031...スキル「石加工」
その日。
俺たちはずっと石を割っていた。
カンッ!!
カンッ!!
乾いた音が森へ響く。
地味。
本当に地味。
だが。
少しずつ分かってきた。
硬い石。
割れやすい角度。
鋭くなる形。
【《旧石器》適応率 98%】
【“石を少し加工”を獲得】
「進化名が地味すぎる……」
でも重要だった。
考える。
工夫する。
ただ投げるだけじゃない。
石を“使う”。
それが変わり始めていた。
ミナは枝を削っている。
男は蔓を集めていた。
「それ何に使うんだ?」
「固定」
「固定?」
男は尖った石を枝へ当てた。
蔓で巻く。
結ぶ。
締める。
簡単な槍みたいな形になった。
「……おぉ」
めちゃくちゃ弱そう。
でも。
昨日までの俺たちよりはマシだった。
石だけより長い。
距離が取れる。
その時。
頭の奥が少し熱くなる。
石。
木。
結ぶ。
伸ばす。
道具。
【《旧石器》適応率 99%】
【“石を持ちやすくしたくなる”を獲得】
「言い方ぁ!!」
だが。
すごく自然だった。
人間の手は弱い。
爪も牙もない。
だから。
“持ちやすくする”。
それが必要だった。
夕方。
簡単な石槍が三本できた。
弱そう。
折れそう。
でも。
俺たちは少しだけ興奮していた。
昨日まで。
石しかなかった。
今は違う。
石を“道具”にした。
その時。
ミナが小さく呟く。
「なんか……人の家みたい」
火。
石壁。
屋根。
槍。
役割。
群れ。
俺はその言葉を聞いて、少しだけ黙った。
人の家。
その響きが。
思ったより嬉しかった。
そして、その夜。
頭の中へ、青白い文字が浮かぶ。
【《旧石器》適応完了】
火が、少し大きく揺れた。




