↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻の瑕疵  作者: 朔來 織
~思緋紡ぐ鈍色の鎖~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
50/159

第五十話 終焉の咆哮

「……くくっ……」


典膳の肩が震える。


「くはははははっ!!!」


月夜に笑い声が響いた。


沙苗の拳が穿った胸。

傷口から、灰色の粒子が噴き出している。


「この痛みだ……!」


典膳が胸元を見下ろした。


「この痛みこそが……永劫の時を越え、私が求め続けていた真実っ!!」


「……典膳」


沙苗が拳に力を込める。

典膳は笑い続けた。


「いい……実に愉快だ!!」


——ゴォォォッ!!——


灰が傷口から溢れ出す。


「だが——」


典膳が顔を上げた。


「足りない……」


灰色の瞳が、沙苗を捉える。


「足りないっ!!」


——ズォォォォッ!!!——


灰が膨れ上がった。


「私に死を与えるには、決定的に足りないぞおぉぉぉっ!!!」


「……っ!?」


典膳の瞳から、色が消えた。


——ドクンッ——


灰色の奔流が、胸の奥から噴き上がる。


「沙苗っ!!」


來の声。


——ゴォォォォッ!!!——


灰が庭を呑み込んだ。


緋色の亀裂が塞がれていく。


「……やばっ!!」


沙苗が叫ぼうとした。


「……っ!?」


声が出ない。

身体が動かない。


指先から感覚が失われていく。


(何……これ……!?)


目の前が灰色に染まる。


「くっ……!」


來が刃を構える。


——ギギッ——


「がっ……ぐうっ……!」


腕が上がらない。


「何や……この重さ……!」


蒐の影が地面へ沈む。


灰が迫る。


逃げ場はない。


その時。


——ズガァァァンッ!!!——


巨大な影が、沙苗の前へ飛び込んだ。


「……シン!?」


原初の灰牙。

緋炎を纏った巨体が、灰色の奔流を受け止めていた。


——バチバチバチッ!!——


緋炎が弾ける。

灰が毛並みを削っていく。


シンは退かない。


「典膳よ……!」


黄金の瞳が燃え上がる。


「兄として……」


——グググッ——


四肢が地面へ食い込んだ。


「お前の狂気——」


灰がさらに押し寄せる。


「俺が、すべて飲み込んでやろうっ!!!」


「シンっ!!」


沙苗が手を伸ばす。


「やめ——」


——ゴォォォォッ!!!——


シンの緋炎が膨れ上がった。

灰色の奔流へ食い込む。


「グゥゥオオオオオオアアアッ!!!」


原初の灰牙が咆哮した。


——ズガガガガッ!!!——


緋色と灰色が衝突する。

シンの身体から、光が溢れた。


「……嘘……」


沙苗の瞳が揺れる。


シンは退かない。


灰を受け止めながら——

自らの存在を燃やしていた。


「シンっ!!」


聲が戻る。


「シンーーーーーッ!!!」


——ドォォォォォンッ!!!——


光が弾けた。


視界が白く染まる。


音が消える。


伸ばした手も。


典膳の姿も。


シンの背中も——

見えなくなった。


すべてが、眩い灰へと還っていく。


そして——

世界は、白濁した静寂に包まれた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

『輪廻の瑕疵』は、毎日18:00に更新予定です。

※本作は「カクヨム」にも重複投稿しています。


もし「沙苗と來のコンビが良いな」「先が気になる」と思ってくださったら、

評価、ブックマークで応援いただけると、執筆の大きな励みになります。


そして、もうひとつの物語——

『SOUL TR@DE』も毎日18:00更新中です。


和風怪異とはまったく異なる、

魂と市場を巡る近未来ダークファンタジー。


あわせて楽しんでいただけたら嬉しいです。


今後ともよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。