35.悪魔の囁き
「だが、状況は一変した。異種族のガキどもの登場によってな」
言われてみれば、クロックがクロックらしからぬ行動をし始めたのは、あの二人と関わり始めてからだ。
「それって、アレ?お気に入りのおもちゃを横取りされて腹が立った的な?」
今までのクロックの発言を聞くに、どう見ても私の人生を娯楽対象として見てるようにしか思えない。大変遺憾だが、まぁ、当たらずも遠からずだろう。
そう思ってクロックを見れば、ニヤリと笑いテーブルに片肘を乗せて頬杖をついてこちらを見つめる。
「なにっ……」
「最初は俺もそう思ったさ、この苛立ちはお気に入りの人間を横から掠め取ろうとするガキ共への怒りだとな、だが違った。
お前があのガキどものどちらかの横に妻として立ち、仲睦まじくそのガキに笑顔を見せてると思うと虫唾が走った。何よりも、お前が己の力で未来を切り開いていくことに面白さを感じていたのだ。
異種族とはいえ、あの二人は王族の血を引く者達だ。最高のハッピーエンドのはずだろ?なのに何故、俺はあのガキどもを殺し、お前をここに縛り付けたいとさえ思っている?」
「えっ、私の不幸がクロックの蜜の味だからじゃないの?」
「…………お前が無意識で恋愛フラグを折るさまを何度も見てきたが、実際自分がやられると笑えんな、怒りを通り越して呆れる」
冷めたような目で見つめてくるクロックに「折ってない!!フラグなんてそもそも立ってない!」と反論するも、冷たい目のままのクロック
「まぁ、それもお前らしいがな……恋愛経験皆無の可哀そうなルイーゼに教えてやろう。
俺は、お前を妻に迎えたいと強く臨むほど愛してしまっている」
アイシテイル……?ハァ?誰が?誰を?なんで?と、そしてほんの数秒考えたが答えは出ない。出るわけない。
「いやぁー、ちょっと、イミガワカラナイ…」
「わからないではなく、わかりたくないの間違いだろ。現実逃避をするなルイーゼ、この私がお前への愛を告げたというのに、まったく」
呆れたような顔をするクロックに、そんなこと言われても!!!とキレたいのを飲み込み頭を抱える。なんで!?どうしてこんな話になっているんだ!?
「それってその………悪魔も……エルフとか、人魚みたいに一度好きになったら……もう他の人を好きになることが無い的なアレですか?」
動揺を隠せぬまま、恐る恐るクロックを見上げればクロックはフッと鼻で笑うと、再び先ほどと同様の魔法陣が現れると一瞬で美丈夫へと姿が変わる。
「何だ知らんのか、悪魔も人間と違って一途な種族だ。まぁ、肉欲に溺れることはあれど、一度妻と決めた相手を手放すことは一生涯有り得ない」
赤い目を細め、妖艶な笑みを浮かべるクロックに見つめられて、一瞬で顔に血が上る。自分の顔を見られたくなくて勢いよくテーブルに突っ伏した。そんな姿を見てクロックはクツクツと笑っている。
「存外愛らしい反応をするじゃないかルイゼ、耳まで真っ赤だぞ」
「ほっといてぇーーー」
「ククッ、アハハハハッ」
「笑うなぁーーー」
突っ伏しながら叫んだ声は、間抜けなほどにくぐもっており自分でも説得力が皆無だと思いながらも、今はどうすることもできない自分が恥ずかしくて仕方なかった。こんな乙女な一面が自分に合ったなんて、認められるかぁーーーー!!!
お知らせ(9月10日)
平素よりご愛読をいただき誠にありがとうございます。
急ではございますが、諸事情によりしばらく投稿をお休みいたします。
今年は12月には投稿を再開できるかな……と、思っております。
投稿のお休み、本当に申し訳ありません。




