033.スキル「土触り」「土器作成」
朝。
俺は地面を掘っていた。
「……何してるの」
ミナが眠そうな顔で聞いてくる。
「土探してる」
「土?」
「なんか、違う土ある」
自分でも説明が下手だと思う。
でも。
分かる。
触った瞬間、 “使える土”と“ダメな土”がある。
ミナは必死に地面を
手で掘ってるの姿を見て
モグラさんみたいで少し笑った。
【《縄文》適応開始】
【“粘土を探す感覚 微上昇”】
「完全に陶芸家ルート入ってる……」
その時。
指先へ妙な感触が来た。
冷たい。
粘る。
少し重い。
「……これだ」
灰色っぽい土。
水を混ぜると、まとわりつく。
ミナも触る。
「変な土」
「だよな」
だが。
頭の中では、 “形にしたい”感覚がずっとあった。
丸く。
深く。
水を入れられる形。
その時。
【“土器作成”】
【対価: 粘土 50%消費】
視界の端へ文字。
次の瞬間。
手の中の粘土が、一気に減った。
「うおっ!?」
半分消えた。
代わりに。
頭の中へ感覚が流れ込む。
指の動き。
厚み。
形。
乾かし方。
知らないのに分かる。
「……気持ち悪っ」
でも。
自然に手が動いた。
粘土を回す。
押す。
広げる。
少しずつ形になる。
ミナが目を丸くした。
「器……?」
「っぽい」
完成したのは歪んだ小鉢みたいなものだった。
めちゃくちゃ不格好。
でも。
“入れ物”だった。
その時。
男が戻ってきた。
木の実を少し持っている。
「……なんだそれ」
「土」
「見りゃ分かる」
男は器を持ち上げる。
「これ、お前が?」
「なんか作れた」
男が少し黙る。
そして。
「……保存できるかもしれんな」
その言葉で、 空気が少し変わった。
保存。
つまり。
“明日の飯”を考えられる。
今までは、見つけたら即食うしかなかった。
でも。
残せるなら違う。
未来を考えられる。
その瞬間。
頭の奥が少し熱くなる。
縄文。
保存。
定住。
火の周りに物を置く感覚。
【《縄文》適応率 5%】
【“食料を残したくなる”を獲得】
そして同時に。
胸が妙にザワついた。
……減るの嫌だ。
食料。
薪。
道具。
全部。
“盗られたくない”。
その感覚が、昨日までより強かった。




