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第94話 先生がいない一時間

予定していた授業は、三十八人を六組に分けることになっていた。


ミナが植物を説明し、エメリク校長が二組、来るはずだった教師が二組、僕とリゼが安全を見る。ところが教師が一人いなければ、校長の担当が増え、全体を見る人がいなくなる。


「私が三組を順番に回ります」


校長が言った。


「それだと、校長先生が来るまで待つ組ができます。待っている間に、先へ始める子が出そうです」


すでに小鍬を土へ入れたがっている子が何人もいる。


授業を全部中止すれば安全だ。しかし、教師が一人休むたび何もできない学校では、来月さらに人が減った時に続かない。


僕たちは三枚の手順札を、教師がいなくてもできる部分と、必ず大人が要る部分へ分けた。


一枚目の『植物を見る』は、柵の外からでもできる。触らず、葉の形と札の絵を比べる。


二枚目の『土を見る』は、決めた畝の表面だけを手で触る。小鍬は使わない。


三枚目の『水を一杯』は、生活魔法を使うため、大人が組へ来るまで待つ。


「今日は、三枚全部できなくてもいいんですか」


テオが尋ねた。


「先生が少ない日は、安全にできる二枚まで。三枚目はできた組だけです」


授業の目標を小さくした。


『葉を一つ見分け、土の乾き方を言葉にする』


魔法を使わなくても、畑を学んだことになる。校長は最初、植物魔法の授業なのに魔法を使わない組があることを気にした。しかし、百項目の計画から一つへ絞った時と同じだと気づき、うなずいた。


六組へ、三枚ずつ札を渡した。三枚目だけ裏返しにして、『大人と一緒』の手形を描く。


始める前に、止まる合図も練習した。


黄色い旗が上がったら、その組は札を伏せ、道具から手を離す。大人が来るまでは、観察したことを言葉にするだけ。隣の組が勝手に助けへ行かない。


一度、校長がわざと黄色い旗を上げた。子どもたちは最初、何か起きたと思って集まりかけたが、テオが自分の組の札を伏せた。それを見て、ほかの組も持ち場へ戻る。


「助けることと、皆で囲むことは違います」


ミナが説明した。


困った人へ近づきすぎれば、別の危険が増える。水路の井戸でも、薬房でも使える止まり方だった。


大人側にも、誰が旗を見るかを決めた。僕が全体の旗、リゼが井戸、ミナが植物、校長が子どもの体調。一人が全部へ走らない。


子どもたちは、一枚目から自分たちで始めた。


葉の縁が丸いか、尖っているか。表が光るか、裏に毛があるか。名前を当てる競争にはしない。見つけた違いを一人一つ言う。


上手な子が全部答えると、同じ組の子が話せなくなる。そこで札の横に六個の小石を置き、一人が話したら一個を外す。小石がなくなるまで、同じ人は二度目を言わない。


「言いたいことが二つあります」


「一つは次の人の後に取っておいて」


教師が指示しなくても、小石が順番を作った。


二枚目では、土を強く握りすぎて団子にする子がいた。絵札は手のひらを描いただけで、力加減が分からない。テオが、自分の手で軽く包み、指の間から落ちる様子を見せた。


「潰すんじゃなくて、持ち上げるくらい」


彼の組では、その言葉で全員ができた。僕は札の余白へ、小さな開いた手の絵を足した。


ミナは組を回り、触ってよい植物だけへ青い紐を付ける。リゼは井戸と道具箱の間に立ち、許可なく水をくむ子がいないかを見る。僕は全体を見ながら、止まった組にだけ近づいた。


ある組は、一枚目を終えたのに二枚目へ進まなかった。


「どうしました?」


「先生が次へ行けと言っていません」


札の下には矢印がなかった。僕たちには左から右が順番だと分かるが、子どもには教師の合図で進む授業しか経験がない。


その場で、一枚目から二枚目へ太い道の絵を描いた。終わったら組の全員が指を置き、次へ進む。誰か一人がまだなら待つ。


「これなら、先生が来なくてもいい?」


「この二枚までは。困ったら、黄色い旗を立ててください」


質問のために大声で校長を呼ばなくてもよいよう、各組へ黄色い布を渡した。旗が立った組だけ、空いた大人が行く。


授業の終わりまでに、六組全てが二枚目まで進んだ。三枚目の水魔法は四組だけだったが、残り二組も失敗ではない。次回、最初に水を使う順番へ置くことにした。


授業後、できた枚数だけでなく、黄色い旗の回数も数えた。六回。そのうち四回は札の意味を聞く質問、一回は土の中の虫、一回は気分が悪くなった子だった。


気分の悪い子はすぐ木陰で休み、何事もなかった。もし教師全員が各組へ付ききりなら、全体から少し離れたその子に気づくのが遅れたかもしれない。


「先生が足りなかったのに、全体を見る人を残せました」


校長が記録を見た。


教師が少ないから、残った人が全ての作業へ入るのではない。子どもが自分で進める部分を増やし、大人は大人にしかできない安全確認へ残る。


三枚目へ進めなかった二組には、翌日の最初の十五分を予約した。できなかったまま忘れるのではなく、続きをいつするかまで決めた。


遅れていた教師は、授業の最後に駆け込んできた。校庭で待った後、伝言に気づいて走ってきたらしい。


「申し訳ありません。場所が変わったと知らなくて」


「連絡の仕方を直します。今日は、子どもたちが二枚まで自分で進めました」


校長は責めず、三枚の札を見せた。


教師は一枚目を読み、三枚目を読み、真ん中で手を止めた。


「二枚目の土の見方は、私は教わっていません」

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