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第52章| 職場巡視の重要性 <7>リスクアセスメントをやってみよう その2

<7>



鈴木先生が言う。


「『危険性』のリスクアセスメントには色々なやり方があります。“マトリクス法”、“数値化法”、“コントロール・バンディング”、“災害のシナリオから見積もる方法”など・・・・・・。しかしいずれにも共通する流れは、『危険性を特定したうえで』『その発生確率と重篤度を想定し、リスクを見積もり』『リスクの見積もりに基づくリスク低減措置内容を検討すること』。

今、間黒さん達はアセトンの引火性が高いという危険性を知った上で、起きやすい事案を想定し、結果の重大さと取り得る対策を検討しているので、これはまさに『危険性のリスクアセスメント』のはじめの一歩です。しかし会話だけでは漫然としてしまいますし抜け漏れがでやすいので、出た意見を作業工程や化学物質ごとに、こういった用紙にまとめていくと分かりやすいのです」



「『リスクアセスメント実施一覧表』・・・・・・。こういうのがあると確かに便利ですね! 」



「以前にも話しましたが、リスクアセスメントの主体は産業保健スタッフではなく、あくまで事業者です。しかし事業所メンバーにリスクアセスメントの知識や経験がないと、リスクアセスメントで何をしたらいいか、場合によってはリスクアセスメントをする必要があるかどうかさえ分からず、放置されていることもあります。

また多少は化学物質の危険性・有害性に気付いていたとしても、現場では当初の想定とまったく違う使われ方をしていたり、作業員が慣れてしまって危険有害性に気付かない場合もあったりします。

それでは従業員の安全と健康を守れませんから、産業保健職の立場からも、適切なリスクアセスメントが行われているのか、問題なく化学物質が管理され使われているのか、訪問時に職場巡視で確認しておくとよいでしょう。全くリスクアセスメントが行われていない事業所では、こういったまとめ用シートのひな形を共有して差し上げたり、関係法令を一緒に確認したりすることも大切です。

ところで今日ここに来て僕の目から見て気になったのは、あの、アセトンを湯煎して使っているというボウルなんですが・・・・・・・・・」



その時、ネイリストの一人が言った。



「でもアセトンの害って、引火性だけじゃないんですよね?? このラベルや安全データシートを見ると、人体に影響があるってことも書いてありますよ」



「足立さん! アセトンが人体に悪影響を及ぼさないようにするには、どうしたらいいんですか!? 」

間黒さんが助けを求めるような視線を送ってきた。




「えっと・・・・・・・・・そ、それはですね」



「そこは僕が代わりにご説明しましょう」

鈴木先生が答えてくれた。

「『有害性』についての対策も、安全データシート(SDS)を活用すると比較的簡単に分かります。SDSには必要な項目が簡潔に載せられていますよ」


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