025...スキル「雨を避けたくなる」
その夜。
三人とも、少しだけ眠れた。
腹が満たされていたからだ。
火もある。
風避けもある。
敵も来ない。
……それだけで全然違った。
朝。
俺は先に目を覚ました。
寒い。
でも。
前よりマシだった。
石を積んだ壁が、ちゃんと風を止めている。
「……すご」
自分でちょっと驚く。
偶然積んだだけなのに。
ちゃんと意味があった。
その時。
空から冷たい雫が落ちた。
「雨か」
ポツ。
ポツポツ。
そして。
一気に降り始める。
「うわっ!?」
ミナが飛び起きた。
男も舌打ちする。
問題はすぐ分かった。
火。
消える。
「枝!!」
三人で慌てて動く。
葉を被せる。
石を寄せる。
濡れた木を避ける。
泥だらけ。
必死。
その時だった。
俺の視線が、倒木へ止まる。
大きい。
中が少し空洞。
……使えそう。
【《旧石器》適応率 85%】
【“雨を避けたくなる”を獲得】
「いやそれ人類全員そうだろ!!」
でも。
なんとなく分かる。
葉の向き。
風。
雨。
どこが濡れにくいか。
俺は自然と倒木を指差した。
「あれ使うぞ!」
三人で押す。
重い。
めちゃくちゃ重い。
だが。
風避けの石へ立てかける。
簡単な屋根みたいになった。
その下へ火を移す。
パチッ。
炎が残る。
「……消えてない」
ミナが少し目を丸くする。
男も感心した顔だった。
「雨除けか」
「多分」
また“多分文明”。
でも。
雨はかなり防げていた。
三人とも屋根の下へ入る。
狭い。
肩が当たる。
でも。
暖かい。
【《旧石器》適応率 88%】
【“雨風を防ぐと安心感 微上昇”】
その瞬間。
俺は少しだけ理解した。
人類って。
最初はこうやって、 少しずつ“外の怖さ”を減らしていったんだ。




