040...新たな出会い
囲いができてから。
少し変わった。
風の音が違う。
外と内側で空気が分かれている感じがする。
火の前へ座る。
燻製肉。
石槍。
土器。
全部が火の周りへ集まり始めていた。
まるで。
ここを中心に生きてるみたいだった。
【《縄文》適応率 30%】
【“中央に火を置きたくなる”】
「もう完全に集落作り始まってる……」
その時。
ミナが囲いの隙間を見ていた。
「ここ、寒い」
「ん?」
「風入る」
確かに。
入口付近だけ冷たい。
その瞬間。
頭の中へ感覚が流れ込む。
布。
草。
骨。
垂らす。
塞ぐ。
【《縄文》知識】
【“簡易のれん”を理解】
【対価: 草束 or 保存食】
次の瞬間。
積んでいた乾燥草が、半分崩れた。
「うわっまた!?」
【対価支払い完了】
「ほんと勝手に持ってくな……」
でも。
頭の中では作り方が分かる。
草を編む。
吊るす。
風を弱める。
完全に防ぐんじゃない。
“少し楽にする”。
人類ずっとそれだ。
三人で草を編む。
ジンが骨針を使う。
ミナが蔓を結ぶ。
俺が吊るす。
少しずつ。
入口へ簡単な垂れ幕みたいなのができた。
見た目はボロい。
でも。
風がかなり減った。
「……あったかい」
ミナが嬉しそうに言う。
その時。
外から視線を感じた。
「っ」
反射で石槍を掴む。
囲いの外。
木の陰。
誰かいる。
数秒後。
昨日の少年だった。
痩せたまま。
でも今日は逃げない。
囲いを見てる。
火を見てる。
燻製肉を見てる。
……羨ましそうだった。
ジンが低く言う。
「入れるか?」
静かになる。
群れを増やせば、仕事は増える。
でも。
食料は減る。
その時。
【《縄文》適応率 33%】
【“役割があると群れを増やしたくなる”】
頭の中へ感覚。
縄文。
定住。
役割。
火の番。
狩り。
保存。
“人が増えるとできる事も増える”。
俺は少年を見る。
ガリガリだ。
少し前の俺と同じ。
「……お前、何できる」
少年は一瞬固まった。
しばらく黙ってから。
「……木、登れる」
その瞬間。
俺とジンが同時に顔を上げた。
……使える。




