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第52章| 職場巡視の重要性 <8>リスクアセスメントをやってみよう その3

<8>



「化学物質による健康障害を大まかに分類すると『急性毒性による健康障害』、『皮膚または粘膜(眼・呼吸器・消化器)への接触障害』、『慢性毒性による健康障害』に分けることができます」



・・・・・・鈴木先生がそう言った内容は、私も教科書で勉強したことがある。




『急性毒性による健康障害』は、一時的に高濃度の化学物質を吸入したときに起こるもの。


『皮膚または粘膜への接触障害』は、化学物質の腐食性や感作性アレルギーによって、接触した場所に傷害が起きるもの。


『慢性毒性による健康障害』は、許容濃度など、ばく()限界値を超える濃度の化学物質に長期間にわたって繰り返し接した場合に発生するものだ。



職業上の理由で化学物質を扱う人では、どのパターンの健康障害も発生しうる。




「アセトンのSDS・・・・・・安全データシートを見るとこんなことが書いてある・・・・・・」間黒さんが言った。



-----------------------------------------------------------------------------------

2.危険有害性の要約

 GHS分類

 健康に対する有害性

  急性毒性(経口)区分外

  急性毒性(経皮)区分外

  急性毒性(吸入:ガス)分類対象外

  急性毒性(吸入:蒸気)区分外

  急性毒性(吸入:粉じん)分類対象外

  急性毒性(吸入:ミスト)分類できない

  皮膚腐食性・刺激性区分外

  眼に対する重篤な損傷・眼刺激性区分2B

  呼吸器感作性分類できない

  皮膚感作性区分外

  生殖細胞変異原性区分外

  発がん性区分外

  生殖毒性区分2

  特定標的臓器・全身毒性

  (単回ばく露)区分3(麻酔作用、気道刺激)

  特定標的臓器・全身毒性

  (反復ばく露)区分2(血液)

  吸引性呼吸器有害性区分2

-----------------------------------------------------------------------------------



「・・・・・・って、全然、読み方がわかりません!! 足立さん、コレ、どうしたらいいんですか~~!? 」



「え、えーっと・・・・・・・・・確か『区分』の数字が小さいほうが、有害性が高いって意味だったような・・・・・・」



「はい。GHS分類の『区分』には1~4の数字があり、数字が小さい方が危険・有害性が高いという意味です。ですからアセトンの場合、『眼に対する重篤な損傷・眼刺激性区分2B』『生殖毒性区分2』『(単回ばく露)区分3(麻酔作用、気道刺激)』『(反復ばく露)区分2(血液)』『吸引性呼吸器有害性区分2』などに特に注意を払いたいですね」



「注意を払うって・・・・・・! でも私たちは仕事にアセトンを使わなきゃいけない以上、接触をゼロには出来ないです!!! 足立さん、化学物質対策って・・・・・・注意を払う、気を付ける、だけでいいんですか?? そんなの、何もしないのと変わらないんじゃ・・・・・・」



顔に「??」と書かれたような顔になった間黒さんに迫られている私に、鈴木先生が耳打ちをした。


「足立さん、アレを」


鈴木先生の合図でピンときた。



今回のネイルサロン訪問で、もしかしたら使うかもしれない、と事前に教えられていたエクセルファイルがあった。


急いでPCを立ち上げ、そのファイルを開く。



「間黒さん、皆さん。()()が使えると思いますよ! 」



「『CREATE(クリエイト)-SIMPLE(シンプル)』・・・・・・里菜ちゃん、やるじゃない! 」

画面を見て、先輩保健師の持野さんが褒めてくれた。



「うーん。このエクセルファイル、選択タブが沢山ありますね~」


「これもしかして、ウチのネイルサロンでアセトンを使っている時の状況を、一個ずつタブを選択して入力するってコト? 」


ネイリストさん達が話し始める。


「はい・・・・・・。『CREATE-SIMPLE』は、あらゆる業種にむけた簡単な化学物質リスクアセスメントツールとして厚生労働省から公表・配布されているエクセルシートで、誰でもダウンロードができます。簡易的な化学物質のリスクアセスメントを行うのにはかなり使えるツールです。選択肢から回答を選ぶだけで、化学物質の有害性リスクを見積もることが可能なんですよ! 」



「間黒さんがおっしゃるとおり、アセトンの健康有害性リスクを知っても具体的な基準がなければ対策も曖昧になってしまいます。『CREATE-SIMPLE』では、化学物質ごとに定められた“ばく露限界値”、つまりほとんどすべての労働者が連日繰り返しばく露されても健康に影響を受けないと考えられている基準値や、“GHS区分情報に基づく管理目標濃度”と、このネイルサロンでの“推定アセトンばく露濃度”を簡単に比較することができます」



「な、なんか鈴木マネージャーの言ってることは難しくてよくわかりませんけど~、つまりこのエクセルファイルに私たちの労働環境を入力すると、このネイルサロンでアセトン濃度が基準値を超えてるかどうかを推定してくれるってことかしら?? 化学物質の健康影響は気になるし・・・・・・とにかく一度、『CREATE-SIMPLE』に入力してみますか! 」



間黒さんの促しで、入力作業が始まった……。



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