↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
273/302

初ジャンルのゲーム


「う〜ん……どうしたもんか……」


 ゲームショップを覗いてカチカチとマウスをクリック……。違う、ダメ。


 どーも私です!

 今回はなかなかゲーム探しに難航しております。というのも、イマイチ能力のイメージが湧いていないのも原因ですな。


 脱出するのにドンピシャな能力が思い浮かばねぇのね。


「お、このゲーム面白そう! ……いやいや、ダメだって」


 ちょっと興味を引くゲームがあったけど、面白そうでゲームを選んでる場合じゃなかったわ。あれだね、こういう時ほどやってみたいゲームが見つかるのって、テスト前に漫画を読みたくなる現象にちかいよね?


「むむむ、このゲームとかどうかな? ステルスゲーの一種……」


 ん〜、びみょい……。

 実際プレイして、思ったより能力に関わりそうな内容じゃなかったら目も当てられん……。


「はぁ、仕方ねぇ。『ストック棚』から選ぶか……」


 私は椅子から降りて、私の領域にある部屋の壁を押す。


「はいクルっとな……」


 壁が回って本棚のような物が現れる。

 その本棚にはゲームソフトのパッケージが並んでいた。


「う〜む、どれにするかなぁ?」


 うん、このストック棚と呼んでいる本棚は、私が今まで探してきた中で見つけた『このゲーム、こんな能力作れそうだなぁ〜』というゲームを並べているんだ。


「ま、悩んだ時のストックって感じだね」


 つまり未プレイではあるのよ。こんな能力作れそうだから取っておこってことだから。

 まぁPVを見てだから、実際ゲームをやってみて全然違うってこともあり得る。

 まぁそれでも、闇雲に探し回るよりマシかなってね。


「……これ……かな」


 並ぶゲームパッケージを指でなぞって、ある一ヶ所で止まる。そのまま指で棚から取り出すと、黒っぽいパッケージが顔を見せた。


「………………やりたくねぇなぁ」


 ボソリと本音を呟くと、手に持ったゲームがズシリと重みを持った気がする。


 いやね、やってねぇけど、別にクソゲーじゃないと思うよ。評価は高いし、シリーズとしては外伝も合わせると六作も出ている作品だ……。

 ……つまり人気のあるゲームです。


 じゃなんで渋ってんのって話なんだけどさぁ。

 人気はあるけど、実は私がやってないジャンルのゲームあるよね?


「それは……『ホラー』です……」


 ホラーゲーム、恐怖を題材にしたジャンル……って説明は不要だね。分かるやろ。

 そして私が渋ってんのも分かるやろ……。


 いつか手を出そうと思ってはいたけれど、こう……ね。いざ手を出すとなると腰が重くなっちゃうよね。

 気合いを入れないとプレイができん……。


 ましてや私はホラーゲームは初挑戦だし。


「まぁ今までのゲームもホラーっぽい描写はあったけど、恐怖を主軸においた物じゃなかったし……」


 製作者はどんな気持ちでホラーゲーム作ってんだろうね。『ビビらせてやるぜ!』『恐怖に落としてやっからなぁ!』って気持ちで作ってんのかな。


「……ヤンキーかな?」


 いや、分かってるよ。面白いからこそ人気なんだよね。でも、それはそれとして……


「怖えぇんだわ……」


 いままで触れてこなかったからこそ怖いんだよねー!


「まぁいい機会だ。ホラーのジャンルにも挑戦してみようじゃないか!」


 やってみたら意外と楽勝だって! 現実にもホラーみてぇなヤツいるんだから。キモノお嬢とか!

 

 それにゲームに罪はない。向こうさんもビビらすのがお仕事なんだから文句言っちゃダメよ。

 気合いを入れてゲームを起動!

 はいポチー!


 ドゥーンッ!!

『『カァウ“ェリ“ィミ“ッ——』』

 リセットボタン。

 私はゲーム机で腕を組んで俯く……。


「…………ビビらせんなよ何考えてんだ……」


 大音量に心臓飛び出すかと思ったわ……なんか手足痒いんだけど何この現象? 

 鼓動が落ち着くのを待って再度ゲーム起動。

 あ、ちょっと音量下げときますね。


 ジャンプスケアじみたオープニングだったけど、心の準備が出来てたから今度は驚かなかったぞ。


 画面には墨をぶちまけたような黒いタイトル。

 さぁ今回のゲームを紹介します!


『カ エ リ ミ チ』〜還り道〜


 であります。

 ナンバリングは初代と呼ばれるカエリミチ。正確にはそのリメイク作品だね。

 三世代くらい前の機種で出た本作だが、グラフィックやサウンドを一新して、より鮮明な恐怖体験を得られる一品らしい。

 ……何してくれんの?


「まぁ、はじめよか……」


 酷く重い指でニューゲームを押す。


 内容としては、カエリミチはステルスホラーに当たる。

 ステルスホラーというのは、主人公にあまり戦う力がなく。バシバシ敵を倒すというより、隠れたり逃げたりするタイプのホラーゲームだね。


「たぶん怖いのはステルスホラーの方か……」


 オープニングでわかる範囲のストーリーとしては、学校の帰り道に、いつの間にか異界のような場所に迷い込んでしまったって感じ。

 

 ちょっと不気味なのは、異界といっても普通の帰宅路にしか見えないところ。家もあるし普通の通路に見える。


 ただし、主人公の女の子からすると『知らない道』らしい。ここを曲がれば家に辿り着くみたいな場所でも知らない道に繋がっていて帰宅できないんだ。


「こう、日常を侵食してくる感じが不気味だね……」


 んで、本作はホラーなんだから、もちろん敵として怪異が存在する。それも多種多様な。

 夕暮れの路地を歩く主人公は、その怪異から逃げながら帰宅するってゲームだよ。


「お、操作できるようになった。うわ! なんだこれ!? 操作性悪いんだけど!?」


 3Dのキャラクターを走らせると、上手く動かせない。なんか方向転換がおっそい!


「いや、なんか聞いたことあるな……」


 ホラーゲームって、あえて操作性を悪くする作品があるらしい……。なんでそんなことすんの!? って話なんだけど、キャラクターが思い通りに動いてくれないことが演出らしい。


「あ〜、ちょっと分かるわ……」


 主人公の無力感や焦燥感を煽るのに最適ではある。


「うっわ……これ敵から追われたら怖いぞ……」


 よく考えられてんね。

 っと、さっそく怪異の登場。

 歌を歌いながらやってくる異形の影から逃げる。


「うわわ! 上手く操作できん! はやく方向転換せんかい! 躓いてんじゃねぇよ!」


 主人公は空き地の遊具に隠れてやり過ごす。

 まぁここまでがチュートリアルだね。

 本番はここから……このままでは怪異に見つからずに帰ることはできない。


「ということで、この作品の目玉となる要素が出てきます!」


『視界ジャック』

 お地蔵さんにお祈りをしたことで、一時的に主人公が得た能力だ。このゲームの目玉だね。

 視界ジャック……つまり、他人の視界を乗っ取ることができる。


 ゲームとしては、近くにいる怪異が見ている視界を覗くことができるんだ。

 それを使用して、怪異に見つからないように移動するというのが本作のゲームシステム。


 もちろんこの能力、万能ではない。


「ヒィイ!! 視界ジャック中に別の怪異が襲ってくるのは卑怯でしょ!」


 視界ジャック中は主人公は身動きが取れない。

 一度視界ジャックしたらクールタイムもある。

 そして視界ジャックは一度にできる怪異は一匹だけ……怪異は複数存在するので、視界ジャックで怪異の動向を窺っていたら一瞬で目の前に怪異が現れてゲームオーバー。


「いちいちゲームオーバーでビビらせにくんじゃねぇ!」

 


 ――――――――――――――――――――――――


 

「なるほど、ちょっとカエリミチの楽しみ方が分かってきたぞ」


 というより、ホラーゲームの楽しみ方かな?

 作り物だという前提で見れば、ドキドキハラハラの緊張感がクセになるね。

 自分に合った適度な恐怖体験を得られるんだ。


「ということで私には、すこぉ〜し恐怖が強いから調節しましょうね……」


 うん、これが言いたかった。

 ホラーの恐怖体験をあげるにはどうする?

 それは、部屋を暗くしたり音の臨場感を上げることだよね? じゃ逆に怖さを下げるにはどうする?


 そう、逆のことをすればいいんだよ……。


「ってことで領域の模様替えをします!」


 思いっきり明るくて、底抜けに賑やかに作り変えてやりましょう。はい、指パッチン!


 ピーピーポッポ! ピーピーピーピーポッポ!

 サンバである!


 私はサンバ踊りをしている群衆の中心で、カエリミチのプレイを始めた。

 

 ピーピーポッポ! ピーピーピーピーポッポ!

「おお! すごい! なんかあんまり怖くないぞ!」

 ピーピーポッポ! ピーピーピーピーポッポ!

「これこれ! これくらいなら」

 ピーピーポッポ! ピーピーピーピーポッポ!

 ピーピーポッポ! ピーピーピーピーポッポ!

 ピーピーポッポ! ピーピーピーピーポッポ!


「う る せ ぇ……」


 うん、限度があるわ。

 普通にプレイしよ……。


 ――――――――――――――――――――――――

 

 

「ゲームクリアぁ〜……」


 よし、今回の感想としてはねぇ。


「怖かったですはい」


 んでもねぇ。分かったよ。

 確かに面白いわ。

 視界ジャックの能力もホラーゲームと合わせるとこんなに怖いんだって思ったね。

 そしてね。謎解きもよく出来てる。

 視界ジャックを駆使して、頭を使ってギミックを解くのも感心しちゃうね。


「そして何より……達成感がハンパないわ!」


 恐怖からの解放感。これがホラーゲームの醍醐味と言ってもいいね!

 緊張状態から、全てを解決してゲームクリアをした時の興奮と快感は何物にも代え難いと感じたよ。


「これは確かにハマる人が多いのも頷けるね!」


 機会があれば別のホラーゲームを試してもいいかもしれない。それくらいには面白いわ。


「…………」


 う、うん。ちょっとヤバいこと考えちゃったよね?

 領域畑でダンジョン作ってさ……このカエリミチをゲームリンクさせたら……ホラーダンジョンできるね。


 感情も効率的に回収できそう……いや、切羽詰まるまで封印かな……。


 まぁゲームリンクは置いておこうね!

 能力開発と行きましょう。


「もう分かるね? 今回の能力は……」


『視界ジャック』だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
みんな思って言ってるだろうけど、 真正ホラーがホラーゲームを怖がるのは…
ヒトの視界で自分みたら・・・・ホラーぢゃね? ワンチャン、自爆エンドがwww
みんなツッコんでるけど、ホラーがホラーしてる頓知回だな。 監視カメラとリンクさせても上手く使えそう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。