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『スキル【時代】で領地開拓:追放された俺の開拓が原始から未来へ』  作者: あつ2
第1章 「旧石器時代」

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003...役に立たない

朝。


 吐く息が白かった。


 冬が近い。


 村人たちは朝から慌ただしく動いていた。


 薪を割る者。

 畑を片付ける者。

 保存食を運ぶ者。


 皆、生きるために動いている。


 俺も斧を持って薪割り場へ向かった。

 ……働かないと飯が減る。


「レクト、お前そっち運べ」

「はいよ」


 薪を抱える。

 重い。

 手が冷たい。

 だが。

 その時だった。


「おいおい、石投げ係に力仕事させんなよ」


 若者たちが笑う。


「石投げて薪落とせよ!」 「その方が得意だろ!」


 周囲も苦笑い。


 俺は何も言わなかった。

 反論できない。


 だって。

 事実だ。

 俺には何もない。

 剣も。

 魔法も。

 強いスキルも。

 その時。


 薪を抱えたまま足を滑らせた。


「うわっ」


 ドサッ!!


 薪が散らばる。

 笑い声。


「よっわ……」 「それで冬越せんのか?」


 胸が少し痛かった。

 別に殴られてるわけじゃない。


 でも。

 “生き残れない奴”を見る目だった。


 この世界では。

 弱いって、それだけで怖い。


 昼。


 広場で若者たちが狩りの練習をしていた。

 弓。

 剣。

 槍。

 皆、ちゃんと戦える。


「《風刃》!」

 草束が裂ける。


「すげぇ!」


 歓声。


 俺は少し離れた場所から見ていた。

 混ざれない。


 その時。


「レクトもやるか?」


 村の男が笑いながら石を投げてきた。

 コロコロ転がる小石。


「得意だろ?」


 また笑い。


 俺は黙って石を拾った。

 ……投げればいいんだろ。


 遠くの木へ向かって投げる。


 ビュッ。

 ゴッ。


 当たる。

 普通に当たる。

 でも。

 それだけだった。

 枝が少し揺れただけ。

 魔法みたいな派手さはない。


「地味ぃ……」 「鳥追い払うくらいしかできねぇな」


 笑い声。


 俺は石を見つめた。

 小さい。

 軽い。

 弱い。


 ……でも。


 その時。

 ふと気づいた。

 投げやすい。


 変な感覚だった。


 どの石なら真っ直ぐ飛ぶか。

 なんとなく分かる。

 重さ。

 形。

 手触り。

 頭じゃなく、指が理解している感じ。


【《旧石器》適応率 1%】

【投擲感覚 微上昇】


 また青白い文字。

 俺だけに見える。


「……なんなんだよこれ」


 誰にも聞こえないように呟く。

 微上昇。

 相変わらずショボい。

 だが。

 ほんの少しだけ。

 石を握る感覚が自然になっていた。

 その時だった。


 村の入り口が騒がしくなる。


「帰ってきたぞ!」 「狩り班だ!」


 男たちが戻ってきた。

 だが、空気がおかしい。


 獲物が少ない。

 しかも皆、顔が暗い。


 村長が険しい声で聞く。


「どうだった」


 狩人の一人が答えた。


「……森の奥に魔物がいる」


 空気が凍った。


「ブラックウルフだ」


 誰かが息を呑む。


 冬前に現れる、飢えた上位魔物。


 普通の村なら、滅ぶこともある。

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