↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻の瑕疵  作者: 朔來 織
~思緋紡ぐ鈍色の鎖~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/160

第六十一話 最凶の洗礼

——バヂッ!!——


黒雷が爆ぜる。


「…………」


蒐の瞳が細くなる。


右手には、折れた黒刀。

左手には、折れた刃。


その二つを——

黒雷が覆っている。


——バヂヂヂッ!!——


刃が伸びる。


二振りの黒雷の太刀。


「……は、はは」


蒐の口元が引き攣る。


「なんやねん……それ」


「知らん」


「は?」


「今できた」


「ふざけんなや!!」


——ドンッ!!——


蒐が跳ぶ。


——ズバァァァンッ!!——


黒が大地を喰らった。


「——っ!?」


灰色の地面。


抉れたのではない。


「……消えたっ!?」


蒐が着地する。


視線の先。


先ほどまで自分が立っていた場所。


そこだけが黒く欠けている。


「…………アホか」


背筋を冷たいものが走る。


「避けんな」


來が言う。


「無茶言うなっ!!」


「手加減してる」


「どこがや!!」


——ブンッ——


來が右腕を振るう。


黒雷の太刀を横へ薙ぐ。


「——っ!!」


蒐が沈む。


頭上を黒が通過する。


——ズバァァァァンッ!!——


後方の木々が消える。


「…………」


蒐の頬を汗が伝う。


「地獄におった頃より」


ゆっくりと立ち上がる。


「随分と……」


口角が上がる。


「可愛げ無くなりましたなぁ!!」


——ドンッ!!——


地を蹴る。


「くくっ」


來が笑う。


「お前は変わらんな」


「誰のせいや!!」


——ズアッ!!——


蒐の足元から影が広がる。


影が影を生む。


「…………」


無数の影。


影は重なり境界を曖昧にする。


——ザァァァァァ——


同時に來へ迫る。


「最凶の鬼?」


右。


「笑わせるわ」


左。


「俺が憧れた」


背後。


「あんたは」


來は動かない。


「もっと鬼やったわ!!」


——ヒュンッ!!——


影の中から閃光が走る。


——ヒュヒュヒュヒュンッ!!——


來の全方位。


「…………」


——ガガガガガッ!!——


黒雷が影の糸を掴む。


——ガギィィンッ!!——


影刃が砕ける。


「まだや!!」


——ズアァァァァッ!!——


無数の影が來へ飛び掛かる。


「五月蠅い」


——バヂッ!!——


「——っ!?」


黒雷。


影へ黒が走る。


——バヂヂヂヂッ!!——


「なん——」


黒雷が影を喰らう。


「っ!!」


蒐の瞳が見開かれる。

來へ触れようとした影。


そこから黒が逆流する。


——バヂヂヂヂヂッ!!——


「ぐっ!?」


蒐の右腕へ黒雷が走る。


「くそっ!!」


——ザンッ!!——


蒐が右腕を斬り落とす。


——バヂィッ!!——


——シュゥゥッ——


「…………」


——ギュアッ!——


斬り捨てた腕を影で再生する。


——バヂヂヂヂヂッ!!——


黒が他の影へ蠢く。


影を喰い尽くす。


「…………」


蒐が見る。


消えた影。

自分の腕。


「……なるほど」


來の眉が僅かに動く。


「ほう」


「……くくっ」


蒐が笑う。


「そういうことかいな」


「気付いたか」


「嫌でも気付くわ」


——ズアッ——


再び影が広がる。


「触れたら」


蒐の瞳が來を捉える。


「喰われる」


「…………」


「なら——」


影が分かれる。


「喰わせたるわ」


「くくっ」


來が笑う。


「やってみろ」


——ドンッ!!——


蒐が消える。


「オラァァァッ!!」


影。

右。


——バヂッ!!——


黒雷が喰らいつく。


——ブチッ!!——


切断。


黒雷が囮へ流れる。


「こっちや!!」


左。


——ズァッ——


——バヂヂッ!!——


黒雷が喰らいつく。


——ブチッ!!——


「…………」


來の口角が上がる。


「小賢しい」


「褒め言葉や!!」


——ヒュンッ!!——


鋼糸。


「…………」


——ギュンッ!!——


來の足元を絡みとる。


——バヂッ!!——


「っ!!」


鋼糸へ黒雷が走る。


「それもかい!!」


——ブチンッ!!——


蒐が糸を切る。


——ドンッ!!——


來が消えた。


「——っ!?」


「遅い」


眼前。


——ブォンッ!!——


右手の刃が迫る。


「うおっ!?」


蒐が仰け反る。


鼻先を黒が掠める。


「っ!!」


——ガッ!!——


影が地面へ刺す。


身体を強引に引く。


——ズバァァァンッ!!——


黒雷が胸元を掠める。


「ぐっ!!」


——ズザァァッ!!——


「くそがっ!!」


蒐が転がる。


——ザッ!!——


即座に立つ。


「は……」


息が荒い。


「はは……前言撤回や」


笑う。


「この——」


來を見る。


「理不尽が!!」


「今更だろ」


「昔より酷なっとるわ!!」


——ドンッ!!——


蒐が突っ込む。


「オラァァァァァッ!!」


——ギュゴオォォォッ!!——


影が一点に収束する。


「影爪・冥っ!!」


——バヂヂヂヂヂヂッ!!——


來の黒雷が——

意志をもって喰らいつく。


「ずるっ!?」


——ブチッ!!——


——ブチンッ!!——


——シュゥゥゥッ!——


「まだや!!」


蒐自身が懐へ入る。


「…………」


來の瞳が僅かに見開かれる。


「この——」


拳が迫る。


「あほんだらぁぁぁっ!!!」


「くくっ」


來が笑った。


「それでいい」


——ガッ!!——


拳を受け止める。


「……っ!!」


「クソガキ」


「離せや!!」


「断る」


「ガキか!!」


「お前に言われたくねえ」


——バヂッ——


「…………」


蒐の顔が引き攣る。


握られた拳。


そこから——

黒雷。


「おい」


「ん?」


「ちょお待て」


「無理だ」


「待て言うとるやろぉ!?」


——バヂヂヂヂッ!!——


「こんの——」


「すまん」


來が笑う。


晴れやかに。


「まだ」


「…………」


「加減が分からん」


「ドアホォォォォッ!!!」


——ドォォォォォォンッ!!!——


黒が爆ぜる。


「がああああああっ!!」


骨が軋む。

肉が裂ける。


——ズドォォォンッ!!——


大地へ叩きつけられる。


「…………」


——パラッ——


灰が蒐の頬へ落ちる。


「…………」


身体が動かない。


「……なん……やねん……」


視界の向こう。


二振りの黒刀。


「…………」


遠い昔。


泥の中で見上げた。


一人の鬼。


『……ああなりたい』


力に魅せられた。


どんな力であっても——

惹かれる。


それが、鬼の性。


「…………」


だが、今。


目の前には——

最凶がいる。


「……ほんま」


蒐が笑う。


「ふざけ……とる……」


胸の奥。


灰色が消える。


黒に——

再び染められていく。


「…………」


目を閉じる。


「その顔に……」


息を吐く。


「粉もん……」


口角が上がる。


「ぶちまけたる……」


「聞こえてるぞ」


「聞こえるように……言ったんや」


蒐の目が開く。


「クソガキが」


「うっさい……火力バカが……」


來が笑う。


蒐も笑う。


意識が——

落ちる。


黒と影はもう——

灰色に染まることはない。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

『輪廻の瑕疵』は、毎日18:00に更新予定です。

※本作は「カクヨム」にも重複投稿しています。


もし「沙苗と來のコンビが良いな」「先が気になる」と思ってくださったら、

評価、ブックマークで応援いただけると、執筆の大きな励みになります。


そして、もうひとつの物語——

『SOUL TR@DE』も毎日18:00更新中です。


和風怪異とはまったく異なる、

魂と市場を巡る近未来ダークファンタジー。


あわせて楽しんでいただけたら嬉しいです。


今後ともよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。