表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『スキル【時代】で領地開拓:追放された俺の開拓が原始から未来へ』  作者: あつ2
第1章 「旧石器時代」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/34

007...スキル「火起こし」

夜が来た。


 森の夜は、黒かった。

 村の夜とは違う。

 明かりがない。

 人の声もない。


 風の音と、木が軋む音だけ。


「……やばい」


 寒い。


 想像よりずっと寒い。

 指の感覚が薄い。


 このまま寝たら、普通に死ぬ気がした。

 俺は慌てて枯れ枝を集め始める。


 焚き火。


 とにかく火が必要だった。

 火打石を取り出す。


 カチッ。


 失敗。

 カチッ。


 火花だけ。


「つかねぇ……!」


 焦る。

 暗くなる。

 寒くなる。

 怖い。

 森の奥から遠吠えまで聞こえてきた。


 その時。


【《旧石器》適応率 7%】

【火起こし集中 微上昇】


「なんだよそれ……!」


 意味分からん。


 だが。


 少しだけ、手の動きが落ち着いた。


 細い枝。

 乾いた葉。

 風向き。

 なんとなく、“燃えやすそう”が分かる。


 カチッ。

 火花。

 煙。


「……っ!」


 小さな火。

 すぐ消えそうなくらい弱い。


 でも。


 火だった。


 俺は慌てて息を吹きかける。


 パチッ。

 パチパチ。

 炎が少しだけ大きくなる。


「はぁ……っ」


 全身の力が抜けた。

 暖かい。


 たったそれだけで、生き返るみたいだった。


 火の前へ座る。

 不思議なくらい安心する。

 暗闇が少し遠くなる。

 寒さも和らぐ。

 怖さまで薄れる。


【火への安心感 微上昇】


「いやもう完全に原始人なんよ……」


 誰もいない森で呟く。


 だが。


 火を見てると、本当に落ち着いた。

 パチパチ燃える音。


 暖かさ。

 光。


 ……人類って、たぶんこうやって生きてきたんだろうな。


 その時だった。


 ガサッ。


 茂みが揺れる。


「っ!!」


 心臓が跳ねる。

 慌てて石を掴む。

 暗闇の奥。

 黄色い目。

 狼。

 小さい。


 でも。


 怖い。


 火を見て止まっている。

 近づいてこない。


 俺は震える手で石を投げた。


 ビュッ。

 ゴッ。


 近くの木に当たる。

 外れた。

 狼は少し下がった。


 でも。


 まだいる。

 火を警戒している。


「……来んなよ」


 石を握る。

 狼を睨む。

 怖い。

 めちゃくちゃ怖い。


 でも。


 狼も近づいてこない。

 火があるからだ。

 その瞬間。

 俺は初めて理解した。


 石は弱い。

 俺も弱い。


 でも。


 火は違う。

 火だけは。


 ちゃんと“生き残る力”だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ