袋の中で過ごす最後の日
僕はまだ林檎を両手で握っていた。
父さんが外から僕の名を叫んでいる。僕はさっき齧った林檎を噛み続け、聞こえないふりをした。
林檎を飲み込んだ頃、父さんの声は遠くなっていた。家が静かになったので、僕は扉の方を見る。それでも手の中にはまだ林檎がある。
しばらくして、扉が外から蹴破られた。
外からの足音。僕は顔を上げる。ちょうど二人の男が扉を通って入ってきたところだった。その前に、林檎をもう一度齧る。
二人はそこに立っていた。体は骨と皮ばかり。服はぼろぼろで汚れている。乞食のようだった。僕と父さんと同じだ。
一人が家の中へ入ってくる。もう一人は扉の前に立ったまま、片手で父さんの首を掴んでいた。
父さんの目が見開かれる。両手が男の腕を掴む。足が地面の上でばたつく。それでも父さんは叫べない。
僕はただ父さんを見ていた。目の前で絞められる父さんを。体が固まり、何をすればいいのかわからない。
家の中にいた男が僕に近づく。僕は後ずさりし、背中が壁に触れた。
男が手を伸ばし、僕の握っていた林檎を取る。僕は抵抗しなかった。男がその林檎を齧る。
くちゃ。
僕は男の口を見つめた。
「この子か」
父さんの首を絞めている男が僕を見る。
「名前はプエボか」
男はうなずくだけだった。その目は父さんから離れない。
父さんの動きが弱くなる。一度。二度。そして足が止まった。
僕は口を開いた。
「父さん……」
父さんからの返事はない。
林檎を食べた男が僕の体を持ち上げる。僕は蹴り、殴り、逃げようとした。
「離せ!」
男は何も返さない。扉のそばで袋が開かれ、僕はその中に入れられる。別の布が顔を覆う。大きな袋の中は暗くなった。
僕は内側から袋を開けようとした。手当たり次第に殴り、蹴った。それでも手は何も掴めない。足音だけが聞こえる。家から運び出されているのがわかる。
扉が開く音。冷たい空気が袋の隙間から入る。
「子供は入れた」
袋の外で足音が止まる。
「なら終わりだ」
別の足音が近づいてくる。
僕は動くのをやめた。
(僕が狙いだったのか)
わからない。それから二人が父さんのことを話し始めた。
「カルタム・プエボはどうする」
地面を擦る袋の音が止む。
「カルタムはもう死んだ……今運んでいる」
息を呑む。声は続く。
「後で死体を依頼主のところへ持っていけ」
僕は黙って聞いていた。カルタム・プエボは父さんの名前だ。父さんは殺された。なぜ怖いのかわからない。父さんはよく僕を傷つけた。帰ってこなければいいと願ったこともある。それでも父さんは死んだ。そして僕は殺した奴らと同じ袋の中にいる。
僕はもう一度暴れた。袋を蹴り、殴った。
「黙れ!」
その声が嬉しくて、僕はさらに強く蹴った。すると袋が激しく動き、僕はバランスを失う。体が浮き、何かに叩きつけられる。頭が痛む。それでも声は聞こえていた。
「まだ起きてる」
袋の外で誰かが動く気配。
「袋を押さえろ」
僕は動こうとした。体が重い。自分の目を開けることさえできない。足音と袋が地面を擦る音だけが聞こえる。
しばらくして、何かが僕の足を刺した。僕は跳ね、痛みにうめく。痛みが足から全身へ広がる。叫ぼうとしても声が出ない。血が足から流れる。
袋の中の僕は、また二人の声を聞いた。
「まだ死んでない」
冷たい声が袋の外から降ってくる。
「なら繰り返せ。確実に殺せ」
何をされているのかわからない。ただ、痛みが何度も来る。意識がある時もあれば、何も聞こえない時もある。意識が戻るたび、体は弱くなっていく。血が足、腹、胸、首、顔から流れる。
僕は痛みを考えないように数えようとした。途中で続けられなくなるまで。声は遠くなる。手も足も感じない。聞こえも悪い。
袋の中にどれくらいいるのかわからない。覚えているのは、袋の中で鋭いもので刺された痛みだけ。その後、すべてが暗くなった。
どれくらい眠っていたのかわからない。とても長い。家で過ごしたどの夜よりも長い。
目を開けると、すべてが明るかった。手を動かそうとする。動かない。足も動かない。口を開こうとする。声も出ない。わかっていることは一つだけ。もう袋の中にはいない。それでも動けない。顔の上に光がある。死んだのかどうかわからない。
前の出来事はとても短い時間に感じた。それなのに、その中で僕はとても長い苦しみを味わった。あの時は地獄にいるようだった。永遠で、果てしない痛みだった。
もう一度目を閉じたいと思った時、誰かの声が聞こえた。
「起きた」
誰の声かわからない。ここがどこなのかもわからない。その後、すべてが再び暗くなった。




