表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻の瑕疵  作者: 朔來 織
~思緋紡ぐ鈍色の鎖~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/52

第三十九話 味のある団欒と灰色の縁

「死ぬかおもた……地獄より地獄やった……」


「真理だな……味があるというのは……」


命からがら地獄の牛鍋を脱した蒐と來が、柚の作った本物の牛鍋を啜る。

二人はようやく戻ってきた魂の抜けた声で呟いた。


その隣では、紅葉が自分が作った小鍋を、ハフハフと愛らしく頬張っていた。

その平穏こそが、今の彼らにとっては奇跡に近い。


「いい酒だ。悪くない」


シンだけは、何事もなかったかのように『鬼殺す』を喉に流し込んでいる。

その横顔は、百戦錬磨の侍のそれだった。


「……それで、あんたたちはこれからどうすんだい?その灰色の世界とやらを」


柚が、山積みの空皿を片付けながら、極めて日常的な声で尋ねた。


「あたしの緋色で灰色の世界と真っ向から向き合うだけよ」


沙苗が自らの掌を見つめ、静かに応える。


「そのためにも、何が理由で灰色という色が生まれたのか……それを調べる必要があるわ」


戦うべき敵の正体を知らぬままでは、いずれその色に呑まれる。


「兄さんの書斎に行く必要があるわね」


朱禰が、酒杯を手元で揺らしながら言葉を継いだ。


「須藤家の緋色……灰色と戦う宿命を課せられているのには、明白な理由がある。兄さんなら、必ず何かを遺しているはずよ」


沈黙を守っていた來とシンが、示し合わせたかのように同時に、ある名を口にした。


『……須藤典膳……』


「須藤典膳……?誰です、それは」


蒐がいつもの軽薄さをかなぐり捨て、二人の異様な気配に問い返す。


來の端正な顔に、深い憂いと、拭いきれない痛みが宿る。


「……須藤典膳は」


シンが、絞り出すように言葉を紡いだ。

その瞳には、数百年の時を経てもなお色褪せない後削が滲んでいる。


「……俺が、須藤信鷹という名の人間として生きていた頃の主君であり……俺の弟だ」


灰色の謎。


その深淵には、シンの人間としての過去が横たわっていた。

それは、來がヒトに興味を持った色とも重なる。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

『輪廻の瑕疵』は、毎日18:00に更新予定です。

※本作は「カクヨム」にも重複投稿しています。


もし「沙苗と來のコンビが良いな」「先が気になる」と思ってくださったら、

評価、ブックマークで応援いただけると、執筆の大きな励みになります。

今後ともよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ