[行政手続法36条の3・処分等の求め]現場編 「関係ない人は口を出せません」の罠。利害関係の有無と、見過ごされた法令違反を切り分ける
役所の「あなたには関係ありません」は、ときどき話を終わらせるには便利すぎます。
便利すぎる言葉は、だいたい少し危ない。
なぜなら。
本当に関係がないことと。
役所が面倒だから関係ないことにしたいことは。
同じではないからです。
◇
昭和六十三年。
地方都市の片桐行政書士事務所。
私は朝比奈こはる。
十八歳の事務見習い。
そして前世では、行政書士試験の行政法を前に、何度も机へ突っ伏した受験生でした。
「朝比奈」
「はい」
「客」
「はい」
「怒ってる」
「また分類それですか」
「あと、ちょっと怖い」
「情報増えましたね」
相馬先輩が顎で応接室を指しました。
入ってみると。
そこには。
七十歳くらいのおばあさんが座っていました。
小柄。
銀髪。
紺色のカーディガン。
膝の上には風呂敷包み。
全然怖くありません。
「どこが怖いんです?」
私が小声で聞くと。
「目」
相馬先輩も小声。
なるほど。
確かに。
おばあさんの目は。
市役所一棟くらいなら睨み倒せそうでした。
「朝比奈こはるです」
「吉岡トシです」
「今日はどうされました?」
「役所に追い返された」
即答。
来ました。
「何の件ですか」
「駅裏の空き地」
また駅裏。
この町、駅前再整備の影響が、駅裏にまで染み出しています。
吉岡さんの話は。
こうでした。
自宅近くに。
以前は資材置場として使われていた土地がある。
そこへ最近。
廃材。
壊れた看板。
古いドラム缶。
建設現場から出たような木くず。
そういうものが次々運び込まれている。
「毎晩じゃないよ」
吉岡さんが言います。
「昼間だ。堂々とトラックで持ってくる」
「誰が?」
「駅前の工事やってる業者の下請けらしい」
相馬先輩が少し眉を動かしました。
「市の再整備か」
「たぶんな」
「臭いとかあります?」
私が聞くと。
「雨が降るとひどい。黒い水が側溝に流れる」
「黒い水」
「それに子どもが入るんだよ」
「空き地に?」
「柵が壊れてるからね」
吉岡さんは。
そこで初めて。
怒りよりも。
少し疲れた顔をしました。
「うちの孫も、この間入りかけた」
なるほど。
小さくて。
でも切実です。
ゴミ。
空き地。
臭い。
子ども。
そして。
市役所へ相談した。
ところが。
「何て言われたんです?」
「土地の持ち主ですかって」
「はい」
「違うって言った」
「それで?」
「じゃあ当事者じゃないですね、と」
私は。
思わず瞬きをしました。
「それだけ?」
「それだけ」
「環境の担当に?」
「そうだよ」
「写真とかは?」
「持ってった」
吉岡さんが風呂敷をほどきました。
中から。
封筒。
写真。
ノート。
日付。
トラックのナンバー。
搬入された回数。
雨の日に側溝へ流れた黒い水。
全部記録されています。
相馬先輩が、ちょっと引きました。
「……怖いな」
「先輩、聞こえてます」
「何がだい」
吉岡さんが顔を上げる。
「いえ。記録がしっかりしてるなと」
相馬先輩。
昭和の生存力、高い。
私は写真を一枚ずつ見ました。
確かに。
雑多な廃材。
錆びた缶。
黒い水。
そして奥には。
工事会社らしい社名の入ったトラック。
「役所では、全部見せたんです?」
「見せようとした」
「見なかった?」
「土地の所有者でも借主でもないなら、個人的な苦情ですねって」
個人的な苦情。
便利だ。
本当に便利すぎる。
でも。
ここで。
頭の奥に。
未来の条文が、ぴたりと立ち上がりました。
行政手続法第三十六条の三。
処分等の求め。
何人も。
法令に違反する事実がある場合。
その是正のためにされるべき処分または一定の行政指導がされていないと思うとき。
行政庁や行政機関へ申し出て。
その処分や行政指導を求めることができる。
何人も。
つまり。
利害関係人に限らない。
「……あ」
「何だ」
相馬先輩が私を見る。
「いえ」
危ない。
また未来法を口走るところでした。
今は昭和六十三年。
行政手続法すらありません。
まして第三十六条の三なんて、二十六年後どころじゃない。
ずっと未来です。
でも。
問題は。
もうここにある。
「所長」
私は片桐所長を見ました。
「何か引っかかるか」
「はい」
「言え」
私は。
未来の条文を。
昭和の言葉へ翻訳します。
「吉岡さんが土地の所有者じゃないことと」
「うん」
「そこに法令違反の可能性があることは、別の話じゃないですか」
部屋が少し静かになりました。
吉岡さんが私を見る。
「どういうことだい」
「土地の持ち主じゃないから、土地そのものについて権利を主張できないことはあると思います」
「うん」
「でも」
私は写真を一枚持ち上げました。
「もし、この廃材の置き方や処理が法律に違反していて、本来なら行政が何か対応すべき状態なら」
少しだけ言葉を選びます。
「誰が知らせたかより、違反が本当にあるかどうかのほうが先じゃないですか」
相馬先輩が腕を組みました。
「なるほどな」
所長も。
短く頷きました。
「そうだ」
吉岡さんの目が。
少しだけ柔らかくなりました。
「じゃあ、私が持ち主じゃなくても、言っていいのかい」
「少なくとも」
私は答えます。
「“持ち主じゃないから見ません”で終わる話ではないと思います」
相馬先輩が写真を封筒へ戻しました。
「行くぞ」
「市役所ですか」
「他にどこ行く」
「最近、移動が多いですよね」
「行政書士事務所だ」
「旅行代理店より市役所行ってます」
「黙って鞄持て」
昭和の行政書士。
足で稼ぎます。
◇
市役所。
環境保全課。
窓口へ行くと。
担当の若い職員は。
吉岡さんを見るなり。
「ああ……」
と。
明らかに。
また来た。
という顔をしました。
顔に出ています。
役所も人間です。
「先日の空き地の件ですよね」
「そうだよ」
「ですから」
職員は。
吉岡さんではなく。
私たちのほうを見ました。
「この方は、土地の所有者でも管理者でもありませんので」
相馬先輩が即座に言います。
「それは聞いた」
「でしたら」
「その土地に違法な廃棄物処理があるかどうかも、土地の持ち主じゃないと調べないのか」
職員が止まりました。
「いえ、そういう意味では」
「じゃあ、どういう意味だ」
「個人的な民事紛争の可能性もありますので」
「何と何の民事紛争だ」
「近隣関係というか」
「廃材が積んであるかどうかは?」
「……」
「側溝に黒い水が流れてるかどうかは?」
「……」
「搬入してる業者がいるかどうかは?」
「……」
相馬先輩。
容赦がない。
でも。
論点が一個ずつ剥がれていきます。
「私有地の問題」と。
「法令違反の可能性」は。
同じではない。
そこへ。
「どうしました」
倉田係長が現れました。
「また皆さんですか」
「またです」
私が答える。
「今日は何です」
「駅裏の空き地です」
「今度は空き地ですか」
「町が忙しいんです」
「あなたたちもでしょう」
それは本当にそう。
倉田係長は写真を見ました。
一枚。
二枚。
三枚。
顔が変わります。
「これ、いつです?」
吉岡さんが即答します。
「今月の十二日、十五日、十九日、二十一日」
「こっちは?」
「二十三日。雨の日」
「このトラックは?」
「三回来てる」
倉田係長が。
今度は。
若い職員を見ました。
「現地、見たのか」
「いえ」
「なぜ?」
「相談者が土地の関係者ではなかったので」
倉田係長の眉間に。
深いしわが寄りました。
あ。
これ。
怒られるやつだ。
「それは相談の入口の話だろ」
「はい」
「写真まであるなら、違反の可能性は別に見るべきだったんじゃないのか」
「……はい」
私は。
ちょっと驚きました。
倉田係長。
成長してる。
いえ。
偉そうですが。
最近この人。
私たちとの揉め事を通じて。
制度の雑さに敏感になってきています。
「係長」
私は聞きました。
「もし、本当に法令違反に当たる状態なら」
「はい」
「市は何かできるんですか」
「内容によります」
「処分とか?」
「命令を出せる場合もありますし、まず指導する場合もあります」
その言葉で。
未来の条文が、また輪郭を持ちました。
処分。
行政指導。
どちらも。
違反を是正するために。
本来行政が動く場面がある。
なのに。
誰も動いていない。
だから。
未来では。
第三者でも。
行政へ。
必要な処分や行政指導をしてください。
と申し出る制度ができる。
「だったら」
私は。
吉岡さんのノートを開きました。
「少なくとも、調べる必要があるかどうかは、この資料を見て判断できますよね」
「そうですね」
「吉岡さんが土地の所有者かどうかじゃなくて」
「……はい」
「この事実が本当にあるかどうかで」
「その通りです」
ここ。
たぶん。
今日の核心です。
誰が言ったか。
より。
何が起きているか。
そこへ。
話を戻す。
「でも」
若い職員が。
少しだけ食い下がりました。
「利害関係がない人からの申し出まで全部正式に対応していたら、きりがないんじゃ」
その言葉。
現場感があります。
確かに。
何でもかんでも。
誰でも。
気軽に。
あそこが怪しい。
ここが違反だ。
処分しろ。
と役所へ言えて。
全部即対応なら。
役所は回らない。
でも。
未来の制度も。
「言われたら即処分」
ではありません。
私は。
そこを思い出しました。
「全部言われたとおりに処分する必要はないですよね」
私が言うと。
「え?」
「まず調べればいいんじゃないですか」
若い職員が黙りました。
「本当に違反があるか」
「……」
「是正のために何かする必要があるか」
「……」
「それを確認して、必要なら動く」
片桐所長が。
そこで初めて口を開きました。
「申告する者と、処分する者を混ぜるな」
短い。
でも。
ぴたりと刺さりました。
「申告した人間が、処分を決めるわけじゃない」
所長は続けます。
「行政が調べて、自分で判断する」
そう。
未来の第三十六条の三も。
まさにそうです。
申し出れば。
必ず処分されるわけではない。
行政は。
必要な調査をする。
その結果に基づき。
必要があると認めれば。
処分や行政指導をしなければならない。
「誰でも言えるから危険」
ではなく。
「誰でも言える。でも決めるのは行政」
なんです。
相馬先輩が。
若い職員へ言いました。
「婆さんが処分しろって言ったら、お前が即ハンコ押すわけじゃねえだろ」
「もちろんです」
「なら、まず事実見ろ」
「……はい」
強い。
でも。
分かりやすい。
倉田係長が。
吉岡さんへ向き直りました。
「現地確認します」
「今日?」
「今日は難しいですが、明日」
「写真は持ってくかい」
「お借りできますか」
「コピーならいい」
「用意します」
私は思わず口の端が上がりました。
最初は。
あなたは当事者じゃない。
で終わった話が。
今は。
現地を確認する。
に変わった。
まだ。
違反が確定したわけではありません。
処分が決まったわけでもありません。
でも。
行政が。
「誰が言ったか」から。
「何が起きているか」へ。
視線を戻した。
それだけで。
大きな前進でした。
◇
翌日の午後。
市役所から電話がありました。
「片桐行政書士事務所です」
『倉田です』
「はい」
『現地、見ました』
「どうでした?」
『思ったよりひどい』
来た。
『土地所有者にも連絡しました。搬入していた業者にも事情を聞きます』
「法令違反ですか」
『そこはまだ断定しません』
慎重。
いい。
『保管なのか、処分目的なのか。何が置かれているのか。量も確認します』
「はい」
『ただ、少なくとも側溝への流出は、そのままにはできません』
「じゃあ」
『まず応急措置を求めます』
私は少し息を吐きました。
「吉岡さんには?」
『私から連絡しました』
「何て?」
『調査します、と』
「それで十分だと思います」
『……この前から思ってましたけど』
「はい」
『あなた、役所に要求するわりに、全部認めろとは言わないんですね』
「だって」
私は答えました。
「決めるのは役所でしょう」
電話の向こうで。
倉田係長が少し笑いました。
『それを分かってない人が多いんですよ』
「役所の人も?」
沈黙。
『……電話切りますよ』
「すみません」
切られました。
図星だったらしい。
◇
数日後。
結果が出ました。
空き地へ持ち込まれていたものの一部について。
保管方法に問題があり。
業者へ改善を求めることになった。
側溝への流出については。
直ちに止める措置がとられた。
土地所有者にも。
柵の修繕。
搬入物の整理。
管理状況の改善。
そうした対応を求めたそうです。
大げさな行政処分が出たわけではありません。
営業停止。
許可取消し。
そんな話でもない。
でも。
黒い水は。
流れなくなった。
壊れた柵は。
直された。
子どもが簡単に空き地へ入れなくなった。
それで。
吉岡さんは。
十分だったみたいです。
「これ」
ある日の夕方。
吉岡さんが事務所へ来て。
風呂敷包みを机に置きました。
「何ですか?」
「芋」
「芋」
「畑で採れた」
中には。
さつまいも。
大量。
相馬先輩が一個持ち上げます。
「でかいな」
「今年はよくできた」
「ありがとうございます」
私が言うと。
吉岡さんは。
少し照れたように鼻を鳴らしました。
「別に礼じゃないよ」
「そうなんですか?」
「食べきれないだけだ」
こういう人。
だいたい礼です。
「役所から電話きたよ」
「倉田係長ですか」
「そう」
「どうでした」
「ちゃんと説明してくれた」
それは。
意外と大事なことです。
「私は土地の持ち主じゃない」
「はい」
「業者の客でもない」
「はい」
「でも、見たものを言うくらいはしてよかったんだな」
私は頷きました。
「はい」
「最初はさ」
吉岡さんが。
少しだけ遠くを見る。
「関係ないって言われたから、余計なことしたのかと思った」
その言葉が。
少し刺さりました。
役所の一言って。
強い。
「あなたは関係ない」
そう言われると。
人は。
本当に自分が余計なことをしている気になる。
でも。
社会の中の違反って。
必ずしも。
直接被害を受けた人だけが見つけるわけじゃない。
たまたま通った人。
近所の人。
従業員。
取引先。
まったく利害のない第三者。
そういう人が。
最初に気づくこともある。
未来の法律は。
そこを拾う。
何人も。
この四文字で。
「こはるちゃん」
「はい」
「役所ってのは、関係ある人しか動かせないと思ってた」
「私も昔はそんな感じで覚えてました」
「昔?」
「あ。いえ。勉強してた頃」
「今も若いだろ」
「精神的にはかなり長旅してます」
「変な子だねえ」
よく言われます。
◇
吉岡さんが帰ったあと。
私はノートを開きました。
白いページ。
ペン。
そして。
未来の行政手続法。
今日書く題は。
もう決まっています。
――処分等の求め。
相馬先輩が。
また覗き込みました。
「何だそれ」
「今日の復習です」
「また勝手な名前か」
「今のところ」
「お前、その言い方好きだな」
好きじゃないです。
未来バレ防止です。
「今日の話」
私は言いました。
「誰でも、法令違反の事実があると思ったら、行政に知らせて対応を求められる制度があったら便利ですよね」
「誰でも?」
「はい」
「利害関係なく?」
「なくても」
相馬先輩が。
少し考えました。
「変なのも来るぞ」
「来るでしょうね」
「嫌がらせもある」
「あると思います」
「じゃあ駄目じゃねえか」
「でも」
私は笑いました。
「言った人が処分を決めるわけじゃないです」
「……ああ」
「行政が調べる」
「必要なら動く」
「そうです」
奥で。
片桐所長が帳簿を閉じました。
「入口を広くして、出口を行政が判断する」
私はペンを止めました。
「それです」
「何が」
「今の、すごく分かりやすいです」
「なら書け」
私は。
そのままノートに書きました。
入口は広く。
判断は行政が。
未来の第三十六条の三。
何人も。
法令に違反する事実がある場合。
是正のためにされるべき処分または行政指導がされていないと思うとき。
行政へ申し出ることができる。
ただし。
行政指導を求める場合は。
その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。
そして。
申出を受けた行政は。
必要な調査をする。
必要があると認めれば。
処分や行政指導をしなければならない。
今日の市役所は。
制度こそなくても。
結果的には。
かなり似た流れをたどりました。
吉岡さんが知らせる。
役所が調べる。
必要と判断した部分に対応する。
ただし。
吉岡さんが。
どの処分を出せ。
誰を罰せ。
と決めたわけではない。
そこが大事です。
「所長」
「何だ」
「市民が行政を動かすって言うと、ちょっと怖いですけど」
「市民が処分するわけじゃない」
「はい」
「行政に、見落とすなと言うだけだ」
私は。
その言葉を。
ゆっくり書きました。
――見落とすな。
たぶん。
処分等の求めって。
そういう制度なんだと思います。
法令違反を。
行政が見逃している。
誰かが気づいた。
でも。
自分は当事者じゃない。
利害関係もない。
それでも。
「見てください」
と言える。
法律は。
その入口を。
あえて広くしている。
そして。
誰でも言えるからこそ。
処分するかどうかは。
行政が調査して。
自分で判断する。
制度の冷たさ。
ここにもあります。
誰が偉いか。
誰が被害者か。
誰の声が大きいか。
ではなく。
法令違反の事実があるか。
是正措置が必要か。
そこを見る。
「今日の教訓」
私はノートの下へ書きました。
――「あなたは関係者ではない」で終わらせない。見るべきは、申出人の立場ではなく、法令違反の事実。
相馬先輩が読みます。
「長い」
「一行です」
「じゃあ俺なら」
「どうぞ」
「『誰が言ったかより、何が起きてるか見ろ』」
私は。
少し黙りました。
「……それ採用します」
「だろ」
「悔しい」
「何で毎回悔しがる」
私は。
その下にもう一行。
書き足しました。
――誰が言ったかより、何が起きているかを見る。
「所長」
「何だ」
「処分等の求めって、なんだか地味ですね」
「行政法は大体地味だ」
「でも」
私は窓の外を見ました。
夕方の駅裏。
工場。
住宅。
再整備の工事。
遠くの空き地。
そこでは。
柵が直されて。
黒い水も止まっている。
「地味だから、生活に効くのかもしれません」
所長は。
何も言いませんでした。
でも。
ほんの少しだけ。
頷いたように見えました。
相馬先輩が。
さつまいもを一本持ち上げます。
「これ、どうする」
「焼き芋」
「事務所で?」
「駄目ですか?」
「煙出るぞ」
「近隣から苦情来ますかね」
「来る」
「じゃあ行政指導?」
「その前に大家に追い出される」
「処分が早い!」
結局。
芋は。
それぞれ持ち帰ることになりました。
私は一番小さいものを選びました。
相馬先輩が一番大きいものを取ります。
「先輩」
「何だ」
「その配分、違反の疑いがあります」
「何の違反だ」
「公平芋分配法」
「そんな法律はない」
「じゃあ処分等の求めを」
「根拠法がねえ」
「そこだけ急に正確!」
未来の制度は。
まだありません。
でも。
今日の私は。
たぶん。
その制度がなぜ生まれるのか。
もう少しだけ。
分かっていました。
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