013...スキル「骨をさわる」
朝。
雨は止んでいた。
森の空気は冷たい。
湿った土の匂い。
煙。
焼けた肉の匂い。
俺は火の前で座っていた。
ウサギの骨を持ったまま。
「……」
昨日、食った。
ちゃんと全部。
最初は吐きそうだった。
血も。
匂いも。
肉を裂く感触も。
全部きつかった。
でも。
腹は満たされた。
身体が少し軽い。
それが余計に怖かった。
骨を見る。
細い。
軽い。
その時。
妙に気になった。
尖ってる部分。
割れ方。
硬さ。
【《旧石器》適応率 27%】
【“骨を見ると少し触りたくなる”を獲得】
「嫌すぎる……!」
本日も微妙進化である。
だが。
なんとなく分かる。
尖らせれば使えそう。
削れば刺さりそう。
……いや待て。
俺、本当に原始人になってない?
その時。
ふと気づく。
石。
骨。
木。
周囲にあるもの全部が、 “道具候補”に見え始めていた。
昨日までの俺なら、 ただのゴミだ。
でも今は違う。
この骨も。
削った枝も。
生き残るための材料に見える。
「……」
俺は尖った石を拾った。
骨を削る。
ギギッ。
削れる。
少しずつ尖る。
地味。
びっくりするくらい地味。
でも。
妙に集中できた。
数時間後。
「……できた?」
骨の針みたいなのができていた。
弱そう。
というか普通に弱い。
でも。
ちょっと刺さる。
【《旧石器》適応率 30%】
【“簡易加工”を理解】
その瞬間。
頭の奥へ、少しだけ感覚が流れ込んだ。
人類。
石。
骨。
木。
加工。
“持ってる物で生き延びる”。
そんな感覚。
その時だった。
ガサッ。
「っ!」
反射的に骨針を構える。
茂み。
音。
緊張。
数秒後。
出てきたのは。
「……子供?」
ボロボロの少女だった。
泥だらけ。
裸足。
痩せている。
年は俺より少し下くらい。
そして。
俺の火を見た瞬間。
倒れた。




