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神官は神に舞を捧げる  作者: 但馬ほずみ
番外編その2
77/77

セナとササラ 5

最終話です。

 半年間は意外に短かった。


 結婚式の準備だけでなく、新居の準備もある。今までは神殿内の、男女別寮にそれぞれ住んでいたが、結婚後は敷地内の家族用一軒家に住むことになるのだ。

 ササラは経験者であるカルラに教えを請うた。家に大きな家具はついているので、買わなくていいこと。食器は、結婚祝いにいただくことが多いので、最小限に。今までは共同だった洗濯や浴室関係の消耗品を買うこと、など経験者の意見は非常にありがたかった。


「とにかく、買う前にリストを作ったほうがいいわ。そうそう、お料理はするの?」


「はい、一通りは」


「そう、わからなかったらリスト作ろうかと思ったけど、調理器具は自分の好みでね」


「ありがとうございます」


 カルラの心遣いに、胸が熱くなる。夫のライト神官もセナに助言してくれていると言う。みんなに助けてもらって幸せだなあと思うササラであった。


 カサネは、ラウに住んでいるため直接手伝えないのを非常に悔しがった。そこでと言うわけではないが、連日手紙を送ってくる。これがいいと思う、あれはどうかなあ?と一生懸命意見を書いてくるのだ。ササラも最初は毎日返信していたが、どうにも時間が取れなくなり、4~5日に一度の返信に落ち着いた。カルラの手紙に結婚への憧れを感じ、セナにそう言うと、う~んと考え込まれた。


「あいつの子どもの頃の夢は、お嫁さんだったからなぁ」


 自分のために神官になり、色々あった結果、今現在結婚をあきらめているように見える妹に、セナも思うことがあるのだろう。ため息をつく婚約者の腕にササラはそっと手を添えた。


「カサネの夢がかなうように私達もお手伝いしましょう」


「…うん、ありがとう」


 セナはササラを愛しいと思う気持ちが大きくなるのを感じるのだった。



 結婚式まであと2ヶ月というところで、カサネとスオウがやってきた。結婚式の手伝いも目的の一つだが、メインは衣装合わせであった。女王陛下との約束で、結婚式とは別の日に舞を奉納することになったのだ。女王が大張り切りでそのための衣装をあつらえているのだという。ちなみに、結婚式での舞の衣装は大神殿にあるものを拝借することになっている。

 カサネとスオウは人気者で、女王陛下以外にもあっちこっちに呼ばれていて、ササラがカサネとゆっくり話せたのは、ラウに帰る前の晩だけだった。


「次あうのは、結婚式だね~」


「ホント、早いわね」


「ササラがお義姉さんかぁ」


 カサネがため息をつくので、ササラは心配になる。


「私じゃイヤだった?」


「ううん!全然!!どっちかっていうと、あんなのでいいの?って感じ?」


「あんなの…」とササラは笑い出した。


「セナさんをあんなのって言えるのは、カサネだけよね。さすが、兄妹」


「う~ん、まあ色々あったからねぇ」


 カサネが遠い目をしてつぶやくのに、ササラは微笑んだ。


「あのね、カサネ。私はセナさんだったから受けたの。私を特別扱いしないで普通にあつかってくれたセナさんだったら、並んで一緒に歩いていけると思うの」


「ササラ…。お兄ちゃんのこと、よろしくね」


「うふふ、私こそ」


 未来の姉妹は、それから一晩中語り明かしたのだった。



 結婚式は、いい天気に恵まれた。大神殿は朝から大騒ぎである。神官同士の結婚式がここ大神殿で行われるのは、実は珍しい。大神殿に赴任する神官はその年齢から言ってたいてい結婚済みであった。

 神官学校卒業後そのまま大神殿に任官したエリート同士の結婚式、しかも、女王肝いりである。さらに、縁者である陽光ひかりの神官と琥珀の舞姫の祝いの舞が見れるとあって、人々が押しかけてきているのだ。


「もう!ササラの結婚式なのに!」


 カサネは朝からの騒ぎにちょっとお冠だった。当のササラは、にぎやかでいいわ、と笑っている。

 今日のササラは(というか最近ずっと)とっても輝いていた。中から幸せがにじみ出て、キラキラしている、とカサネは思う。儀式用の礼服に身を包み、お化粧を終えたササラはどこから見ても幸せな花嫁だ。


「ササラ、きれい」


 思わず零れ出た言葉に、ササラがカサネもよと微笑んだ。

 迎えに来たスオウと共に祭殿へと向かうカサネに、「よろしくね」と手をふる。おそろいの舞用の衣装を着た二人のほうが新郎新婦のようで、ササラはこっそり笑った。


「あの二人が結婚するみたいだね」


 隣にたったセナが同じことを言うので、ササラは嬉しくて笑ってしまった。セナが不思議そうな顔をした。


「私も同じこと思ったの」


 そう言うと、セナも嬉しそうに笑う。



 

 2人の結婚式は、見ている者までもが幸せになるような笑顔の結婚式だった。

これにて、番外編も一応の完結とさせていただきます。

長い間、お付き合いいただきまして、ありがとうございました。

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