百万円を相殺した。
だから。
主たる債務が消えた。
保証債務も消えた。
「では、逆に澄江さんが東海商事に二百万円の債権を持っていた場合です」
私は紙に書きました。
澄江さんの売買代金債権。
二百万円。
澄江さんの連帯保証債務。
二百万円。
「澄江さんが相殺の意思表示をしたら?」
相馬先輩が尋ねます。
「その相殺が有効なら、二百万円分の債務が消滅します!」
「和夫の借金は?」
「同じ範囲で消滅します!」
「そうだ」
私は頷きました。
現代の民法では、第四百五十八条が第四百三十九条第一項を準用しています。
連帯保証人が、自分の債権を使って相殺した場合。
その債務消滅の効力は、主たる債務者にも及ぶ。
「これは、昭和でも現代でも重要な絶対効ですね」
「そうだな」
ただし。
ここで私は、もう一つ注意点を思い出しました。
「先輩!」
「何だ」
「誰の債権で相殺するかも、区別しなければいけません!」
「説明してみろ」
私は鉛筆を握りました。
連帯保証人自身が債権者に対して持つ債権。
これを使って相殺する場合。
一方。
主たる債務者が債権者に対して持つ債権。
これを保証人側が利用しようとする場合。
「これは同じ話ではありません!」
「そうだ」
主たる債務者本人が相殺の意思表示をすれば、主たる債務が消える。
それによって、保証債務も消える。
しかし。
主たる債務者がまだ相殺していない場合に、保証人がどこまで主張できるかは、別の規定と要件の問題になります。
「昭和の旧法と現代の新法で、ここも条文の整理が違うんですよね」
相馬先輩が呆れました。
「だから、お前は今どっちの六法を読んでるんだ」
「昭和です!」
「なら、旧法の四百五十七条も確認しろ」
「はい!」
私は六法を開きました。
旧民法第四百五十七条第二項。
そこには、保証人が主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗できる旨が定められています。
これに対して、現代の民法第四百五十七条第三項では、主たる債務者に相殺権などがある場合に、保証人が一定の範囲で履行を拒める仕組みが明文化されています。
「……ややこしい!」
私は頭を抱えました。
「同じ相殺なのに!」
「同じ言葉でも、誰が権利を持っていて、誰が行使するのかを分けろ」
「はい……」
なるほど。
試験問題で、
主たる債務者が相殺した。
と書いてあるのか。
連帯保証人が自分の債権で相殺した。
と書いてあるのか。
それとも。
主たる債務者に相殺できる債権があるだけなのか。
ここを読み飛ばしてはいけないのです。
◇
「さて、次は更改だ」
相馬先輩が言いました。
「更改……」
私は少し顔をしかめました。
「民法の中でも、名前だけでは意味が分かりにくい制度ですよね」
「知ってるなら説明しろ」
「はい!」
私はノートに書きました。
――更改。
債務の重要な要素を変更し、従前の債務を消滅させ、新しい債務を成立させる契約。
「たとえば、連帯保証人と債権者との間で、必要な要件を満たす更改が行われた場合です」
「うん」
「旧債務が新しい債務に置き換わる」
「そうだ」
「そのとき、旧債務の消滅の効力が、主たる債務者にも及ぶ!」
私は頷きました。
現代民法第四百三十八条。
更改。
その規定が、第四百五十八条によって連帯保証に準用される。
ただし、保証人が新しい債務をどう負うかなどは、更改の内容や別の規定に従って考えなければいけません。
「要するに、単に支払期日を相談しただけで、何でも更改になるわけではないんですね」
「そうだ」
相馬先輩が頷きました。
「古い債務を消して、新しい債務を成立させるという合意が本当にあるか。そこを確認しろ」
「はい!」
私は赤線を引きました。
そして。
「次が混同です!」
「おう」
混同。
これも、普段あまり使わない法律用語です。
「例えば」
私は言いました。
「債権者と債務者が、相続などによって同じ人になる場合です」
「そうだ」
同じ人が。
自分にお金を請求する権利を持ち。
同時に、自分にお金を払う義務を負う。
原則として、そんな関係をそのまま残す意味はありません。
「だから、混同によって債権債務が消滅することがある」
「そうだ」
「連帯保証人と債権者の間で混同が生じた場合には、民法上、弁済をしたものとみなす仕組みが準用される!」
「正解」
私は頷きました。
現代民法第四百四十条。
混同。
そして第四百五十八条。
ただし、混同にも例外や具体的な権利関係の問題があります。
だから。
債権者と債務者が同じ人になったら、必ずすべての関係が単純に消える!
と決めつけてはいけません。
「……民法って、例外が多いですね」
私が呟くと、相馬先輩が笑いました。
「人間の生活が複雑なんだから、仕方ねえだろ」
確かに。
借金。
保証。
相続。
売買。
会社の取引。
どれも、人間の生活そのものです。
単純な一行だけで、すべてを処理できるわけがありません。
◇
「ところで、こはる」
片桐所長が言いました。
「連帯保証人に対して、債権者が債務を免除したらどうなる」
「免除?」
「ああ」
私は考えました。
例えば。
東海商事が澄江さんに、
――あなたの連帯保証債務は免除します。
と言った場合。
「澄江さんは、その免除された保証債務を負わなくなります」
「そうだ」
「でも、和夫さんの借金まで、当然に全部消えるとは限りません」
所長が頷きました。
「そのとおり」
私は少し嬉しくなりました。
そうです。
保証債務は、主たる債務に従う。
でも。
保証人だけが免除されても、主たる債務が当然に全部消えるわけではありません。
主たる債務者と保証人の関係は、完全に対称ではないのです。
「先輩!」
「何だ」
「つまり、方向が大事なんですね!」
「そうだ」
主たる債務が消滅した。
それなら、保証債務も原則として消える。
でも。
保証債務だけが免除された。
だからといって、主たる債務が当然に消えるわけではない。
「そして、昭和六十三年の旧法では、免除に関する連帯債務の特別な絶対効規定の準用も問題になる」
私は古い六法を見ました。
旧民法第四百三十七条。
連帯債務者の一人に対する免除。
そして第四百五十八条。
「うう……」
私は頭を抱えました。
「現代の感覚で、免除は全部相対効って覚えていたら危険ですね」
相馬先輩が頷きました。
「今と昔で条文が違うからな」
「しかも旧法では、負担部分という考え方も絡んでくる」
「そうだ」
私は書きました。
――旧法の免除・時効完成は、絶対効の範囲に注意。
――現代法では、原則として相対効に整理。
――保証債務と主たる債務の関係を、単純な連帯債務と混同しない。
「この辺り、丸暗記だけだと危ないですね」
所長が静かに答えました。
「だから、誰の債務を、どんな原因で消したのかを見る」
「はい!」
◇
「じゃあ、現代の連帯保証における絶対効を整理します!」
私はノートを開きました。
相馬先輩が顔をしかめます。
「また未来の話か」
「比較すると分かりやすいんです!」
「しょうがねえな」
私は書きました。
現代の民法第四百五十八条が準用する規定。
更改。
相殺。
混同。
そして、相対的効力の原則。
「ここを軸にします!」
現代では。
連帯保証人に生じた事由は、原則として主たる債務者には効力を及ぼさない。
ただし。
更改。
連帯保証人自身による有効な相殺。
混同。
こうした事由は、条文に従って主たる債務者にも影響します。
さらに。
弁済による債務消滅も、当然に考えなければいけません。
「だから試験では、弁済・相殺・混同・更改という組合せが大事になるんですね」
「そうだな」
私は大きく書きました。
――弁・相・混・更!
「……何だそれ」
相馬先輩が聞きました。
「弁済、相殺、混同、更改です!」
「また変な呪文を作ったな」
「覚えられれば勝ちです!」
先輩は呆れました。
「試験勉強って大変だな」
「大変なんです!」
でも。
これは単なる語呂合わせではありません。
弁済は、実際に債務が履行された。
相殺は、互いの債権債務を対当額で消す。
混同は、債権者と債務者の地位が同じ人に帰属する。
更改は、古い債務を消して、新しい債務を成立させる。
それぞれの法律効果が、ほかの関係者の債務にも影響する。
「理由を理解すれば、覚えやすいですね」
「そうだ」
相馬先輩は頷きました。
「ただし、語呂合わせだけで条文の細かい要件を飛ばすなよ」
「はい!」
そして。
私はノートの横に、もう一つ書きました。
――旧法では、請求などにも絶対効が認められていた。
――現代では、請求は原則として相対効。
これが、昭和と令和の大きな違い。
転生者として、絶対に間違えてはいけないところです。
◇
「でも、もう一つ気になることがあります」
私は言いました。
「何だ」
「保証契約そのものです」
相馬先輩が首をかしげました。
「契約がどうした」
「現代では、保証契約は書面でしなければ効力を生じませんよね」
「……書面?」
先輩の眉が動きました。
あ。
またです。
私は古い六法を開きました。
そして、固まりました。
「……ない」
「何が」
「現代の民法四百四十六条第二項の、書面によらなければ効力を生じないという規定が、まだありません!」
そうです。
昭和六十三年。
この時代には、現在のような保証契約の書面要件はありません。
当時は、保証契約が口頭で成立する場合もありました。
もちろん。
誰が、どんな保証の意思表示をしたか。
その立証は必要です。
でも。
現代のように、保証契約は書面でしなければ効力を生じない、という一般的なルールは、まだない。
「……怖い!」
私は思わず叫びました。
相馬先輩が顔をしかめます。
「何がだよ」
「口頭で保証を引き受けたと認められたら、責任が生じる場合があるんですよね!」
「そうだな」
「現代では、そこが改正されたんです!」
平成十六年の民法改正。
平成十七年施行。
保証契約について、原則として書面を必要とする制度が導入されました。
現代では、一定の電磁的記録も書面と同様に扱われます。
「つまり、保証人が軽い気持ちで責任を引き受けてしまう危険を減らす方向へ改正されたんですね」
所長が頷きました。
「保証は、それほど慎重に扱うべき契約だということだ」
「はい」
さらに、令和二年施行の債権法改正では。
個人根保証に関する規律の拡充。
一定の事業用融資の保証についての公正証書による保証意思宣明。
保証人への情報提供。
そうした保護の仕組みも整えられました。
ただし、例外や適用要件があります。
「昨日の澄江さんみたいに、身内を助けたいという気持ちで保証する人も多いでしょうからね」
私は呟きました。
相馬先輩が言いました。
「助けたい気持ちと、六百万を払えるかどうかは、別問題だ」
「……そうですね」
「だから、署名する前に責任の重さを考えろってことだ」
私は頷きました。
澄江さんは、悪いことをしたわけではありません。
ただ、甥を助けたかった。
その気持ちにつけ込んで、金融業者が強引な請求をした。
そんな事件でした。
そして。
保証契約に慎重な手続を要求する現代の制度には、そうした危険を減らす意味があるのです。
◇
「さて」
片桐所長が帳簿を閉じました。
「確認問題だ」
「はい!」
私は背筋を伸ばしました。
「普通保証人は、原則として、まず主たる債務者に請求するよう求められるか」
「はい! 催告の抗弁権です!」
「主たる債務者に弁済する資力があり、執行が容易であると証明した場合は?」
「検索の抗弁権を主張できます!」
「連帯保証人は?」
「どちらもありません!」
「よし」
私は拳を握りました。
所長が続けます。
「主たる債務者が借金を全額弁済したら?」
「保証債務も消滅します!」
「連帯保証人が一部を弁済したら?」
「その範囲で主たる債務も消滅します!」
「連帯保証人自身が債権者に対する債権を使って有効に相殺したら?」
「その債務消滅の効力は、主たる債務者にも及びます!」
「よし」
ここまでは順調。
ところが。
「昭和六十三年、連帯保証人に対する履行請求の効力は、主たる債務者にも及ぶか」
「及びます!」
「現代では?」
「原則として及びません!」
「なぜだ」
「連帯保証人が請求を受けたことを、主たる債務者が知らない場合もあるからです!」
所長が頷きました。
「よし」
やった。
完璧です。
「じゃあ俺からも一問」
相馬先輩が言いました。
「はい!」
「現代の連帯保証人について生じた事由で、原則として他方にも効力が及ぶ典型例は?」
「弁済、相殺、混同、更改です!」
「旧法では?」
「請求などにも、絶対効が認められていました!」
「いいぞ」
私は思わず笑いました。
「先輩、褒めましたね!」
「調子に乗るな」
「褒めた!」
「乗るなって言ってるだろ!」
でも。
私は少しだけ自信がつきました。
連帯保証。
最初は、ただ怖い制度だと思っていました。
でも、普通保証との違い。
補充性。
催告の抗弁権。
検索の抗弁権。
附従性。
絶対効。
相対効。
それぞれの意味を整理すると、きれいにつながっていきます。
◇
窓の外は、もう夕暮れでした。
私はノートを見直しました。
六百万円。
最初にその数字を見たとき、頭が真っ白になったことを覚えています。
自分が借りてもいないお金。
でも、連帯保証人というだけで請求される。
しかも、主たる債務者の財産から先に取り立てろとは言えない。
そんな制度がある。
でも。
そこで諦めてはいけない。
実際にいくら残っているのか。
誰が弁済したのか。
相殺できる債権はないのか。
保証債務の対象となる主たる債務は、今も存在しているのか。
そこを確かめれば、守れるものがある。
「所長」
「何だ」
「昨日の事件、もし私が最初から『連帯保証人だから払うしかない』って思い込んでいたら……」
「どうなったと思う」
「澄江さんの家を、守れなかったかもしれません」
所長は黙って頷きました。
「だから、事実を見る」
「はい」
「相手がどんな条文を持ち出しても、まず請求の根拠と金額を確認する」
「はい!」
私は昨日の領収書を思い出しました。
四百万円の返済。
そして、二百万円の売買代金債権。
その二つがなければ、あの事件の結末は違っていたかもしれません。
法律の力。
それは、難しい言葉を知っていることだけではありません。
目の前の人が、どんな事実を抱えているのか。
その事実を、どの法律に当てはめるのか。
そこまで考えられて、初めて人を守れるのです。
◇
「さて!」
私は最後のページを開きました。
「今日の一行の覚え書きです!」
相馬先輩が新聞を畳みました。
「また長えのを書くんじゃねえだろうな」
「一行です!」
私は鉛筆を握りました。
そして、ゆっくり書きました。
――連帯保証は「先に本人へ」と言えないが、借金が消えれば保証も消える。保証人側の事由は原則相対効、弁済・相殺・混同・更改に注意!
「……できた!」
私はノートを掲げました。
「どうですか!」
相馬先輩が覗き込みました。
「まあ、いいんじゃねえか」
「褒めましたね!」
「ただし、昭和と現代の違いも忘れるなよ」
「はい!」
私はその下に、小さく書き加えました。
――昭和の旧法は請求などにも絶対効あり。現代は請求が原則相対効。
よし。
これで完璧。
……と思った、そのときです。
相馬先輩が言いました。
「こはる」
「はい?」
「じゃあ、もし俺がお前の借金の連帯保証人になったら、どうなる?」
「え?」
「お前が百万円借りて、俺が連帯保証人になったとする」
「はい」
「債権者が俺に百万円払えと言ったら?」
「先輩は、まず私に請求してくださいとは言えません!」
「そうだな」
「私に財産があっても、まず私の財産から取り立てろとは言えません!」
「そうだ」
「だから先輩、百万円払わなきゃいけなくなるかもしれません!」
相馬先輩が頷きました。
「じゃあ、お前はどうする?」
私は即答しました。
「先輩を助けます!」
「どうやって?」
「一緒に内容証明を作ります!」
……。
沈黙。
相馬先輩が、ゆっくり私を見ました。
「こはる」
「はい?」
「俺が代わりに百万円払ったら、お前に求償する話になるんだぞ」
「……あ」
「内容証明を書く前に、お前が借金を返せ」
「……ごもっともです」
先輩はため息をつきました。
「お前、法律を勉強する前に、借りた金は返せって常識を覚えろ」
「はい……」
私はしょんぼりしました。
でも。
そこで一つ気づきました。
「先輩!」
「今度は何だ!」
「連帯保証人が払ったあと、主たる債務者に求償する権利もあるんですよね!」
「ある」
「じゃあ、保証債務の絶対効と、求償権は別に整理する必要がありますね!」
「そうだ」
「なるほど! また勉強することが増えました!」
「喜ぶな!」
相馬先輩は呆れました。
私は笑いました。
民法。
本当に、奥が深い。
保証人が払った。
それで債権者への借金が消えた。
でも、今度は保証人と主たる債務者との間に、求償という別の問題が生まれる。
法律の関係は、一つの支払いで何もかも終わるとは限らない。
そこまで考える必要があるのです。
「……先輩」
「何だ」
「私、連帯保証人にはなりたくないです」
「そりゃそうだろ」
「でも、誰かを助けたいって気持ちは分かります」
相馬先輩は少し黙りました。
それから。
「助けたいなら、まず相手の状況を調べろ」
「はい」
「借金はいくらか。返せる見込みはあるか。保証の範囲はどこまでか」
「はい」
「そして、自分が全部払うことになっても生活できるのか」
私は頷きました。
「それを考えずにハンコを押すな」
「……はい」
昨日の澄江さん。
甥を助けたいという気持ちで署名しました。
それが、家を失うかもしれないほどの責任を生んだ。
でも。
民法の仕組みを正しく理解したことで、六百万円の不当な請求を退けられた。
その事実は、私の中に深く残っています。
窓の外。
商店街の明かりが、少しずつ灯っていきました。
あのどこかで。
澄江さんは、今日もミシンを踏んでいるのでしょう。
カタカタ、カタカタ。
布を縫い合わせる音。
亡くなったご主人が残した家。
その一階で、いつもの仕事を続けている。
たったそれだけのことが。
どれほど大切なのか。
私は、昨日の事件で知りました。
連帯保証。
民法は、保証人に重い責任を負わせます。
でも。
その責任の範囲を、債権者の言いなりに決めさせるわけではありません。
主たる債務が消えれば、保証も消える。
保証人が弁済すれば、同じ借金を二重に取り立てることはできない。
そして、どんな法律効果が誰に及ぶかも、条文に従って判断する。
そこには。
厳しさと、公平さの両方があるのです。
私はノートの最後の一行を、もう一度読みました。
――連帯保証は「先に本人へ」と言えないが、借金が消えれば保証も消える。
よし。
忘れません。
「こはる!」
相馬先輩の声が飛びました。
「はい!」
「ノートは終わったか!」
「終わりました!」
「じゃあ、帳簿を片付けろ!」
「ええっ!」
「見習いだろ!」
私は腕を組みました。
「先輩」
「何だ」
「私の帳簿整理を、先輩が連帯保証してくれませんか?」
「は?」
「私が片付けられなかったら、先輩が代わりに片付けるんです!」
相馬先輩は一瞬、黙りました。
そして。
「断る!」
「即答!?」
「当たり前だ!」
「どうしてですか!」
「お前の仕事に連帯保証なんかしてたら、俺の仕事が増えるだけだろ!」
私は笑いました。
「じゃあ、普通保証なら?」
「それも断る!」
「検索の抗弁権がありますよ!」
「お前の机に十分な片付け能力があることは証明できねえ!」
「ひどい!」
奥から、片桐所長の声がしました。
「二人とも」
「はい!」
「帳簿は二人で片付けろ」
……。
私は相馬先輩を見ました。
先輩も私を見ました。
「所長」
相馬先輩が言いました。
「それは連帯債務ですか?」
「業務命令だ」
「……はい」
私は思わず吹き出しました。
相馬先輩も苦笑しています。
なるほど。
法律を持ち出しても、帳簿整理から逃げられるわけではないようです。
残念。
でも。
今日、私は一つだけ確信しました。
連帯保証人になる前に、絶対に確かめなければならないことがある。
それは。
その契約が、いったい誰の、どんな債務を、どこまで背負う約束なのかということ。
だって。
「ちょっと名前を貸して」
その一言で始まった保証が。
家を失うほどの責任になることもあるのですから。
私は鉛筆を置き、帳簿を手に取りました。
昭和六十三年。
片桐行政書士事務所。
今日も、民法の勉強は終わりません。
ただし。
連帯保証人には、もう少し慎重になることにします。
たとえ相手が。
口の悪い、面倒見のいい先輩だったとしても。
「こはる!」
「はい!」
「俺を悪い例にするな!」
「えっ、心を読まれました!?」
「顔に書いてある!」
……なるほど。
契約書に署名する前に考えることは、大切です。
でも。
余計なことを顔に出さない練習も、少し必要かもしれません。
少なくとも。
相馬先輩の前では。
以下に私の作品へのリンク貼ってます。是非、手に取って頂ければと思います。また、ついでに評価ブックマーク頂ければ幸いです。




