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開かずの扉


 どーも私です!


「んふふふ」

「……うひひ」


 ニコニコ笑顔の私達ですよぉ〜!

 幼女ちゃんとクスクス笑いながら天井を見上げておりま〜す。随分とご機嫌そうですか?


 そうですねぇ〜。そう見えます?

 横向けば幼女ちゃんと目が合い、そしてまたクスクスと笑っちゃうよね。

 

 ふふふ、幼女ちゃん。キミもそうだろ?

 私だってそうさ、言いたいことは一つ……。

 

「敵だ……」

「……外敵だ」


 アイツ(ピンク船長)は敵だ……。


 いやぁ〜、久々で私も感覚が鈍ってたよね。

 こりゃこのダンジョンの人員を温いって馬鹿にしてらんねぇな。

 

 最近は私達を積極的に害そうとするヤツってあんまりいなかったからね。ついつい敵かどうかの判断が遅くなっちゃったね。


 ぶっちゃけ、私たちからしたらコイツらのやってるダンジョンの縄張り争いとか、どーだって良かったんだよ。


 ピンク船長が勝ってダンジョンの侵略しようが、私達にとっては利用しているホテルの経営者が変わるようなもん。

 サービスが変わらないなら興味もない。


 でも明確に私達にとって、ピンク船長が危険人物だと分かったなら話は別だ。


「判断をしなくちゃいけない……」


 このまま漠然と待ち続けても、状況が良くなることはないだろうし無意味。

 だから私達は判断して、行動を起こさないといけない。


 まぁピンク船長ってたぶん、私達を壁に吹っ飛ばして拳銃で撃とうとしたけど、殺そうとまでは思ってなかったみたいだけどね。


 だって拳銃が足に向いてたからな。


「さて、どーするか……」


 といっても判断は二択で簡単だね。

『逃げる』か『否』か……。


 逃げるは分かりやすいね。

 アイツが敵で危険だから関わらないように逃げちまえばいい。


 そしてもう一つは復讐して逃げるだ。

 ん〜なるべく危険は避けたいところだけど……。


「……おのれピンク野郎。許さぬ」


 あ、はい。幼女ちゃんのオノレタイム入りました。

 久しぶりだね。そっかー復讐か。

 とはいっても最終的には逃げるんだけどね。


 復讐といっても私ら無力な幼女だからな〜。

 できることは限られるワケで……。


 チラリと牢屋を見渡す。


「なんとか幹部と連絡は取れませんかね?」

「難しいですわね」


 元ダン長達が話し合いをしている。

 ふむ、コイツらを利用するのがいいだろうけど、コイツら敗北後だからね〜。

 コイツらも何が出来んねんて話だよね。


「幼女ちゃん、どうす……うおっ!」

「……おのれ……オノレ」


 な、なんか幼女ちゃんの体から出てきた黒い靄が、人型を取ってんだけど……なにそれ?

 彼女の出した黒い人型は、ドクンドクンと脈打つ。


 き、キミ何しようとしてる?

 いや、なんかしようとしてんのは分かるんだけど、絵面が不気味すぎて不穏なんだけど……。

 ほら、元ダン長ズも気づいて、ビビったように距離取ってるし。


 う〜ん、彼女が何をしようとしているかは分からないけど、なんか出来るの?

 

 言ってないけどキミ……私と一緒で人工ダンジョンと相性悪いだろ。


 私がダンジョンで領域畑を広げられないように、キミも何らかの制限を受けてるの分かってるよ。

 正確には、幼女ちゃんがたまに生やす細いメタリックなビルの棒だよね。


 マミィ〜の人工ダンジョンでは、ダンジョンを剥がしてからじゃないと生やせなかったっぽいし。

 

 もしかして最近出すようになった黒い靄が相性悪いのかな……いや、天然コアの方か? 


「……オノレ……オノレ」


 やがてドクンドクンと脈動していた黒い人型は、幼女ちゃんに吸い込まれる。そして私の方を見て呟いた。


「……あヤベ……」


 なにがッ!?

 なんか失敗した時のセリフだよねそれ!


 幼女ちゃんは考えるように視線を上にあげ……


「……まぁ」


 私から顔を逸らした……。


「……オバケ姉ちゃんなら……だいじょうぶ……だろ」


 ほざけッ!!

 

「まて、お前マジ何した? それ私に危険が迫ってる時のセリフだよね。メッチャ怒るから話してみ?」

「……だいじょうぶだいじょうぶ…………わたしは」

 

「わーたーしーは!!」


 高らかにほざいてんじゃねぇぞガキィ!!


 何なのコイツ……私の体内に爆弾でも仕掛けたみたいな言い方しやがって。

 クソ、ダメだ。手で口を物理的に塞ぎやがった!


 チッ……こうなったら喋らねーな。

 まぁ、あのドクンドクンの人型が何なのかは分からんけど、今すぐにどうこうというワケではなさそうだし、放っておくしかねぇか……。

 まぁ彼女なりの奥の手とでも思っておこう。

 だいぶ危険そうだけど……。


「んで、これからどーするよ」

「…………そうだね」


 そう言って幼女ちゃんは元ダン長ズに目を向ける。

 幼女ちゃんに見られた彼らはビクリと震えた。


 ほら、お前が変な物体出すから様子おかしくなっちゃっただろ……。『あれ? コイツら本当はヤベェんじゃね?』って顔してんじゃん。


 幼女ちゃんはペタペタ歩いて、元ダン長たちに近づくと、見下すように静かに口を開く。


「……お前らは自分たちのダンジョンをうばわれた」

「そ、そうよ。だから何ですの?」


 高飛車女は腰が引けてるが何とか冷静に声を出す。


「……そしてお前らは自分のダンジョンをとりかえしたいと思っている」

「当たり前です。ですが我々にはもう何もない。ダンジョンは奪われ、株玉も奪われました。いや、株玉があったとて大株玉相手では太刀打ちできません……」


 淡々と無感情に語りかけてくる幼女ちゃんに、二人はゴクリと唾を飲み込んだ……。


「……じゃあ……なんで『アレ』をつかわない?」


 そう言って幼女ちゃんが指を指したのは……会議室に繋がっている扉……。

 コイツらのダンジョンに繋がっている赤でも、青でもない……三つ目の扉。ゴツくて厳重な鉄の扉だ。


「? あそこは開きませんわよ?」


 首を捻る高飛車女の言葉に、幼女ちゃんも顎に手を当てて首を捻った。


「………………もしかして、コイツらしらない?」


 そしてブツブツと呟きながら思考にふけってしまった。キツネ顔が口を開く。

 

「もともとあの扉は先代の作った、開かずの扉です。先代は何もないと言っていましたが」

「……そうか……わかった。わたしは勘違いしてた。アレはどっちの持ち物でもなかったんだ」


 幼女ちゃんはそのまま、当たり前のように牢屋の鍵を開けると顎で出てこいと促す。


「……ついてこい。ダンジョンをとりもどしたいなら」


 元ダン長達にとっての『開かずの扉』が白髪幼女の手により開かれる……。


 元ダン長たちは開かずの扉がアッサリと開いたことに目を見開いて呆然としていた……。


 ……すんません。

 その『開かずの扉』って初日に開かれてたんスよねぇ……。


 


 ――――――――――――――――――――――――



「き、キシシ! 彼女は既に作り上げていたんだ!」

「まさか……『大株玉』……ですの?」


 鉄の扉の先……しばらく歩いたその先で。

 

 ガラス張りのドームの中央に浮かぶ光る玉を見て、二人の元ダン長はガラスに手をつきながら呆然と呟く。


「そう……なのね」


 高飛車女は疲れたような、そして在りし日の先代の偉大さに座り込む。

 先代は作り上げたのだ。株玉から大株玉へと昇華させ、尚且つ株玉を二つ生み出して自分たちに分け与えていた。


 天才と呼ばれるはずである……。球体転車を考え、導入したのも先代だった。

 ……やっぱりワタクシにはダン長なんて無理ね。

 

「しかし大株玉といっても、たぶん規模は向こうの方が上ですね。ですが、これがあれば逃げる事が出来るかもしれません。そして幹部たちと密かに連絡をとるのです!」

「はっ、そうですわ。まずは幹部たちと……」


 そうだ。油断してはいけない。いくら同じ大株玉とはいえ、向こうの大株玉のほうが出力が上だ。

 これでダンジョンを取り戻せるワケではないのだ。

 ならばどうする? この大株玉はヤツの目から逃れ、身を隠すのに使用するのだ……。

 


『よかったッスねぇ〜……』

 

 

 そんな元ダン長の後ろで、長髪幼女の声が静かに響く。

 その口は三日月に歪んで、酷く不気味だ……。


『へぇ〜それが大株玉なんだぁ〜……』


 ペタペタと不快な足音を立てて、幼女が座り込む高飛車女の後ろに立つ……。

 長髪の幼女がニィイイと不気味に笑う。

 そして耳元で囁いた。


『……これで『仇打(かたきう)ち』が出来ますねぇ〜』

「……かたき……うち?」


 その言葉は……高飛車女の脳髄をグラグラと揺さぶる……。


「でも……これは……逃げるのに……幹部と合流してから……相談して……」


 長髪幼女は、座り込む高飛車女の後ろからソッと両手で目隠しをした。まるで現実から目を背けさせるように……。


『なぁ、使っちまおうぜぇ。相手はダンジョンの素人だろ? やれるってぇ……』

「「……」」

 

 子供の声で甘く甘く囁く……。

 高飛車女だけでなく、その言葉はキツネ顔の思考も歪ませる。


『悔しいですよねぇ? あんなピンク野郎にいいようにされて…………先代まで殺された……』

「「……」」


『先代だってきっと望んでいるでしょう。ほら? それを使って……』

「「……」」

 


『先代の『弔(とむら)い合戦』しましょう……ダンジョンを取り返すんです……』

 

 小悪魔が囁く……。


 長髪幼女が目を塞いでいた手を退けると……高飛車女の据わった目が現れる……。


「……ダン長の……仇」

「あの男から……ダンジョンを取り戻す……」


 二人の元ダン長が、復讐に目を曇らせる……。

 その視線は熱に浮かされるようにドームに浮かぶ大株玉に釘付けだ。


 二人の復讐者がここに誕生した……。



「アヒャヒャ……キヒヒヒヒ……さぁ頑張りましょうね。私達のために……ね」


 そんな様子を、長髪幼女はさも楽しそうに笑って見ていた……。


 


 そして、それを見ていた白髪幼女はボソッと呟いた。


「……契約したら破滅するタイプの悪魔」

「どうした悪魔の片割れ」



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― 新着の感想 ―
☓ 小悪魔 ○ 悪魔
マミィ死んで無いやん…流石小悪魔や人を誘惑して狂わせる 豚貴族が知ったら頭抱えそうw ママが知ったら?…小悪魔なんて居なかったんだよ?イイネ 笑顔で打ちのめされる未来しか見えないw
なるほど……大株玉が2つ……… ダブったなら1個要らないだろうし貰っていきますねフラグかな? 人の心があるならピンク船長の分、性能優先でもピンク船長の分を貰っていくんだろうけど、なんということでしょ…
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