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こはる行政書士見習帖 〜 昭和に転生して許認可に振り回されると試験知識が骨身にしみます 〜  作者: 条文小説
〈民法 配点76点/300点〉 総則

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443/610

[民法・強迫]現場編 「脅したのは私じゃありません」の罠。善意の買主さえ守られない、強迫取消しの恐るべき力

挿絵(By みてみん)

 人は、怖くて押したハンコにも、責任を負わなければならないのでしょうか。


 家族を傷つける。


 店を潰す。


 秘密をばらす。


 そんな言葉を突きつけられて。


 震える手で契約書に署名したとしても。


 そこに赤い印影が残っていたら。


 もう、取り返しがつかないのでしょうか。


 昭和六十三年。


 片桐行政書士事務所。


 その日の私は、民法の中でも、とびきり恐ろしい条文に出会うことになります。


 民法第九十六条。


 強迫。


 そして。


 その条文が、何も知らない善良な第三者の権利さえ覆してしまうことを。


 私はまだ、知りませんでした。



「お願いです。娘だけは、巻き込まないでください……」


 朝九時。


 事務所を訪れた女性は、そう言って頭を下げました。


 名前は、村瀬芳江さん。


 五十四歳。


 駅から少し離れた商店街で、小さな洋裁店を営んでいます。


 夫は五年前に他界。


 現在は、高校三年生の娘さんと二人暮らし。


 亡くなった夫が残した店舗兼住宅で、婦人服の仕立て直しや学生服の裾上げをしているそうです。


「娘さんが、どうかしたんですか?」


 私が尋ねると、芳江さんは膝の上でハンカチを握りしめました。


「店を……売ってしまったんです」


「お店を?」


「はい」


「誰にですか?」


「駅前の不動産会社です」


 私は首をかしげました。


 土地と建物を売却した。


 それ自体は、珍しい話ではありません。


 でも。


「売りたくなかったんです」


 芳江さんが言いました。


「なのに、売るしかなかったんです」


 その声は震えていました。


「どういうことですか?」


 芳江さんは鞄から一枚の紙を取り出しました。


 土地建物売買契約書。


 売主。


 村瀬芳江。


 買主。


 東栄不動産株式会社。


 売買代金。


 八百万円。


「八百万円……」


 私は契約書を見つめました。


 商店街とはいえ、店舗兼住宅です。


 土地は六十坪。


 建物は木造二階建て。


 八百万円という金額が妥当なのか。


 まず、そこが気になりました。


「不動産屋さんには、二千万円以上の価値があると言われました」


「えっ?」


「でも、そんなことは、もういいんです」


 芳江さんは俯きました。


「お金なんて、いりません」


「……え?」


「家を返してほしいんです」


 そのとき。


 芳江さんの手首が見えました。


 青黒い痣。


 私は息を呑みました。


「その痣……」


 芳江さんは慌てて袖を下ろしました。


「何でもありません」


「でも……」


「お願いです」


 彼女の声が小さくなりました。


「娘には、絶対に言わないでください」


 その瞬間。


 奥で書類を読んでいた片桐所長が顔を上げました。


「村瀬さん」


「はい」


「契約書に署名した日のことを、最初から話してください」


 芳江さんはしばらく黙っていました。


 そして。


 ぽつりと、話し始めたのです。



 三週間前。


 閉店間際の洋裁店に、一人の男がやって来ました。


 名前は、黒田修一。


 四十代半ば。


 地元では、少々評判の悪い金融業者でした。


「村瀬さん。駅前の再開発の話、聞いてるだろ?」


 男は勝手に椅子へ腰掛けました。


「ええ、まあ……」


「あんたの店も、そろそろ売り時だぜ」


「売るつもりはありません」


「へえ」


 黒田は笑いました。


「娘さん、来年は東京の学校に行きたいんだって?」


 芳江さんの手が止まりました。


「……どうして、それを」


「毎朝七時四十分のバスに乗ってるんだろ?」


 黒田は煙草を取り出しました。


「紺色の鞄を持ってな」


 芳江さんの顔から血の気が引きました。


「何が言いたいんですか」


「別に」


 黒田は机を指で叩きました。


「ただ、若い娘さんが夜道を歩くのは危ないと思ってな」


「……!」


「事故なんて、いつ起きるか分からねえだろ」


 男は一枚の名刺を置きました。


 東栄不動産株式会社。


「ここの社長が、あんたの土地を欲しがってる」


「私は売りません」


「そうかい」


 黒田は立ち上がりました。


 そして。


 帰り際に、低い声で囁いたのです。


「娘さんの進学、楽しみだな」


 翌日。


 店のシャッターに、赤いペンキが塗られていました。


 その翌日。


 店先の植木鉢が、すべて割られていました。


 さらに三日後。


 娘さんの通学路で、黒い車が何度も徐行するようになりました。


 そして。


 契約の前夜。


 黒田は再び洋裁店を訪れました。


「村瀬さん」


 男は笑っていました。


「八百万円で売る気になったか?」


「お願いです……」


 芳江さんは泣いていました。


「娘には、何もしないでください」


「だったら分かるだろ」


 黒田は芳江さんの手首を掴みました。


「明日、不動産屋に行け」


 強く。


 骨が軋むほど強く。


「契約書にハンコを押せ」


「痛い……!」


「余計なことを言うなよ」


 男は顔を近づけました。


「娘がどうなっても知らねえぞ」


 その翌日。


 芳江さんは東栄不動産へ行きました。


 そして。


 売買契約書に署名したのです。


 八百万円。


 夫が残した土地と建物を。


 震える手で。


 自分の名前を書いて。


 実印を押しました。



「……そんな」


 話を聞き終えた私は、言葉を失いました。


 酷い。


 あまりにも酷い。


 自分の財産を売りたくない人に。


 娘を傷つけると脅して。


 無理やり契約書を書かせる。


 そんなもの。


 自由な契約でも何でもありません。


「大丈夫です!」


 私は立ち上がりました。


「強迫による意思表示です! 民法九十六条で取り消せます!」


 芳江さんが顔を上げました。


「本当ですか……?」


「はい!」


 ここは自信があります。


 強迫。


 相手に害悪を告知し、恐怖を与えることで、自由な意思決定を妨げる行為。


 強迫によってした意思表示は、取り消すことができる。


 民法九十六条一項。


 行政書士試験の重要論点です。


 しかも。


 今回は実印を押していても関係ありません。


 強迫による意思表示であれば、取消しが問題になるのです。


「所長!」


 私は振り返りました。


「今回は、現代の民法でも昭和の民法でも、九十六条一項は同じですよね!」


「……そうだな」


「やった!」


「何がだ」


「いえ、こちらの話です!」


 危ない。


 また未来の民法を口にするところでした。


 ですが。


 今回は、強迫の基本的な効果に大きな時代差はありません。


 これなら戦えます。


 ところが。


「待て、こはる」


 相馬先輩が契約書を見ました。


「はい?」


「買主は誰だ」


「東栄不動産です」


「脅したのは?」


「黒田という金融業者です」


「同じ人間か?」


「……違います」


 私は止まりました。


 そうです。


 ここが問題です。


 契約の相手方は、東栄不動産。


 脅したのは、第三者の黒田。


 つまり。


 第三者による強迫。


「あ……!」


 私が声を上げると、相馬先輩がにやりとしました。


「気づいたか」


「はい!」


「じゃあ、どうする?」


 私は頭の中で民法を開きました。


 第三者による詐欺。


 その場合は、相手方が詐欺を知っていたかどうかが重要です。


 現代なら、知ることができた場合も含まれます。


 でも。


 昭和六十三年の旧民法九十六条二項は、相手方が詐欺の事実を知っていたときに限って取消しができる、という規定でした。


 ……って。


「先輩!」


「何だ」


「これ、詐欺じゃありません!」


「当たり前だろ」


「強迫です!」


「だから?」


「第三者の強迫には、九十六条二項の制限がないんです!」


 相馬先輩が頷きました。


「そうだ」


 私は思わず拳を握りました。


 第三者が詐欺をした場合。


 昭和の旧民法では、相手方がその事実を知らなければ、原則として取り消せない。


 しかし。


 第三者が強迫をした場合。


 相手方が何も知らなくても、取り消せる。


 つまり。


「東栄不動産が黒田の脅しを知らなかったとしても、取消しはできるんですね!」


「そのとおりだ」


 所長が短く答えました。


 芳江さんの目に、少しだけ光が戻りました。


「……じゃあ、家は」


「まだ終わりではありません」


 片桐所長が静かに言いました。


「村瀬さん。代金は受け取りましたか」


「はい。銀行振込で……」


「登記は?」


「先週、司法書士の先生が来て、書類を渡しました」


 所長の表情が、わずかに険しくなりました。


「……登記が移っている可能性がありますね」


 私は息を呑みました。


 不動産登記。


 所有権移転。


 そして。


 もし、その先に第三者がいたら。


 話はさらに複雑になります。



「取り消したい?」


 翌日。


 芳江さん本人が東栄不動産へ事情確認に赴くというので、私は事前の資料整理を手伝いました。


 その日の午後。


 彼女は、事務所へ戻ってきました。


 顔色が真っ白でした。


「……駄目だって」


「え?」


「社長さんが、契約は有効だって……」


 芳江さんは一枚の紙を差し出しました。


 東栄不動産から渡された回答書です。


 そこには、こう記されていました。


 ――当社は、売主村瀬芳江との間で適法に売買契約を締結した。


 ――売主本人が署名押印し、売買代金も支払済みである。


 ――当社は、黒田修一なる人物が売主に対して何らかの強迫行為を行った事実を一切知らない。


 ――したがって、当社に責任はなく、契約の取消しには応じられない。


 最後に。


 ――なお、本件不動産は既に第三者へ転売済みであり、当社には返還する権限もない。


「……転売?」


 私は思わず声を上げました。


「もう、別の人に売ったんですか?」


 芳江さんが頷きました。


「昨日、社長さんからそう聞きました」


「買ったのは誰ですか?」


「大西建材という会社だそうです」


 相馬先輩が顔を上げました。


「大西建材?」


「知ってるんですか?」


「ああ。隣町の建材卸だ。社長の大西は、商売堅気の男だって聞くが……」


 私は唇を噛みました。


 困りました。


 これで、関係者は四人。


 芳江さん。


 強迫した黒田。


 売買契約の相手方である東栄不動産。


 そして、転売先の大西建材。


 まるで、民法の問題集です。


 AがBに強迫される。


 AがCに土地を売る。


 CがDに転売する。


 ……いや。


 実際に目の前で起きると、問題集どころの話ではありません。


 芳江さんの人生がかかっています。


「先輩」


「何だ」


「第三者が出てきました」


「そうだな」


「しかも、善意の第三者かもしれません」


「ああ」


「これ……」


 私は一瞬、言葉に詰まりました。


 民法九十六条三項。


 詐欺による意思表示の取消しは、善意無過失の第三者に対抗できない。


 現代のルールです。


 第三者が善意で、しかも過失がなければ、その人の信頼を保護する。


 でも。


 昭和六十三年の条文には、「無過失」という文言がまだありません。


 そして何より。


 今回の事件は、詐欺ではない。


 強迫です。


「先輩!」


「何だ」


「九十六条三項って……」


「うん」


「詐欺の話ですよね?」


「そうだ」


「強迫には適用されない!」


 相馬先輩が頷きました。


「やっと見えてきたな」


 私は息を吸いました。


「じゃあ、大西建材が強迫の事実を知らず、知らなかったことに落ち度もなかったとしても……」


「原則として、強迫取消しを対抗できる」


「……!」


 私は思わず立ち上がりました。


 凄い。


 強迫による取消し。


 ここまで強いのですか。


 ただし。


「喜ぶのは早いぞ」


 相馬先輩が言いました。


「はい?」


「大西建材に罪があるとは限らねえ」


「……そうですね」


「それに、土地の登記も絡む。転売が取消し前なのか、後なのか。そこも調べなきゃならん」


「はい」


「取消し後の第三者なら、民法百七十七条の問題も出てくる」


 私は頷きました。


 つまり。


 単純に、


『強迫だから誰からでも無条件で取り返せる!』


 と叫ぶだけでは駄目なのです。


 いつ誰が何を取得したか。


 どの登記がなされたか。


 そこまで整理する必要がある。


 そして。


 私はもう一つ、大事なことに気づきました。


「先輩」


「何だ」


「何も知らずに買った人が、土地を失う可能性があるんですよね」


「そうだ」


「……ちょっと、怖い法律ですね」


 相馬先輩はしばらく黙りました。


 そして言いました。


「だからこそ、強迫は重いんだよ」



 翌朝。


 片桐所長の机には、資料が揃っていました。


 売買契約書。


 振込記録。


 不動産登記簿謄本。


 黒田から受けた脅しについての芳江さんの陳述書。


 手首の痣を撮影した写真。


 ペンキを塗られたシャッターの写真。


 そして。


 商店街の人たちから得た目撃情報。


「黒田の車を見た人が三人いました」


 私は報告しました。


「うん」


「そのうち一人は、黒田が娘さんの通学時間を尋ねていたことも覚えています」


「そうか」


「それから、契約前夜に怒鳴り声を聞いた隣の文具店のご主人もいます」


 相馬先輩が頷きました。


「証拠が増えたな」


「はい!」


 もちろん。


 痣があっただけで、直ちに黒田による強迫が証明されるわけではありません。


 でも。


 複数の事実を組み合わせると、話の輪郭が見えてきます。


 娘の通学路を調べる。


 財産の売却を迫る。


 店への嫌がらせが続く。


 契約前夜に暴力的な言動がある。


 その翌日、相場より大幅に安い契約が結ばれる。


 偶然です。


 そんな説明だけで、全部片付けられるでしょうか。


「所長」


「何だ」


「登記簿も取れました」


「見せてみろ」


 所長は謄本を開きました。


 所有権移転。


 村瀬芳江から東栄不動産へ。


 その後。


 東栄不動産から大西建材へ。


 原因はいずれも売買。


 そして、日付を見て。


 私は声を上げました。


「あっ!」


「どうした」


「大西建材への転売、芳江さんがまだ取消しを通知する前です!」


 そうです。


 大西建材は、強迫取消し前に権利を取得していました。


 つまり。


 今回の中心問題は、取消し前の第三者。


「所長!」


「うん」


「この場合、強迫取消しは善意の第三者にも対抗できます!」


「そうだ」


 私は胸が高鳴りました。


 ただし。


 ここで一つだけ。


 怖い事実がありました。


 大西建材は、何も知らずに土地を買った可能性が高いのです。



「私は、何も知らなかったんです」


 その日の午後。


 事務所を訪れた大西建材の社長、大西孝一さんは、そう言いました。


 五十八歳。


 日に焼けた顔。


 作業着姿。


 大きな手には、いくつもの傷があります。


「東栄不動産から、倉庫用地にどうかと言われまして」


「はい」


 片桐所長が頷きました。


「売主の方が自分の意思で売ったと聞いていました」


「そうですか」


「まさか、娘さんを脅して売らせたなんて……」


 大西さんは深く息を吐きました。


「うちは、ちゃんと代金を払ったんですよ」


 私は頷きました。


「そうですよね」


「登記だって済んでいます」


「はい」


「私が悪いんですか?」


 その質問に。


 私は答えられませんでした。


 悪くない。


 少なくとも、今聞いている限りでは。


 大西さんは、普通に土地を買っただけなのです。


「朝比奈さん」


 大西さんが言いました。


「私は、法律のことは詳しくありません」


「はい」


「でも、買ったときに脅しなんて知らなかったんです。それでも駄目なんですか?」


 私は唇を噛みました。


 善意。


 無過失。


 取引の安全。


 民法には、こうした第三者の信頼を守る仕組みがあります。


 でも。


 強迫による意思表示の取消しについては。


 事情が違います。


「大西さん」


 私は慎重に言いました。


「今回の契約については、強迫を理由とする取消しが問題になっています」


「はい」


「民法九十六条三項の第三者保護は、詐欺による意思表示についての規定なんです」


「詐欺?」


「はい。騙された場合です」


「脅された場合は違うんですか?」


「違います」


 私は一度、息を吸いました。


「強迫の場合は、買主が事情を知らなかったことだけを理由に、取消しを拒むことはできないんです」


 大西さんの顔色が変わりました。


「じゃあ……」


「今回の強迫が立証され、取消しが有効に行われれば、大西さんが取得した土地の権利にも影響が及ぶ可能性があります」


「そんな……」


 私は胸が痛みました。


 でも。


 ここを曖昧にすることはできません。


「ただし、大西さんが東栄不動産に対して持つ権利は別です。代金返還や損害賠償などの問題があります」


「私も、被害者になるんですね」


「……はい」


 大西さんはしばらく黙っていました。


 そして、静かに言いました。


「村瀬さんの娘さんは、無事なんですか?」


 私は顔を上げました。


「はい。今のところは」


「そうですか」


 大西さんは頷きました。


「だったら、まずそれがよかった」


 ……。


 私は思わず目を見開きました。


 この人。


 本当に悪い人ではない。


 だからこそ。


 余計に辛いのです。


 そこへ、片桐所長が言いました。


「大西さん」


「はい」


「法的な権利関係については、弁護士に確認されることをお勧めします」


「分かりました」


「当事務所も、裁判の代理はできません」


「はい」


「ただ、村瀬さんの意思表示がどのような事情で行われたか。その事実を明らかにする書類は整えます」


 大西さんは深く頭を下げました。


「よろしくお願いします」


 その背中を見送りながら。


 私は思いました。


 悪党一人が人を脅すと。


 その影響は、何も知らない人にまで及ぶ。


 強迫とは。


 単に一人の意思を歪めるだけではなく。


 取引全体を壊してしまう行為なのです。



「さて」


 大西さんが帰ったあと。


 相馬先輩が腕を組みました。


「こはる。今回の敵は誰だ」


「黒田です」


「それだけか?」


「……東栄不動産も怪しいです」


「だな」


 私は頷きました。


 東栄不動産。


 買主。


 表向きは、強迫を知らなかったと主張している。


 でも。


 黒田は、東栄不動産の名刺を持っていました。


 しかも、売却を迫る際に、会社の名前を出していた。


 本当に無関係なのでしょうか。


「東栄不動産が黒田に指示していた可能性もありますよね」


「ある」


「でも、それを証明する証拠はまだありません」


「そうだ」


 片桐所長が口を開きました。


「そこを決めつけるな」


「はい」


「強迫が存在したことと、不動産会社が関与していたことは、別々に証明する必要がある」


「そうですね」


 私は頷きました。


 悪いことをしていそうだから。


 きっと共犯だろう。


 そんな推測だけでは、書面は作れません。


 所長は静かに言いました。


「こはる」


「はい」


「今回、東栄不動産が善意だったとしても、取消しはできるな」


「はい」


「では、悪意だったと証明する必要はあるか」


「……ありません」


「そうだ」


 私は息を呑みました。


 なるほど。


 これが、強迫取消しの強さです。


 相手方が強迫を知っていたかどうか。


 そこに争いがあっても。


 強迫の成立自体を証明できれば、取消しを主張できる。


 つまり。


 相手方の悪意を立証できなくても、戦える。


「先輩……」


「何だ」


「これ、かなり強いですね」


「ああ」


「しかも、善意の転得者にまで対抗できる」


「そうだ」


 相馬先輩は机を指で叩きました。


「ただしな」


「はい」


「強迫があったって言うだけじゃ駄目だ」


「証拠が必要ですね」


「そういうことだ」


 所長が頷きました。


「まず、本人の取消しの意思表示を明確にする」


「はい」


「次に、その理由となる強迫の事実を整理する」


「はい」


「そして、相手方と第三者の権利関係を確認する」


 私はノートを開きました。


 やることが見えてきました。


 ただ。


「所長」


「何だ」


「内容証明だけで、土地の登記は戻せませんよね」


「戻せん」


「大西建材への登記もあります」


「そうだ」


「だったら……」


 所長は頷きました。


「登記手続は司法書士、訴訟の必要があれば弁護士に引き継ぐ」


 その一言で、私は背筋が伸びました。


 私たちは、行政書士です。


 裁判所で相手を訴える代理人にはなれません。


 紛争相手と報酬を得て示談交渉をすることもできません。


 不動産登記の申請代理も、司法書士の領域です。


 でも。


 法律上の問題を整理し、本人の意思に基づいた書面を作ることはできます。


 相手が逃げようとする言い訳を。


 一つずつ。


 事実と条文で崩していく。


 それが、私たちの仕事です。



 その日の夕方。


 机の上には、一通の内容証明郵便の原案がありました。


 差出人。


 村瀬芳江。


 宛先。


 東栄不動産株式会社。


 私は一行ずつ読み上げました。


「第一。本通知人は、昭和六十三年某月某日、貴社との間で本件土地建物の売買契約を締結した」


「うん」


「第二。本件契約に先立ち、黒田修一から、本通知人の娘に危害を加えることを示唆する言動及び身体に対する有形力の行使を受けた」


「うん」


「第三。本通知人は、娘の生命身体に危害が及ぶことを恐れ、その恐怖により自由な意思決定を妨げられ、本件契約を締結するに至った」


 相馬先輩が頷きました。


「続けろ」


「第四。よって、本通知人は、民法第九十六条第一項に基づき、本件売買契約を取り消す旨の意思表示をする」


 私は息を吸いました。


「第五。民法第九十六条第二項は第三者による詐欺に関する規定であり、本件のような第三者による強迫について、相手方の悪意を取消しの要件とするものではない」


「よし」


「第六。また、同条第三項は詐欺による意思表示の取消しに関する第三者保護規定であり、強迫による取消しには適用されない」


 私は一度、顔を上げました。


 片桐所長が頷きます。


「続けなさい」


「第七。本件不動産については既に第三者への移転登記がなされているため、本通知人は、弁護士及び司法書士への相談のうえ、所有権回復に必要な措置を検討する」


「うん」


「第八。本通知人は、既に受領した売買代金について、取消しに伴う原状回復の問題が生じることを認識しており、その具体的な方法については別途整理する」


 最後に。


「以上、本件売買契約を取り消す旨、通知する」


 私は読み終えました。


「……どうでしょう」


 相馬先輩が原案を読みました。


 片桐所長も目を通しました。


 そして。


「こはる」


「はい!」


「脅迫状にするな」


「えっ?」


「相手を罵る言葉はいらん」


「入れてませんよ!」


「『卑劣極まりない』と書きかけた跡がある」


「……消しました!」


「消して正解だ」


 相馬先輩が笑いました。


「悪党に怒鳴るのは誰でもできる」


「はい」


「だが、相手の法的な逃げ道を潰すのは、勉強した奴にしかできねえ」


 私は書面を見ました。


 民法九十六条一項。


 第三者による強迫。


 相手方の善意は関係しない。


 善意の転得者への対抗。


 そして、取消しの意思表示。


 相手方が、


「私は知らなかった」


 と主張しても。


 それだけでは、取消しを防げない。


 転売先が、


「私も知らなかった」


 と言っても。


 強迫による取消しは、原則として対抗できる。


 ……これは。


「所長」


「何だ」


「怖いですね」


「何がだ」


「本当に強迫があったなら、関係者の善意だけでは契約を守れないんです」


 所長が静かに頷きました。


「だから、人を脅して契約させてはいけない」


 私はその言葉を胸に刻みました。


 書面は、芳江さん本人に内容を確認してもらいました。


 そして、本人の署名押印を得て。


 内容証明郵便として発送したのです。



 三日後。


 東栄不動産の社長から、電話が入りました。


「……片桐先生ですか」


 受話器を取った相馬先輩が眉を上げました。


「片桐事務所の相馬です」


『社長の藤堂です。内容証明の件で……』


「はい」


『あの……強迫というのは、本当に第三者がやった場合でも取り消せるんですか?』


 相馬先輩は淡々と答えました。


「通知書に記載された条文をご確認ください。法的な見解については、御社の弁護士にもご相談ください」


『いや、それは……』


 電話の向こうで、何か紙をめくる音がしました。


『実は、弁護士に見せたんです』


「そうですか」


『強迫が立証された場合、こちらが知らなかったと言っても、それだけでは取消しを防げないと……』


 私は受話器を見つめました。


『それに、転売先も……』


 社長の声が小さくなりました。


『大西建材から、契約関係を整理したいと連絡が来まして』


 相馬先輩は黙って聞いています。


『あの土地、倉庫の建設資金の融資も進めていたそうで……』


 なるほど。


 話が大きくなってきました。


 大西建材は、強迫を知らなかった。


 それでも、所有権を失う可能性がある。


 そうなれば、東栄不動産に対する責任追及が問題になります。


 藤堂社長は、それに気づいたのでしょう。


『……実は』


 社長が言いました。


『黒田とは、以前から取引がありまして』


 私は顔を上げました。


『ただ、あんなことをするとは思っていなかったんです』


 相馬先輩の表情は変わりません。


『村瀬さんの土地が欲しいとは言いました。でも、娘さんを脅せなんて……』


 ……。


 私は拳を握りました。


 やっぱり。


 少なくとも、黒田と東栄不動産の間には関係があったのです。


 ただし、これだけで強迫を指示したと決まるわけではありません。


『何とか、穏便に済ませたいんです』


 社長が言いました。


 相馬先輩は、落ち着いて返しました。


「そのようなお申し出について、当事務所が村瀬さんの代理人として示談交渉を行うことはできません」


『え……』


「会社としてのご意向があるなら、ご本人に対し、適切な方法でお伝えください。法律上の処理については、双方の弁護士に確認していただくことになります」


『……分かりました』


 電話が切れました。


 私は相馬先輩を見ました。


「先輩!」


「何だ」


「向こう、焦ってましたね!」


「ああ」


「かなり焦ってました!」


「聞こえてた」


「でも、先輩は交渉しなかった」


「当然だ」


 相馬先輩は煙草を取り出しました。


「俺たちの書面が、相手に法律上の危険を気づかせた。それで十分だ」


 私は頷きました。


 そうです。


 こちらが怒鳴り込まなくても。


 内容証明が、相手の弁護士に届く。


 そこに書かれた事実と条文を見れば、相手は考えざるを得ません。


 このまま争ったらどうなるか。


 訴訟になったら。


 強迫の事実が立証されたら。


 善意の転得者からも権利を失ったと主張されたら。


 自分たちは、いくらの責任を負うことになるのか。


 ……。


 紙一枚が。


 社長の余裕を、吹き飛ばしてしまったのです。



 それから二週間。


 事態は、大きく動きました。


 黒田は、被害届を受けた警察から事情を聴かれることになりました。


 商店街の目撃者たちも、協力を申し出ました。


 東栄不動産は弁護士に相談し、大西建材との売買関係を見直す方針を示しました。


 そして。


 芳江さんも、紹介された弁護士に依頼し、土地建物の権利回復に向けた手続を進めました。


 もちろん。


 すべてが一瞬で解決したわけではありません。


 売買代金八百万円の返還。


 東栄不動産と大西建材との代金清算。


 所有権移転登記の回復。


 さまざまな問題が残っていました。


 でも。


 東栄不動産も、大西建材も。


 これ以上争えば、自分たちにも大きな損失が生じることを理解したのです。


 大西建材は、弁護士から説明を受けたうえで、土地を保持することに固執しない判断をしました。


 その後。


 当事者間で、必要な原状回復と清算について合意が成立しました。


 売買代金は精算され。


 司法書士による登記手続も進められました。


 そして。


 さらに十日ほど経ったある日。


 芳江さんが、事務所へやって来たのです。


「先生……!」


 その手には、一通の封筒。


 中には。


 登記の手続が完了したことを示す書類が入っていました。


「戻りました……!」


 芳江さんは、涙をこぼしました。


「家が……戻ったんです……!」


 私は思わず立ち上がりました。


「本当ですか!」


「はい……!」


 芳江さんは何度も頷きました。


「娘と暮らした家が……夫が残してくれた店が……!」


 その声は、震えていました。


 でも。


 最初に来たときとは、違う震えです。


 恐怖ではない。


 安堵。


 喜び。


 ようやく、娘と安心して暮らせる。


 そんな声でした。


「よかったですね……!」


 私も、胸が熱くなりました。


 芳江さんはハンカチで目元を拭いました。


「本当に……ありがとうございました」


 片桐所長は静かに頷きました。


「守れたのは、村瀬さんが諦めなかったからです」


「でも……」


 芳江さんは顔を上げました。


「私、契約書にハンコを押したんです」


「はい」


「自分で名前も書いたんです」


「そうですね」


「だから、もう駄目だと思っていました」


 その言葉に。


 私は胸が締めつけられました。


 あの日。


 娘を守るために、震える手で実印を押した。


 それを。


 自分の責任だと思っていたのです。


「村瀬さん」


 私は言いました。


「民法は、ハンコだけを見ているわけじゃありません」


「……え?」


「どうして押したのか。何を言われていたのか。自由に決められたのか」


 芳江さんは私を見つめました。


「そこまで、ちゃんと考えてくれるんです」


 私は笑いました。


「怖くて押したハンコを、何でも有効にしてしまう法律じゃないんです」


 芳江さんの目から、また涙がこぼれました。


「……そうなんですね」


「はい」


 私は頷きました。


「自分の意思で決める自由も、民法が守っているんです」



 芳江さんが帰ったあと。


 私は机に座り、六法を開きました。


 民法第九十六条。


 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。


 短い条文です。


 たった一行。


 でも。


 その一行に救われた家族がいました。


「相馬先輩」


「何だ」


「私、今回の事件で、ちょっと不思議に思ったことがあるんです」


「何だよ」


「詐欺と強迫って、同じ九十六条なのに、第三者の扱いがずいぶん違いますよね」


「そうだな」


「詐欺の場合、第三者の保護が重視される場面がある」


「うん」


「でも強迫の場合、善意の第三者にさえ取消しを対抗できる」


「そうだ」


「……どうして、そこまで違うんでしょう」


 相馬先輩は煙草の火を消しました。


 そして、少し考えてから言いました。


「こはる」


「はい」


「騙されて契約した奴と、脅されて契約した奴。どっちが自由に決められたと思う?」


 私は黙りました。


 騙された人。


 間違った情報を信じて、契約した人。


 脅された人。


 怖くて、契約しないという選択肢を事実上奪われた人。


 どちらも守る必要があります。


 でも。


 恐怖によって意思決定の自由を奪われた場合は、本人保護の必要性が特に強い。


「……強迫のほうは、拒否する自由そのものを奪われているんですね」


「そういうことだ」


 片桐所長が帳簿を閉じました。


「こはる」


「はい」


「今回、土地を買った大西さんは、悪い人だったか」


「いいえ」


「では、なぜ土地を返すことになった」


 私は少し考えました。


「……強迫による意思表示は、本人の自由な意思決定を侵害しているからです」


「そうだ」


「そして、強迫取消しには、詐欺取消しのような第三者保護規定がない」


「うん」


「だから、善意の第三者であっても、その取消しを対抗され得る」


 所長が頷きました。


「ただし、登記と取消しの前後関係は忘れるな」


「はい!」


 私は元気よく答えました。


 すると。


 相馬先輩が横から言いました。


「それと、もう一つ」


「何ですか?」


「強迫と脅迫、漢字を間違えるなよ」


「……え?」


「民法は強迫だ」


「あっ!」


 そうでした。


 私は慌ててノートを見ました。


 民法。


 強迫。


 刑法。


 脅迫。


 似ているけど、漢字が違う。


「先輩!」


「何だ」


「これ、試験で漢字を間違えたら減点ですか?」


「記述問題でどう採点されるかは知らねえが、法律の言葉は正確に覚えろ」


「はい!」


 私は大きく書きました。


 ――民法九十六条・強迫。


 そして。


 今日の教訓を、一行にまとめました。


 ――強迫で奪われた自由は、善意の第三者がいても、原則として取り戻せる。


「……よし」


 私は鉛筆を置きました。


 忘れません。


 絶対に。



 夕方。


 事務所を閉める準備をしていると。


 入口の扉が開きました。


「あの……」


 顔を出したのは、大西建材の社長でした。


「あっ、大西さん!」


 私は立ち上がりました。


「このたびは……」


 何と言えばいいのか分かりませんでした。


 大西さんも、土地を失った側です。


 何も知らずに買って。


 代金も払って。


 登記まで済ませた。


 それなのに。


 強迫取消しによって、取得した権利を維持できなくなった。


 私は、申し訳ないような気持ちになりました。


 でも。


 大西さんは笑っていました。


「村瀬さん、店を再開したそうですね」


「はい!」


「よかった」


 大西さんは頷きました。


「実は今日、商店街を通ったんです」


「そうなんですか」


「店の前に、新しい看板が出ていました」


 私は首をかしげました。


「看板?」


「ええ」


 大西さんは、少し照れくさそうに言いました。


「『洋服のお直し承ります』って」


 その言葉に。


 私は思わず笑ってしまいました。


 ああ。


 そうか。


 店が戻ったんだ。


 本当に。


 芳江さんの、あの小さな洋裁店が。


「それでな」


 大西さんが続けました。


「うちの作業着、裾を直してもらおうと思って」


「えっ?」


「ちょっと長いんですよ」


 大西さんは、自分の作業ズボンを指差しました。


「仕事中、引っかかると危ないからね」


 私は笑いました。


「いいですね!」


「商売は商売ですから」


 大西さんも笑いました。


「土地は買えなかったけど、洋服の直しなら頼める」


 ……。


 私は、しばらく言葉が出ませんでした。


 善意の第三者。


 民法のテキストでは、たった数文字です。


 でも。


 そこにも、人がいる。


 家族がいる。


 仕事がある。


 生活がある。


 そのことを。


 私は、今日初めて実感しました。


 民法は。


 誰か一人を守れば、すべて丸く収まる法律ではありません。


 守るべき権利がぶつかることもある。


 善意の人同士が、反対の立場に立つこともある。


 だからこそ。


 どちらを、どこまで守るべきなのか。


 難しい線引きをしているのです。



「こはる!」


 相馬先輩の声が飛びました。


「はい!」


「いつまで感動してるんだ」


「感動してません!」


「顔に出てるぞ」


「出てません!」


 先輩はにやりと笑いました。


「で、今日の条文は覚えたか?」


「もちろんです!」


「言ってみろ」


「民法九十六条一項!」


「うん」


「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる!」


「よし」


「第三者による強迫の場合も、相手方が善意無過失であっても取消しができます!」


「よし」


「強迫取消し前の善意無過失の第三者にも、原則として取消しを対抗できます!」


「よし」


 私は胸を張りました。


「完璧です!」


「じゃあ、取消し後に土地を買った第三者には?」


「……!」


 私は固まりました。


「えっ」


「どうした」


「取消し後……」


「そうだ」


「えっと……」


 相馬先輩が笑いました。


「ほらな。まだ先がある」


「うう……!」


 そうです。


 強迫取消し前の第三者。


 強迫取消し後の第三者。


 この二つは、同じようには扱えません。


 取消し後の第三者については、不動産なら対抗要件である登記が問題になることがあります。


 つまり。


 強迫という言葉だけで、すべての問題が終わるわけではないのです。


「先輩!」


「何だ」


「明日、九十六条をもう一回勉強します!」


「今やれ」


「ええっ!」


「忘れる前にやれ」


「厳しい!」


 片桐所長が、奥から声をかけました。


「相馬」


「はい」


「もう一問、出してやれ」


「お、いいですね」


「所長まで!」


 私は頭を抱えました。


 まったく。


 昭和の民法は、容赦がありません。


 でも。


 私は六法を開きながら、少し笑っていました。


 今朝まで。


 強迫という言葉は、試験の知識でした。


 民法九十六条。


 取消しができる。


 第三者にも対抗できる。


 ただ、それだけ。


 でも今は違います。


 あの洋裁店が見える。


 娘を守ろうとして、震える手で実印を押した母親。


 土地を買っただけなのに、権利を失うことになった善良な社長。


 そして。


 他人を脅せば契約書など簡単に手に入ると思っていた男たち。


 全員の顔が見えるのです。


 私はノートの最後に、もう一度書きました。


 ――強迫で押させたハンコに、民法は屈しない。


 それが、今日の教訓。


 そして。


 私は、ひとつ確信しました。


 人を騙すことも、許されない。


 けれど。


 人を怖がらせて、契約を断る自由そのものを奪うことは。


 もっと根深い問題を生む。


 だから民法は、強迫による取消しに、これほど強い効力を認めているのでしょう。


「こはる!」


「はい!」


「次の問題だ!」


「何ですか!」


「強迫による取消権は、いつまでも行使できるのか?」


「……え?」


 私は止まりました。


 民法第百二十六条。


 取消権の期間制限。


 ……。


 あ。


 そうでした。


 どんなに強い取消権でも。


 いつまでも無制限に行使できるわけではない。


「先輩!」


「何だ!」


「民法って、どうして一問解くと次の問題が出てくるんですか!」


「法律ってのは、そういうもんだ!」


「終わらないじゃないですか!」


「だから勉強しろって言ってんだろ!」


 私は机に突っ伏しました。


 ……。


 でも。


 その口元は、きっと笑っていたと思います。


 昭和六十三年。


 片桐行政書士事務所。


 今日もまた。


 一人の暮らしが、法律によって守られました。

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