アカズのダンジョンと旧きもの25
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駈と蓮火の二人が部屋に戻ると。
その部屋にあるはずのものが何もなかった。
「ガレキが……」
「ない……?」
そう。
先ほどまでこの部屋では破壊が行われていたはずだ、天井の。
あれだけ盛大に崩壊する音がしていたのだから、その跡は残っているはずだと二人は思っていたが。
綺麗さっぱりそんなものはなかった。
嘘だったのではないかと思うほどである。
駈と蓮火が数時間前に部屋に入ってきた時のままだ。
天井がない以外は。
「おい、君たち」
原因を作っただろうリストが駈と蓮火に話しかけてくる。
駈はしょうがなく応対する。
「何です?」
「酷いじゃないか。わたしを置いていくなんて」
「あの状況だったら置いていかざるをえませんよ」
駈にしては恐ろしいほどの正論だった。
そう言われると、リストとしては何も反論できない。
「む、まあ、そうか」
「ええ。それに、リストさんほどの人だったら、あんなちっぽけな出来事でどうにかなるわけはないと思って、断腸の思いで部屋を出ましたし」
置いてきてしまった、という先ほどの言葉とは真逆のことを吐く駈。
「むう。わたしほどの人か」
「そうです。リストさんほどの人です」
「君は相変わらず口が回るね」
「何のことです?こんな現象を起こすリストさんがすごいというのは明らかなことでしょう?」
今度こそ自然に云えた。
リストさんがすごい(迷惑)というのは間違っていない。
駈は内心で、自分の演技力に自画自賛する。
酷い男だった。
「むう。ならよし」
「ありがとうございます」
リストに許しを得た駈はお礼を言う。
そこですかさず蓮火が疑問を挟んだ。
二人のコンビネーションだった。
「それよりもっ、先ほどと部屋の様子が変わってないんですが、どこにいったんですかっ?」
崩れた天井のことを言っているのだろう。
リストはすぐに分かった。
「ああ、あれはだな」
やおらに、リストは手を振る。
何もないはずのところにパカッと穴が空き、グネグネに歪んだ極彩色の空間が駈と蓮火の目に飛び込んでくる。
「ここにある」
惨状の結果がそこにあった。
「これを積み上げていけば、外へ出られると思ったんだが」
リストは右の人さし指を上へ差し、地上への帰還の方法を駈と蓮火に伝えるのだった。
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