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やり直し悪役令嬢は、幼い弟(天使)を溺愛します 2023/7/15コミックス2️⃣巻発売!  作者: 軽井広@年下お姫様に甘えられる大正ロマン結婚生活1巻が予約受付中
第二章 王太子という名の危機

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XXXXV わたしがフィルを助けます!

 王妃アナスタシアの登場に、わたしは一瞬固まった。「は、母上……!」と王太子がうろたえて声を上げる。

 どうして王妃様がここに来たんだろう?


 それより、王妃はもしかしてフィルを助ける方法を知っている?

 王妃はベッドのフィルに駆け寄ると、つぶやく。


「やっぱり……呪いをかけられたのね」


「やっぱりってどういうことですか? それに呪いって……誰がフィルを呪ったりしたんですか?」


「説明している時間はないの。……クレア・ロス・リアレス」


 名前を呼ばれて、わたしは固まる。前回の人生では、敵だった相手が、深い青色の瞳で、わたしを見つめている。


「この子の呪いはね、魔女の呪い。根源的には、あなたと同一のものよ」


「わたしと同じ……?」


「そう。夜の魔女であるあなたと、ね。だから、あなたがこの子の呪いを引き受ければ、この子は回復する」


 王妃の言葉に、わたしは飛びついた。

 フィルが助かるなら、何でもする。……どんなことでも。

 だって、まだ、わたしはフィルとちょっとの時間しか過ごせていない。

 せっかくフィルが弟になってくれたのに、わたしを必要としてくれているのに。

 だから……わたしは絶対にフィルを助ける。


 けれど、シアが王妃の言葉に激しく反応した。


「私は反対です! そんなことをしたら、クレア様がどうなるか……」


「ええ。成功すれば、何も起こらないかもしれない。けれど、呪いに負けたら、フィルって子は助かっても、この場でクレアは夜の魔女となるでしょうね」


「そんな危険なこと、クレア様にはさせられません。もしクレア様が魔女になったら、私は……」


「そうね。魔女になったクレアは殺さないといけないわ」


 きっぱりと王妃は言い切る。

 この世に災いをもたらすという存在。

 夜の魔女。それにわたしがなってしまうかもしれないという。そうなったら……わたしは、ふたたび破滅するんだと思う。きっとみんなの手で殺されて。

 だから、わたしが破滅を回避したいなら、ここでフィルを見捨てるべきなんだ。

 

 でも……!


「わたし、やります!」


「クレア様!」


 シアが悲鳴を上げる。わたしはシアににっこりと微笑む。


「ごめんね、シア」


 シアは泣きそうな顔で、でも、それ以上、何も言わなかった。

 そして、わたしは王妃に向き直った。


「何をすればいいんですか?」


「することは簡単。この子の額に手を当てて、その呪いを引き受けようと願うだけ。魔女候補であるあなたは、それだけで、この子の呪いを消すことができるわ」


 わたしはうなずいた。王妃の言う通りにやってみよう。

 それ以外にフィルを助けられる方法はなさそうだ。


 ……一度は破滅した身だ。

 怖いことなんて……ない!


 わたしはフィルの小さな額にそっと手を当てた。

 すでにフィルの身体中に赤く禍々しい模様が走っている。


 そんな姿になっても、フィルは可愛かった。


「いま助けるからね、フィル」


 わたしは目を閉じ、そして、フィルを救おうと願った。

 その途端、わたしのなかに何か熱いものが流れ込んでくるのを感じた。

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