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四神 ―神格化の刻―  作者: 伏黒照(フシグロテル)


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第二十八話 ロザリオ 〜白銀の鍵〜

E910-7──米田と呼ばれていた少年が目を覚ますと、そこは見慣れない部屋の中であった。周りを見回しても何ひとつ自分の記憶に合致するものはなかった。だが、施設内にいるという事実だけは覆しようがない。それは諦めにも似た甘受であった。


彼は7月18日の土曜日の午後、前の週には期末テストが全て終わり、次の週からは夏休みというこの日、学校から帰宅するとすぐにゲームセンターに足を運んでいた。

彼は決して裕福ではないし、むしろ経済的には苦しい家庭であった。友人の家で家庭用ゲーム機で遊ばせてもらうことはあっても、自分で所有してはいなかった。ましてゲームセンターでゲームを楽しむ余裕など一切なかったにもかかわらず、彼はこの雰囲気を楽しむのが好きであった。お金はなくとも、他人のプレイするゲームを見て回るだけで満足できた。

この日はちょうど新しい体感型のゲーム機が入る日であったため、それを見るため足早にやって来たのだが、巨大な筐体の周りには既に人だかりができていた。どちらかと言うと小柄な彼にはいつも以上の盛況ぶりで、ゲーム画面はよく見えなかった。それでも、この筐体を見られただけでも充分楽しめた。ひと通り店内を見て満足した彼は、店を出てぶらぶらと近くの大きな公園まで歩いてきた。

ちょうど公園の端の方で3人のいかにも不良といった風体の輩が、1人の路上生活者を追い詰めているところであった。何台かのオートバイが近くの道路に停めてあるのも見えた。

米田はこういう現場を、どうしても看過できない。

「何してんすか?そっちの人アンタらの知り合いすか?」

「そっちこそ何すか?チビに用はないんすけど〜。」

一番手前でこう言った男は次の瞬間、トイレの吹付の外壁に頭をぶつけて血を流していた。米田が素早く右脚で蹴り飛ばしたのだ。

「あんま見かけない制服っすね?ここ駅も近いし交番もすぐそこだから、警官がすぐに駆けつけますよ。」

身長162センチの小柄な彼が、170センチ以上の上背のある男に綺麗なハイキックをしてみせたのが、ほかの2人を驚愕させたのだろう。気圧された1人に2人が肩を貸して、3人は無言でその場を去って行った。

「あ、ありがとう。」

そう言う被害者を彼は一瞥して軽く頭を下げる。彼もまた無言で立ち去った。

暫く公園のベンチに腰掛けて、それから立ち上がって帰ろうとしたそのとき……

米田少年は、突然後ろから背中を蹴り飛ばされて転倒した。

「よお、あっちのジジイよりもコイツらが悪いってか?クソチビよ!」

先程の3人が仲間を連れて戻って来たのだ。うつ伏せ状態から起きあがろうとする少年を、4人は容赦なく蹴り続けた。この様子を見た誰かが交番に伝えてくれたのだろう。警官4人がまとまってやって来て、彼らを追いかけたが、暴走族らしき男と3人の学生はそのまま逃げて行ってしまった。

気を失った米田が、次に目を覚ましたときには病院のベッドであった。

傍らには母と妹が不安気に彼の顔を覗き込んでいた。

「良かった。」

そう言って母親は米田少年をぎゅっと抱きしめる。

「どうして母さんが?カズミまで。」

「公園で、暴走族が集団で倒れてるお兄ちゃんのことボコボコにしてたんだって。それでね……」

(公園で蹴られ続けて、そのまま気を失ったのか……)

「それで、そいつらの靴の裏の泥に、ウイルスがいっぱい付いてたんだって。だからお兄ちゃんの傷口からそれが入って、別の病院行かなきゃいけないんだって。」

妹が言い終えると同時に、まるで彼が目を覚ましたタイミングを知っているかのように、白衣の男たちが病室に入って来た。1人は医師というよりは科学者のような印象で、ほかの2人は道着の代わりに白衣を纏っているような不釣り合いさがあった。

「すみません、お母様。息子さんが目を覚まされたんですね。良かった、良かった。大事なくて。」

科学者風の男はそう言うと、さっと右手を軽く上げた。同時に周りの男たちがストレッチャーに米田少年を手際よく乗せる。

「では、先程の書類に署名をお願いします……。ありがとうございます。……すまんね。親子の再会を充分させてあげられなくて……。行くぞ……。では失礼します。空気感染はしませんから、お母さんたちは大丈夫ですからね。」

病院の廊下を歩きながら、ストレッチャーを押している男が、科学者風の男に尋ねる。

「しかし強引過ぎではありませんか?」

「まあな。だが特に怪しんでる様子もなかったろ?」

「それより本当に大丈夫ですか?あんな4人まで?」

「なあ〜に、ついでにゴミ拾いを致しましたと報告すれば、黒崎様もお喜びになるだろう。それにしても仮出所者1人のつもりが、素晴らしい拾い物をした。」

気味悪く笑みを浮かべる白衣の男の黄ばんだ歯が、めくれたような上唇の間から覗く。

ストレッチャーの行く先に待っていた車両には、動かなくなった──公園で集団暴行をしていた4人の男が、麻袋の中に雑に詰め込まれていた。


少年はここに連れてこられた日のことを思い出していた。

同室で管理されていた大人たちによって、ここがどういう場所かは把握できたが、もう二度と家族とは会えないだろうと朧げには覚悟していた。だがこのベッドで目覚めた今は、一瞬でも施設の外に連れ出されたのかもしれないと淡い期待をしていた自分に落胆していた。

(結局俺も他力本願かよ。)

まるで自分をたしなめるように両手の頬を自ら叩く。

「よし。」

ベッドから素早く起き上がった米田は警戒しながら部屋を見て回る。気配としては自分以外はいないと思われるが、油断は禁物だと自分に言い聞かせる。

暫くして、本当に誰もいないことがわかった。そして彼の目に止まったものがある。

壁際のテーブルの上に見覚えのある白銀の金属を黒い樹脂で包んだストップウォッチのような小さな端末機である。

(何だ?スタッフの居住空間と隔たりがない生活をしてる、ってことか?それとも被検体の居住空間じゃないのか?いずれにしても不用心にもほどがある。)

彼は恐る恐るその小型端末機を手に取る。

(電源が入ってる。あ、やべ!)


レベル1の大会議室では未だ混乱が続いていた。所長の宣言後、管財部門の担当職員からの説明が始まっていたが、言葉を区切る度に、質問やら怒声やらが飛び交い、どよめきは消されていなかった。

一度は狼狽した黒崎も、見た目には一旦落ち着きを取り戻しているようにも見えた。だがいくら平静を装っても心ここにあらずで、演台で懸命に段取りを説明する職員の声も、彼の耳には届いていなかった。普段であればこのような事態でも軽やかに皆を鎮めに取り掛かるはずの副所長が、明らかな動揺を見せたことも、この混乱を一層長引かせているのかもしれない。

そんな折に藤原のポケットに入れてある端末機が振動を始めた。通常であれば、会議中の通信やスケジュールアラームの確認など礼儀として行うべきではないが、会場の現状では支障ないものと考え、藤原は端末を取り出してその場で確認した。

「博士、山本。予備の端末からの通信です。高山くんたちでしょうか?出てみます。……高山くんかい?どうした?藤原です。応答してくれ。」

「……あの、すみません。E910-7です。テーブルの上にあったので、今手に取ったら繋がったみたいです。本当にすみません。勝手に触れてしまって。」

「これ、あの子が目を覚ましたんでしょうか?」

藤原が2人にも聞こえるように通信を続けた。

「僕はFクラスのスタッフで藤原と言います。君はひょっとして米田くんかい?」

「……ええ、俺の名前知ってるんですね。すみません。どうして自分がここのベッドに眠っていたかわからないのですが?」

「ビンガが君をそこに連れて来たんだ。ミーズにいたのを助けてくれたらしい。」

「ミーズ?ああ、あの部屋。でも覚えてるのは自分の居住エリアで夕飯を食べてるとこまでで、それ以降は気づいたらここにいた感じなので。ここに今俺1人しかいなくて。どうして俺あんな部屋にいたんですか?」

「ちょっと待ってくれ……。どうします。この会議もこんなですし、俺下に行って彼に事情を説明して来ようと思うんですが?」

「いや、俺が行こう。藤原は悪いが博士と一緒に引き続き訓練の説明を聞いててくれ。今の彼の話だと高山くんたちがあそこにいないってことになる。」

「私たちも状況を見はからってそっちに合流するようにする。山本頼んだぞ。」

「はい……。すまん、米田くん。私は今君と話していた藤原の同僚の山本といいます。今からそちらに私が向かうので、その場で待っててくれないか?さっきの続きは直接会ってから話そう。」

「……分かりました。待てばいいんですね。」

通信を終えると2人に目配せして無言で会議室を出ていく。すぐに万一に備えてFKK421と刻まれた丸薬を口にする。一時的に神格化と同様の力を引き出す薬である。

(ビンガの最後の話を聞いて高山くんたちは動揺していた。レベル5行きはビンガも来ないから中止すると仲間に伝えて、まだ食堂に集まったままなのか?)


レベル3に到着した山本は何かいつも以上にこの階層全体が静か過ぎる、そう感じていた。ここまでセキュリティガードを1人も見かけない。巡回を全く行わず、上の会議に駆り出されたというのも不自然過ぎる。しかも気のせいか、カメラが作動していないようにも見える。

彼は警戒しながらも、カメラ設置場所で敢えて通路を走り抜けてみせた。

(やはりおかしい!俺をスタッフと認識したとしても、今の動きにカメラが全く反応しないのはおかしい。意図的に切られているのか?それとも電力供給に不具合でも生じたか?)

極力音を立てないようにしながら歩いていたが、異状に気付いた山本はそのまま居住エリアへと走り出した。特に追ってくる者の気配も感じられない。

少年の待つ部屋までそのまま一気に駆け抜ける。素早く居住空間に入った山本は、約束どおり待っていてくれた少年に無事会うことができた。

「すまない米田くん。私は先程君と話した山本だ。」

山本はこれまでビンガから聞いた話を米田に説明した。そして今上の会議室で行われている内容も、このレベル3のいつもと異なる状況も包み隠さず話をした。

「じゃあ理由は分からないけど、俺だけが無事でほかの連中はみんなどこかに連れて行かれて無理やりな強化を施されている、ということですか?」

(何か言葉の選び方が高山くんみたいだな。)

山本は余計な思いを振り払うように首を左右に軽く振った。

「具合が悪いんですか?顔色が良くないですし。」

「いや大丈夫だ。すまん。それより高山くんたち……4人の中学生たちは、君が目を覚ました時点でもういなかったんだね?」

「ええ。誰もいらっしゃいませんでした。それで居住スペースっぽいけど、どこかが分からなくて部屋を見て回っていたとき『ロザリオ』を見つけて、つい……。」

「いや責めてなどいない。むしろこちらの不注意だし、結果的に彼らが戻って来ていないことも君のおかげで知ることができた。……ん?待ってくれ、そう言えば君はこれを手にしてなんともなかったのかい?」

「え?何ともない?って……ひょっとして他人が勝手に触ると電流が流れて感電とかするんですか?」

「いや……そういうものではないんだが……ところでなぜコイツをロザリオなんて呼ぶって知っているんだい?我々は高山くんたちにも教えていないんだが?」

「ああ。ネズミ男が結構機嫌良いとき教えてくれるんですよ。正式名は知りませんけど。そう呼ばれるものだからお前は触るな、とか。ただの通信機じゃないんですか?」

「んん……ああ、まあスケジュール管理をしたりするんだよ。」

「ああ、それでか。グンプクの奴はコレ持ってないで、違う無線機使ってましたよ。アイツにスケジュール管理なんかできねえだろうから……きっと高いですよね、ソレ?結構ズッシリ重いですもんね、見た目より。」

「ああ、そうだね……。」

「……ところで、その自衛隊ってのはいつここに来てくれるんですか?」

「具体的には分からない。今日は準備日として、訓練によって外部の目に触れてはいけない部外秘の書類や実験動物たちの移送を終わらせるということで説明があったが、明日いきなり始まるのか、明後日なのか、その辺は敢えて知らされていないというところまでは聞いた。恐らく担当者の口ぶりや所長の冒頭演説で週末の期間という表現がされていたことを考慮すると、今日が金曜日なので明日の土曜の午前中まで最低限の準備をととのえて、来週月曜日にでも実施されるんじゃないだろうか。」

「月曜日……。今日が金曜日……。そっか。曜日なんて忘れてました。気にもしてこなかった。普通はそうやって、いつ何があるとか伝えるんでしたっけ……。自衛隊が来てくれたら、俺たちは解放してもらえるんですか?家に帰れるんですか?」

「私もそうなることを望んでいる。君も早く帰りたいだろう?」

「帰れるんだ。本当に、本当に……。」

張り詰めていたものが切れたのであろう。少年の目からはとめどなく涙が溢れていた。オサムたちと違い、同い年の仲間もおらず、素行不良の大人たちだけに囲まれてずっと1人で耐えて来たのであろう。曜日のことも正直自分では深く考えず口にしてしまった。14人の少年たちは、友人といることで情報がなくとも、不安にならずに済んでいたのかもしれない。時間に関する情報が遮断された生活を、余儀なくされる者の気持ちを考えたことがなかった。山本はそっと少年の肩を抱き寄せ、優しく背中を撫でていた。

だが同時に山本は、別のことにも思いを馳せていた。ひょっとしてこの子も、高山くんと同じではないかと──


泣き止んだ少年は極まり悪そうに涙を拭いながら山本に頭を下げた。

「すみません。みっともないところをお見せして。」

「頭を上げてくれ。むしろ君はすごい。一端の大人でも1日で音を上げる環境だよ、ここは。それを何か月も耐えてきたんだ。」

頭を上げて真っ直ぐに山本を見ながら、米田は自分の考えを話し始めた。

「お聞きした話からすると、アイツらホワイトルームにいるかもしれません。」

「ホワイトルーム?なぜ?」

「ご存知ないんですね。あそこには奥に続く別の実験室があることを。」

「別の……実験室だって?」

「ええ、誰もその中にまでは行ったことはありません。でもネズミ男がそこを使ってるのは俺たちも知っています。グンプクを知ってますか?」

「軍服?さっきもそんなことを言ってたね。」

「いつも軍服着てるんでそう呼んでるんですけど、副所長とよく一緒にいる……」

「ああ大野さんのことかな?」

「そうです。アイツ、なんでかネズミ男と気が合うらしく結構2人で話してることも多いんです。」

ネズミ男、恐らくはあの奇才吉田博士を指してるのであろう。山本は敢えて聞き返さずに話に耳を傾けた。

「時折意地の悪い顔をして、態度が悪くても構わない、それならホワイトルームに連れて行って実験動物になってもらうだけだから、逆らいたければ逆らえ、って煽るときがあるんです。それでネズミ男が嬉しそうに声を出して笑うんです。さすがのバカザトも大抵黙るんで、アイツがうるさいときはおとなしくなるんで、いいんですけど……。とにかく薄気味悪いんですよ、アイツら。」

「なるほど。多分香澄博士、うちのリーダーも知らされていない場所なんだろう。私もその話は正直初めて聞いたよ……。ところで体調は問題なさそうだね?何か違和感があるところはないかい?」

「大丈夫です。それより所長さん、副所長に直接何かされたりしないでしょうか?」

「彼は賢い人間だ。確かに追い詰められたと思ったときは、なりふり構わず君の言うように所長さえも手にかける危険はある。だが、さっきの会議で見た様子からは、焦りこそあれ、すぐに直接手を下す心配はないと思う。もう自衛隊が動き出すのは決定されている以上、所長に何かして止められるわけじゃないはず。まあ私の考えに過ぎんがね。」

「分かりました。でも所長さんに護衛をつけた方がいいんじゃないでしょうか?おっしゃるように今は良くても、何かされてからじゃ遅過ぎるってことになります。もし自衛隊が来れなくなったりしたら……。」

「確かに……。ちょっと待ってもらえるか?今上に残ってる2人にも状況を伝えたい。」

山本は手に握っていた端末機で藤原に呼びかける。

会議室で藤原は山本からの通信に気づき博士に知らせた。

「博士、山本からです。出ますね。こちら藤原、どうだった?」

「ああ、米田くんは無事だ。Tマターの過剰摂取だけで、ほかは特に運良く何もされていないのだろう。本人も体調に異常はないと言っている。で、彼からの情報提供なんだが、ひょっとしたらほかの被験者たちはホワイトルームに連れて行かれているかもしれない。私が向かって確かめてみようと思う。それと所長を念のため護衛できる者を手配した方がいいかもしれない。俺の考えでは、この米田くんが適任じゃないかと思うんだが、どうだろう?」

「え?俺が?」

山本は右手を軽く上げて、米田を制するように通信を続けている。

「……聞こえましたか博士?彼を連れてきてもらうのはいいんですが、レベル2より上の階層にいる理由がない。黒崎はもちろんですが、ほかの連中に見られでもすると却って彼自身も危険なのでは?」

「藤原すまない。相談中に。彼をZタイプのセキュリティガードに扮させて護衛につかせるようにできないか、博士にも訊いてみてくれないか?」

「……なるほど、変装させるのか……。博士できますかね?」

「山本、聞こえるか?香澄だ。いずれにしても、我々もそちらに合流する。もう会場も収集がつかなくなり始めている。訓練実施に関する情報もこれ以上はないだろう。ここで見切りをつける。実際退席した研究員たちもいる。我々がここでいなくなったとて、目立つこともないだろう。そこで待っててもらえるか?」

「承知しました。」

香澄は通信機越しに米田少年に声をかけた。

「米田くん、もう少し待っててもらえるか?」

「はい。自分は平気ですから。」


一方オサムたちはレベル3のある扉の前にいた。扉の向こうにはレベル4に向かう階段のある場所である。

「じゃあ始めよう。」

オサムがそう言うと松野、安川、添田の4人はその場に胡座をかいて円を描くように座り込んだ。

瞑想でもするかのように背を伸ばし、目を閉じて集中し始める。

すると4人の間に青白い光が見え始める。

「え?何これ?」

「これって白い部屋でサクマが見たやつじゃねえ?」

「ああ……。」

「でもこれって……。先生はあの部屋で特別に見える気体を充満させてるって言ってたはず……?」

圓崎の言うとおり、ホワイトルームのルミナス・ミストが可視化をさせると説明があったにも関わらず、彼らはこの異なる環境下でも可視化された光を放っていた。これはオサムが開花した能力とこれに呼応できる3人の間のみで行われるネットワーク通信のようなものである。

共振意識(レゾナンス・マインド)……こう呼ばれる特殊トランス状態によるネットワーク接続。そして4人が一体と化したとき、香澄博士はこの状態を『四神相応』と呼んだ。本来風水の言葉であるが、この完璧な磁場を作り出した状態から博士はこう呼んでいるのだ。

『四門の先に何があるのか、確かめたくば、クアドラ・チャネルにて門を開けるべし』

滝口理論に書かれた謎の一節。誰も到達できなかったシステムへの接続。

この4人の少年が最初の到達者となったのである。

(第二十八話 終わり)

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