027...スキル「水流れ鑑定」
雨は一日中降っていた。
屋根代わりの倒木から、ポタポタ水が落ちる。
「……漏れてる」
ミナが呟く。
「完璧じゃないしな」
むしろ倒木を乗せただけでよく保ってる。
だが。
火は守れていた。
それが大きい。
火が消えないだけで、安心感が全然違う。
男は腕の傷へ布を巻き直していた。
顔色はまだ悪い。
「熱あるぞ」
「平気だ」
「平気な顔してない」
怪我。
雨。
寒さ。
この世界だと普通に死因だ。
薬なんかない。
回復魔法もない。
……俺たちには。
その時。
ポタ。
水滴が首へ落ちた。
「冷たっ」
俺は思わず上を見る。
隙間。
そこから雨が入ってる。
その瞬間。
妙に気になった。
葉の重ね方。
木の角度。
石の位置。
……塞げそう。
【《旧石器》適応率 90%】
【“水流れ鑑定”を獲得】
要は雨漏れ鑑定?
「生活力方向に進化しすぎだろ!!」
でも。
本気で気になる。
雨が入る。
寒い。
火が弱る。
つまり死ぬ。
俺は立ち上がった。
「葉、集める」
「今から?」
「今だから」
ミナも立つ。
男は少し笑って、立った。
「群れっぽくなってきたな」
俺たちは雨の中を走り回った。
大きい葉。
枝。
泥。
全部使う。
倒木の隙間へ葉を詰める。
枝で押さえる。
泥で固定。
地味。
びっくりするくらい地味。
だが。
水滴が減った。
「……止まった」
ミナが少し驚いた顔をする。
俺も驚いてた。
適当にやったのに。
なんか形になってる。
【《旧石器》適応率 92%】
【“住処を直すと少し安心する”を獲得】
火の前へ戻る。
三人とも泥だらけ。
でも。
少し笑っていた。
外は寒い。
雨も降ってる。
ブラックウルフもいる。
奴隷商もいる。
それでも。
この小さい場所だけは。
少しずつ、 “生き残る場所”になり始めていた。




