表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『スキル【時代】で領地開拓:追放された俺の開拓が原始から未来へ』  作者: あつ2
第2章「縄文時代」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
36/42

036...ジン

煙が森へ流れていく。



 燻した肉の匂い。

 火の音。

 最近、この時間だけ少し落ち着く。

 三人で火を囲んで座る。

 自然と円になる。

 誰も言わないのに。



 その時。



 ふと気づいた。


「……そういや」


 男を見る。


「名前、聞いてなかった」


 ミナも顔を上げる。

 確かにそうだ。

 ずっと“男”だった。

 火の向こうで、男は少し黙った。



 パチッ。



 火が鳴る。

 しばらくして。


「……ジン」


 低い声。


「俺の名前だ」

「なんで今まで言わなかった」



 ジンは火を見たまま答える。



「生き残るか分からなかったからな」



 静かになる。

 その言葉が、この森では当たり前すぎた。

 昨日死んでもおかしくなかった。

 今日だってそうだ。

 名前を名乗る前に死ぬ。

 普通にある。

 ミナが小さく呟く。



「……今は?」



 ジンは少しだけ笑った。


「少しは生きれそうだ」



 その瞬間。

 胸の奥が少し温かくなる。


【《縄文》適応率 18%】

【“群れの名前を覚えると安心感 微上昇”】


「感情まで縄文なんだよなぁ……」


 でも。


 本当にちょっと安心した。


 “男”じゃない。

 ジンだ。


 名前がつくと、急に“仲間”になった気がする。


 その時。


 ミナが俺を見る。



「レクトも、前より顔変わった」

「またそれ?」


「うん」

「どんな」


 ミナは少し考えてから言った。


「前は、すぐ死にそうだった」

「失礼だな」


「今は……」



 火を見る。

 石壁を見る。

 燻製肉を見る。


「ここ守りそうな顔してる」


 その言葉で、少し黙る。

 守る。

 確かに。


 最近ずっと考えてる。


 雨。

 食料。

 火。

 壁。

 全部。


 “壊れたら困る”。


 それが前より強い。


【《縄文》適応率 20%】

【“住処を守りたい感情 微上昇”】


 その時だった。


 森の奥で、枝が折れる音がした。


 バキッ。


 三人同時に顔を上げる。



 静か。

 風の音。

 そして。

 もう一回。


 バキッ。


 ……大きい。

 ジンの顔が険しくなる。



「この音……」



 石槍を握る。

 火が揺れる。

 そして次の瞬間。


 茂みの奥から巨大な影が現れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ