迫り来る怪獣の足音
どーも私です。
ダンジョン乗っ取り作戦、成功と言っていいのではないでしょうか? まぁやったことは簡単ですね。マミィ〜のダンジョンでやったことの再現でごさいます。
外周部にあるキーポイントとやら、たぶんエネルギーを各所に送り込んでる場所だね。ここを幼女ちゃんと乗っ取った。
いやピンク船長が馬鹿みてぇに中央にエネルギー送り込んだからさぁ……外周部がスカスカにエネルギー枯渇しちゃってたよね。
それなら後はやること簡単だ。
エネルギーの枯渇した外周部は、私にとってダンジョンとは呼べない。つまり、私の『領域畑』が広げられる。
そして私の領域畑を設置した場所は、幼女ちゃんにとってダンジョンの枠から外れるらしい。そこを幼女ちゃんが乗っ取る……。
だから協力して外周部のキーポイントとやらを、幼女ちゃんと乗っ取って回ったんだ。
結構時間かかったけどね〜。
まぁ全部のキーポイントを乗っ取らなくてもいいから、その辺は優しかったけどね。
幼女ちゃんいわく、キーポイントって繋がってるらしいから。グルっと外周部の主要な場所さえ塗り替えれば、後はエネルギーの枯渇した外周部なんて自動で私達の物よ。
邪魔もいねぇし、マミィ〜のダンジョンよりずっと楽だったよ。
最後に大株玉が設置してあるこの司令室っぽい所を乗っ取れば完了。
やっぱピンク船長ってダンジョンにおいては素人だね。大株玉になんの細工もしてないから、幼女ちゃんに書き換えられたらしい。
そういや乗っ取ったエネルギーは何処から来てんだろうね? 幼女ちゃんにしか分からなさそう。
まぁ幼女ちゃんの欲しがってた大株玉も手に入ったし、ハッピーハッピーよ!
んでさぁ……。
「これ、なんの揺れッスかね?」
「……」
ズンッ……ズン……と地響きを鳴らす地面。
気のせいかな? どんどん音が近づいてきてるっぽいんだけど……。
「小悪魔ァ。お前らダンジョンに何をした?」
おっと、ピンク船長がブチ切れ顔のまま、私達を食いちぎりそうな口で聞いてくる。
え? 知らん……。
つか地響きもそうだけど、ピンク船長どうしようね?
今はこの断続的に起こる地震みたいな揺れを警戒してるみたいだけど、私達のこと殺す気満々だよね彼ぇ……。
「幼女ちゃぁ〜ん、アレどうする? キミが言ったんだよ、扉をロックして入ってこれないようにするってさ」
「……さすがにガラスをカチ割ってくるのは予想してない」
そっかー予想してなかったかぁ〜……。幼女ちゃんの想定よりピンク船長の腕力が強かったってことかな?
「ちなみにこの揺れって幼女ちゃん、なにか知ってる?」
「…………さぁ、知らないよ……小悪魔姉ちゃん」
…………ん?
「キミの予定だと混乱している隙に脱出だったよね? キミがやったんじゃないの?」
「………………混乱したら逃げようね小悪魔姉ちゃん」
やっぱ何か知ってんなぁコイツ! 視線逸らしやがったぞこの白ガキィ!
あとなぜ私を『小悪魔』と呼ぶ! お前もだろ!
はいコイツ間違いなく、私を切り離しに掛かってますねぇ……。
いや待て、冷静に考えろ私。
ピンク船長がやってきても、幼女ちゃんは逃げる姿勢も取らないで冷静だ……。
つまり、『混乱』は起きる。
まず間違いなく見てもこの揺れが混乱の元だろう……。たぶん、ダンジョンがぶっ壊れてる?
だけど、幼女ちゃんにダンジョンを壊す事なんて出来ないはず……。
ダンジョンの乗っ取りだって、実は一時的なもんだ……。奪った大株玉は幼女ちゃんの持つ天然コアに吸い込まれたし、ダンジョンを操ることもできないだろう。
なら……彼女は何をした?
「…………………………あ」
ズン……と、また地面が揺れる。
分かっちゃったかも……。
ズン…………ズン……ズンッ……
揺れの感覚は、どんどん短くなっている。まるで巨大怪獣が一歩ずつ歩く足音のようだ。
自然と汗がダラダラと流れる……ヤバい、ヤバいヤバいヤバい!
幼女ちゃんはダンジョンを壊す力なんてない……。
けど彼女は、ダンジョンを『ぶっ壊せる存在』を知っている……。
「幼女ちゃん……お前……やったな?」
「……がんばって小悪魔姉ちゃん」
クソッ! なんで私は早く気づかなかった!
最悪だッ!!
ピンク船長に幼女ちゃんがブチ切れて、人型の黒い靄を出したことあったよな。ドクンドクンいってた不気味なヤツ!
あれは謂わば『発信機』だ!
ズゥンッ! ズゥンッ! と怪獣の足音は近づいている……。
このガキ! ダンジョンをぶっ壊して混乱を引き起こすために、とんでもねぇもん呼び寄せやがった!
「ふざけんなクソガキ!! こんな所いられるか! 私は逃げさせて貰う!」
私はダッシュで走り出す!
「おい、今更逃げないでくれよ小悪魔ァ! オジサンもう立派な護送艦呼んじゃったよ」
慌てて逃げ出した私に、ピンク船長は気をよくしたのか狂気の顔で笑う。
「うっせバァーカ! お前に構ってる暇ねぇんスよコッチわ!」
三下が吠えてんじゃねぇよ! なんならお前も早く逃げたら!
ズゥンッ! ズゥンッ!
でも、どうやら私は一足遅かったらしい……。
ズガァアンと壁が爆発したような衝撃を受けて吹き飛ぶ……。
幼女ちゃんのように壁に小細工して穴を開けるでもない。ピンク船長のようにガラスを叩き割るでもない……。
ただ純粋に……暴力で……ダンジョンの壁を破壊して、真っ直ぐに向かってきた『化け物』
モウモウと粉塵舞う大穴の向こう側に、カツカツと破壊者のシルエットが浮かぶ……。
「…………いるわよね?」
粉塵が晴れて姿を現す化け物……。
シャン……と鈴のような錫杖を地面に突く……。
紫色の袴のような服を着た……。
「さっさと出てきなさい……小悪魔」
『祈りの巫女さん』だ……。
「エントリぃイイイイ!! ふざけんな馬鹿幼女が!!」
そら混乱起こるだろうよ!! でもソレって私、ものっそい危険じゃない!?
幼女ちゃんが出してた黒い靄は、ゴーストタウンで拾ってきたヤツだろ! 巫女さんはあの妖魔をアンカーとして追ってこれるもんねぇ!
『……まぁ、オバケ姉ちゃんなら……だいじょうぶだろ』
要らない信用が分厚い!!
ピンク船長よりずっとヤベェもん呼び込んでんじゃねぇぞボケがぁ!!
全部の感想に返したいのですが、ちょっと時間が取れそうになく、しばらく感想返しをお休みさせてください。
いつも感想をたくさん送って頂き、ありがとうございます! 暖かいお言葉に励まされ、本当に楽しみにしています。
書籍化の情報は、もう少しお待ちください。気長にお待ちいただけると幸いです。




