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忍者活劇小説 -風と荊の道-  作者: 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)
第一章 火宅の門出は過酷なり
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第二話 友と運命の分かれ道

 三人は手分けして子どもを集める。集まった人数は十五人。里にいるはずのもう半分ほどの子どもはいなかった。すでに忍びとなっている者が引き連れてくれているか、あるいは頑なに隠れてやり過ごす作戦に出たのか……いずれにしても彼らに固執してこの場に居続けるのは危ない。早々に切り上げる。


「今から里を脱出する。全員、列を崩さず、俺達についてこい」


 静かに、だがよく通る声で凪が号令をかける。子どもたちは緊張した面持ちで頷き、手を上げた。


 先頭に凪が、子どもたちの間に雫が、殿に凪が立ち、一行は風のように走り出す。

 一行は里の外れの道を駆け抜け、裏山に向かう。そこには草木で隠された秘密の通路への隠し戸がある。ここを通り抜ければ、山の麓にある廃寺にたどり着くはずだ。


 何者にも遭遇せず、一行は秘密の扉にたどり着いた。扉の少し横では、小さな地蔵が置かれている。


「ん?」


 雫がその地蔵を見て眉を寄せた。しゃがみこんで観察を始める。刃がため息をついた。


「おいおい雫姉、時間がないって! 早く扉を開けてくれよ!」


 扉の解錠自体は凪もできるし、刃も得意ではないができる。しかし三人の中で忍び込む技術が一番優れているのが雫で解錠も一番早い。

 刃は雫を急かすが、雫の顔は釈然としない。


「……このお地蔵さんの布、こんな汚れ方していたっけな、って……」

「いやいや、野ざらしなんだからそりゃ汚れるだろ」

「でもなんか……」


 もやもやと言い続ける雫に凪は首を振った。もういい、俺がやる、と。

 鍵は簡単な代物で、針一本あれば開けられる。専門の鍵師から見たら笑われてしまうであろうくらいに簡単だ。誰でも脱出できるよう、ただひと手間にはなるよう、あえてこうしているのだ。

 かちゃかちゃと錠をいじる凪。だが彼の顔も晴れなかった。


 カチッ


 鍵が解かれ、扉が開かれる。


「よしっ! お前ら! また並んで中に入るぞ!」


 刃が号令をかける。子どもたちは頷いて凪を先頭に整列しようとした。

 だが自ら鍵を開けた凪が立ち上がって首を横に振った。


「……やめよう。野山を駆け下りるほうにしよう」

「はあ!? 何言ってるんだよ兄者あにじゃ!?」


 秘密の通路はいくつか内部分岐があるが、里の者である凪らであれば道は分かる。五色米もこっそり置かれている。そしてこの秘密の通路には特に罠が仕掛けられていない。


 だが野山の方は外敵侵入を防ぐための罠が仕掛けられているし、そもそも崖も多く忍びの里を天然の砦とたらしめんとしている。そこを歩くのは忍びの卵の凪らとて容易ではない。ましてやさらに子どもたちであれば。


 刃の言葉に凪は答える。


「確かにこの通路のほうが通り抜けるのは簡単だ。だが、敵が潜んでいたら?」


 通路は狭く、人が二人並んで通るのがなんとかできるくらいだ。もし敵が潜んでいたら……引き返す号令をかける前に何人も斬られてしまうことだろう。


「け、けどそんなタラレバの話されたらキリがないだろ! 向こうが廃寺の入口とかを見つける必要があるんだぜ!?」

「確かにそうだが……」


 抜け道を通らない案を提案した凪だが、彼もまた自信はなかった。雫の、地蔵への違和感を聞いてから、すでに秘密の通路を知られている疑いが頭に浮かんでしまった。なんなら敵はこの秘密の通路から入り込んできているのではないか。そして侵入の痕跡は隠し、里の者がここを抜けようとするのをその先で待っているのではないかと。

 根拠はまったくない。だが、その考えが捨て去れない。


「じゃあ、二手に分かれよう」


 二人の間を割って入ったのは雫だった。何か地蔵のことで分かったかと凪は訊ねたが、雫は首を振った。刃の言う通り、野ざらしにされていたら汚れることもある。雫が気になった汚れが、自然についたものなのか、あるいはそうでないかを判別する術がなかった。


 だが、雫もまた自分が感じた違和感と警鐘に従うことにした。


「アタシは凪といっしょに行く。出口の廃寺で合流する。これなら文句ないでしょ?」

「……いいだろう。よおーし、お前ら! 安全な、抜け道を通る奴らは俺といっしょに来い!」


 子どもたちは顔を見合わせていたが、半分以上……十一人の子どもが刃についていくことになった。残る四人は凪らとともに来ることになった。


 二手に分かれた凪と雫、刃は頷く。もう時間がない。里を燃やす炎の勢いが強くなっていた。まだ夜だと言うのに、明けがきたのかと思うほどであった。


「じゃあ廃寺で待ち合わせ。死ぬなよ、刃」

「それはこっちの台詞だぜ、雫姉、兄者」


 にやっと笑った刃は子どもたちに通路に入るように言う。そして自分が最後に入り扉を閉めた。かちりと鍵がかかった音がする。

 簡単に草木を戻して扉を隠した凪と雫は、子どもたちを連れて野山を駆け出した。


凪:三人の中で一番、頭が回る。

雫:三人の中で一番、観察力や忍者としての技術が高い。

 という雰囲気を出したかったのですが、いかがだったでしょうか? ちなみに見せる場面はなかったですが、刃は三人の中で一番、戦闘能力が高い感じです。

 引き続き小説をお楽しみください。

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