↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻の瑕疵  作者: 朔來 織
~思緋紡ぐ鈍色の鎖~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
69/160

第六十九話 緋色の執着

「…………」


何も——

考えたくない。


「…………」


何も——

したくない。


灰色。


全部が——

灰色に染まっている。


「……もう」


声が出ない。


「…………」


シンもいない。


緋色も消えた。


「……疲れた」


何に疲れたのか。


それすら——

分からない。


「…………」


來も。

朱禰さんも。

蒐も。

紅葉も。


みんな——


「…………」


——ズキッ——


「……?」


——ズキッ——


「…………」


——ズキッ——


「……何」


沙苗が手を見る。


「…………」


拳を握っている。


「何で……」


指を開こうとする。


「…………っ」


開かない。


「……痛っ」


爪が掌へ食い込んでいる。


「…………」


いつから?

分からない。


「……何」


ゆっくり——

指を開く。


——ギシッ——


「っ……」


掌。


泥と血。


その中に。


「…………」


朱色。


「…………」


沙苗の指が止まる。


「シン……」


首輪。


「…………」


さっき拾った。


それから。


ずっと——

握っていた。


「……何で」


もういないのに。


「…………」


全部。


どうでもいいって——

思ったのに。


「……何で」


——ギュッ——


また握る。


「…………っ」


痛い。


掌が痛い。


「……馬鹿」


誰に言ったのか。


「…………」


息を吐く。


「もう……」


終わったこと。


「……いいの」


手を開けばいい。


「…………」


首輪を離せばいい。


「…………」


——スッ——


指が緩む。


「…………っ」


——ギュッ——


「…………」


離せない。


手が止まる。


「…………」


沙苗が首輪を見る。


「何でよ……」


涙は出ない。


「もう」


声だけが震える。


「いないじゃん……」


返事はない。


「…………」


灰色だけが広がっている。


「いないじゃない……」


——ギュッ——


「何で……」


拳が震える。


「離せないのよ……」


分からない。


何も——

分からない。


「…………」


身体は知っている。


心も知っている。


「……っ」


爪がまた食い込む。


「…………」


それでも離さない。


「……そっか」


沙苗が小さく呟く。


「…………」


全部。

手放したつもりだった。


もう何もいらない。


何も残っていない。


そう——

思っていた。


「……馬鹿みたい」


まだ握っている。


「…………」


灰色の中。


朱色の首輪。


光らない。

燃えない。


何の力もない。


「…………」


沙苗は首輪を握る。


その意味も分からないまま。


朱は——

そこにいると信じた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

『輪廻の瑕疵』は、毎日18:00に更新予定です。

※本作は「カクヨム」にも重複投稿しています。


もし「沙苗と來のコンビが良いな」「先が気になる」と思ってくださったら、

評価、ブックマークで応援いただけると、執筆の大きな励みになります。


そして、もうひとつの物語——

『SOUL TR@DE』も毎日18:00更新中です。


和風怪異とはまったく異なる、

魂と市場を巡る近未来ダークファンタジー。


あわせて楽しんでいただけたら嬉しいです。


今後ともよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。