023...スキル「高いところに登る」
翌朝。
空腹で目が覚めた。
最悪だった。
腹が減ると、頭まで鈍くなる。
ミナも男も静かだった。
喋る元気がない。
火の前で、三人ともぼーっとしている。
その時。
ガサッ。
音。
三人同時に顔を上げる。
森の奥。
……鹿。
昨日見た奴より少し大きい。
草を食べている。
俺は石を握った。
でも。
分かってる。
当たっても逃げる。
石は弱い。
その時。
ふと上を見る。
太い枝。
その上に、大きな石。
昨日の感覚が頭をよぎる。
直接倒せないなら。
落とせばいい。
【《旧石器》適応率 75%】
【“上から落とす発想”を理解】
「急に怖い原始知恵きたな……」
だが。
理屈は分かる。
人間は弱い。
だから真正面から戦わない。
使えるものを全部使う。
俺は小声で言った。
「ミナ、回り込めるか」
「……できる」
「鹿をこっちへ走らせて」
ミナが頷く。
静かに移動。
男は石を持った。
俺は木へ登る。
高い。
怖い。
でも。
裸足だと少し登りやすかった。
【“裸足で高いところに登る”を獲得】
「もう完全に森の猿なんよ……!」
だが今はありがたい。
枝の上へ乗る。
石を押さえる。
重い。
かなり重い。
数秒後。
ガサガサッ!!
ミナが鹿を追い込む。
鹿が走る。
こっちへ。
「今!!」
俺は石を押した。
ゴゴッ!!
落ちる。
鹿が気づく。
逃げる。
……が。
ドガッ!!
「ッ!?」
石が背中へ直撃した。
鹿が転ぶ。
完全には倒れてない。
でも。
動きが止まった。
「押さえろ!!」
三人で飛びかかる。
めちゃくちゃ泥臭かった。
蹴られる。
転ぶ。
石で叩く。
叫ぶ。
必死。
数分後。
鹿は動かなくなった。
「はぁ……っ」
全員息切れ。
汗。
泥。
擦り傷。
でも。
デカい。
食料だ。
石は弱い。
でも。
“落とした”。
それだけだった。
その瞬間。
【《旧石器》適応率 80%】
【“狩りは工夫だと理解”】




