表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/40

第34話 無骨な公爵の公開入札

裏で話が決まりすぎている時は、机を広場へ移すのが一番早い。


 ディートハルトが出した告知は簡潔だった。


『北方鉱区関連の供給契約、代行契約、鑑別補佐登録をすべて冬市前の公開入札と公開照会へ移行する』


 白銀宝飾商会にとって、これ以上嫌な書き方はないだろう。個室で握っていたものを、全部、人前へ引きずり出されるのだから。


 告知当日、領都の広間は商人と鉱夫で埋まった。ヘルミーネは笑顔のまま現れたが、口元だけ少し硬い。


「閣下、こんな大げさなことをしなくても」


「大げさなのは、私の名を使って代行契約を進めた方だ」


 短いが十分だった。


 私は壇上で、旧鉱区台帳と相続証控えを並べた。まずは入札ではなく、誰に入札資格があるかを確認する。権利を奪ったまま値をつけるなんて、帳簿としては最低だ。


「リーゼ・フェルナー鉱区、現名義再照会中。白銀宝飾商会による先行買い取り提案は保留」


 読み上げるたび、当人たちの顔色が少しずつ戻っていくのがわかった。


 ヘルミーネが口を挟む。


「私どもは冬を越えられない方へ現金を」


「だから先に紙を消したんですか」


 私は彼女の契約書を掲げた。余白に隠れた再取得権なしの条項。広間がざわつく。


 公開入札は、その場で供給先を決めるためのものではなくなった。誰が紙を曲げ、誰がその上に値札を置いたかを見せる場になっていく。


 ディートハルトが最後に言った。


「北方の石は、裏で安く取るものではない」


 華やかではない。でも、あの人が言うとそれで十分だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ