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『スキル【時代】で領地開拓:追放された俺の開拓が原始から未来へ』  作者: あつ2
第1章 「旧石器時代」

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012...初めて奪う

雨はまだ降っていた。


 パチパチと、弱い火が揺れる。

 その前で。

 白いウサギが震えていた。

 小さい。

 弱い。


 逃げる力も残ってないみたいだった。

 俺は石を握っていた。

 腹が減ってる。

 昨日から、ほとんど食ってない。

 頭がぼんやりする。


 寒い。


 このままだと本当に死ぬ。


 だから。

 分かってる。

 食わなきゃいけない。


「……」


 でも。


 手が動かなかった。

 村にいた頃、肉は食ってた。


 でもそれは、  “もう肉になってたもの”だ。


 自分で殺したことはない。

 ウサギが小さく動く。

 火を見てる。

 安心してるみたいだった。


 その時。


 腹が鳴った。


 グゥゥ……


 限界だった。


【《旧石器》適応率 22%】

【“飢餓耐性 微上昇”】


「いや耐性じゃなくて飯くれよ……」


 乾いた笑いが出る。


 その時。


 ウサギが少しだけ近づいた。

 火に。


 暖かさを求めるみたいに。

 ……俺と同じだ。

 その瞬間。

 胸が妙に痛くなった。


「……ごめん」


 誰に言ったのか分からない。

 俺は石を握り直した。


 投げる。


 ビュッ。


 ゴッ。


「ッ!?」


 ウサギが転がる。


 でも。


 死んでない。

 苦しそうに暴れる。


「っ……!」


 頭が真っ白になる。

 どうすればいい。

 どうやって止める。

 ウサギが鳴く。

 小さい声。

 怖かった。

 俺は震える手で、もう一度石を握った。

 近づく。


 そして。


 叩いた。


 ゴッ。


 静かになった。

 雨の音だけが聞こえる。


「……」


 手が震えていた。

 気持ち悪い。

 怖い。


 でも。


 腹は減ってる。

 火の前へ戻る。

 ウサギを見る。

 さっきまで生きてた。

 今は動かない。


 その時。


【《旧石器》適応率 25%】

【“狩猟後、少し落ち着く”を獲得】


「最低だろこのスキル……」


 でも。


 本当に少しだけ。

 “生き残った”って感覚があった。


 俺は火を見つめた。

 暖かい。

 怖い。

 腹が減る。

 眠い。


 そして。


 生きるって、思ったよりずっと汚かった。

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