第52章| 職場巡視の重要性 <2>ネイルサロンでネイルサービスをしてもらうの巻
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「いらっしゃ~い」
相変わらずとても狭いネイルサロンの店内を見回すと、今日はもう閉店していて、お客さんの姿はなかった。店長の間黒さんは机の上を片付けていたところのようだ。他のネイリストさんもまだ、居残っている状態だ。
「今日はわざわざすみません、何度も訪問してしまって・・・・・・」私が頭を下げると、間黒さんが笑った。
「いいえ~。もとはと言えば、私たちが健康相談しちゃったんですから。で、今日はネイルサロンの仕事が知りたいということで・・・・・・せっかくだからネイル、していきますよね? 」
鈴木先生が後ろから言った。
「その件ですが、事前に木須社長とコンタクトを取っています。再訪問させて頂く際、職場状況や作業手順の確認を兼ねて、持野さんと足立さんのお二人に無料でネイル施術をしていただけるという話になりました」
「ええ。私も木須社長からそう聞いてます。さっ、どうぞお座りください~~」
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店長の間黒さんに促されて、持野さんと並んでネイルサロンの椅子に座った。
「うふふ。私いまジェルネイル付いてるけど、そろそろ根本が伸びて来てるからタダで塗り替えてもらえるならありがたいかも♥ 」持野さんが言った。
「じゃあ持野さんは、ハンドのジェル付け替えにしましょうか。足立さんはどうしますか? 」
「えっ・・・・・・えーと・・・・・・。そもそも私、ネイルサロンを使ったことがなくてわからないんですけど・・・・・・」
「あら、私が初めてのネイリストですか? 腕が鳴りますね~。あ、でも足立さんはちょっと手のお爪が短いですねぇ。長さ出しをすることもできますけど、自爪でやるなら、かなり短い仕上がりになってしまうかも。それでしたら、フットのネイルにでもしましょうか? フットならかなりハッキリしたカラーで遊んでもいいですし、初めての方でも抵抗が少ないと思います」
こんなことがあるとは思わず、私はちょうど昨日の夜、爪切りで手の爪を切ってしまったばかりだった。
なので、持野さんは手のネイルカラー塗り替えをしてもらい、私は何もついていない素の足の爪に、新しくカラーを塗ってもらうことになった。
ちらっと鈴木先生の方を見ると、部屋の片隅に座ってじっとこちらを見ている。
(な、なんかネイルサロンにいる鈴木先生って、圧迫感と違和感ありますね・・・・・・)
( “どうぞこちらには、お構いなく。続けてください” )
一瞬、目が合ったけど、そんなメッセージを送られた気がした。




