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前世で虐げられた少年は、転生後も人々を信じたかったが、裏切りを機に暴君への道を歩み始めた  作者: 塩見ヒモン


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10/15

触れる前に

朝、父は剣を持っていなかった。


庭の練習場の端、あの木の下に立って、両腕を胸の前で組んでいた。何かが終わるのを待つような姿勢だった。いつもなら父は兄の前に立ち、振り方を見せている。今日はただ立っているだけだった。


台所の扉から庭までの歩数を数えた。四十歩。あの木から的板までは、父の歩幅で十四歩。


部屋の引き出しの菓子は、朝のうちに新しいものへ替えられていた。誰が替えたのかは見ていない。誰なのかは分かっている。古い菓子はどこにも見当たらなかったし、誰もそのことに触れなかった。


ワイヴァーンが小さな弓を差し出した。井戸で頭から水をかぶったあとで、緑の髪がまだ濡れている。水滴が首筋を伝い、襟に染みを作った。


「緊張するな」


その声は低く、湿った空気に溶けた。


「父さんはただ見たいだけだ」


僕は眉をひそめた。どうして急に、という言葉が喉の手前で止まる。


「母さんが、お前は弓が打てるって言ったんだ」


ワイヴァーンは肩をすくめる。どうしてそんなことを、と思うが、口には出さない。


「打てないよ」


僕の声は自分でも意外なほど平坦だった。


「板に矢を刺せるじゃないか。俺が同じ歲のころよりましだ」


自分で言って満足したのか、ワイヴァーンはひとりで頷いた。それから僕の肩を軽く叩き、すぐに手を引いた。


「いいから、ちゃんと立て。足は開け。殴られるのを待つみたいな格好はやめろ」


足を開いた。弦を引く。腕が少し震えた。


一本目の矢は、大きく左へ逸れた。


木の下から、父は何も言わなかった。ただ小さな動きがあった。首をわずかに傾げる。頭の中で何かを書き留めるような仕草だった。


二本目は的板の端に刺さった。三本目はほとんど中心だった。


「惜しい」


ワイヴァーンの声は、僕よりも明らかに嬉しそうだった。彼は拳を握り、宙で小さく振った。


父の足音が芝生の上で聞こえた。数えなかった。的を見つめるのに忙しすぎた。それが間違いだった。


「肘が低すぎる」


声は平坦だった。腕を直すために、手が上がる。


何かを決めた覚えはない。


気づいたときには、膝が地面についていた。弓は手から離れていた。両腕が頭を覆い、背中が丸まって、上にある影に向かって、速くて硬い何かを待っていた。


速くて硬いものは来なかった。


自分の息が聞こえた。近すぎて、短すぎた。遠くで、木の剣が地面に落ちる音がした。ワイヴァーンだ。


耳の中で脈を数えた。ひとつ。ふたつ。


父の手はまだ宙にあった。腕の隙間から見えた。開いていて、指が少しだけ離れていて、動いていない。大きな手だった。指の関節には小さな傷跡がいくつも残っている。


その手は速く落ちてこなかった。壊れ物を下ろすみたいに、ゆっくりと下ろされた。


「ワイヴァーン」


父は振り返らなかった。その声は木の幹に吸い込まれるように低かった。


「剣を拾え」


ワイヴァーンの喉が鳴った。何か言いかけて、口が開く。


「父さん、俺は」


父の背中が、その言葉を遮った。


「拾え」


ワイヴァーンが拾い上げた。唾を飲み込む音が聞こえた。


父が膝をついた。重い膝が僕の前の地面に触れ、ズボンに埃がつく。彼のような人間が庭で膝をつくはずがないと、僕は知っていた。両腕で頭を覆ったままでも、それだけは分かった。


「ルシアン」


答えなかった。


「お前の肘に触る」


父は一拍置いた。風が木の葉を揺らす音だけが、その間を埋めた。


「肘だけだ。少しだけ」


昔はいつもそうだった。大人は先に触って、あとで説明する。あるいは説明しない。だから、聞かれるのを待った。


「いいか」


その言葉は、よそよそしく響いた。声を出さずに、頭を下げたまま頷いた。


手が肘に触れた。温かくて乾いていて、指の先はざらついていた。腕を指二本分だけ持ち上げ、それから素早く手を引いた。一拍だけ。


「そうだ」


父は立ち上がり、僕を見下ろした。その影が僕の顔にかかる。


「立て」


立ち上がった。膝は汚れていた。父はそれを払わなかった。


「顎まで引け。息を吐いてから離せ。吐く前じゃない」


それだけだった。なぜ膝をついたのかは聞かなかった。怖がらなくていいとも言わなかった。三歩下がった。三歩、わざと音を立てて下がり、待った。


弓を取った。


顎まで引く。息を吐く。


矢は的の中心に刺さった。赤く塗られた小さな円の、ちょうど真ん中に。


ワイヴァーンが叫び、すぐに口を手の甲で塞いだ。


「いい」


父の声は時刻を告げるみたいに平坦だった。それから振り返り、木の方ではなく家の方へ歩いていく。その背中を、庭を横切り、低い垣根を越え、一階の窓のところまで見送った。母がそこに立っていた。


母は見ているわけではなかった。片手でカーテンを握り、顔は半分、影に隠れていた。


父は窓の前で止まった。ノックはしなかった。ただ黙って少しの間そこに立ち、それから右手を二回、開いて閉じた。遠くから見えた。二回。


カーテンが動き、閉じた。


「ルシアン」


ワイヴァーンが隣に立っていた。木の剣は地面に垂れている。


「大丈夫か」


ワイヴァーンの声は少し上ずっていた。


「うん」


僕は短く答えた。それだけでは足りないと分かっていたが、それ以上の言葉が見つからなかった。


「父さんがまさか」


ワイヴァーンの声は途中で途切れた。何を言おうとしたのか、僕には分からない。


「お前のせいじゃない」


ワイヴァーンは首を振った。


「分かってる」


彼は気まずそうに首の後ろを掻き、靴を見つめた。


「でも、先に言えたよな。お前が急に触られるの、嫌だって。前から知ってたし」


答えなかった。靴の先で芝生を蹴る音だけが、僕の代わりに何かを言おうとしていた。


彼は少し迷ってから口を開いた。


「もう一回やるか」


その言葉に、僕は一瞬だけ目を上げた。木の下の父の背中は、もう窓の向こうに消えていた。


「もう一回」


ワイヴァーンは眉を上げた。


「本当に」


僕は弓を持ち直した。


「喋りすぎると、気が変わる」


ワイヴァーンは笑った。安心したような笑い方だった。両手を宙に上げた。


「分かった。分かった。黙る」


黙っていなかった。もちろん。でも練習が終わるまで、彼は僕の肩から離れて立っていた。僕が頼んだわけではない。


夕方、僕は読書室の床に座った。母の椅子のそばだった。母は昨日と同じ本を開き、読み聞かせるでもなく、いつもよりゆっくりとページをめくった。


そのページには、川辺に立つ鹿の絵があった。角の形はもう覚えていた。


母の手が下りてきた。ゆっくりと、僕の視界の端を通って。頭にすぐ触れはしなかった。宙で止まる。長いこと、近いところで、僕自身が決められるように。


僕は退かなかった。


一本の指が髪に触れた。軽く、それから待った。


次のページまで、そうさせておいた。


夜、食卓に集まったとき、父はいつもどおり先に座っていた。収穫の話も、商人の話も出なかった。


両手をテーブルに置いた。手のひらを下にして、開いて、見えるように。それからスプーンを持ち上げた。


食事の間、ずっと見ていた。


塩に手を伸ばすとき、手が動く前に、父は低く言った。


「塩を取る」


母は振り返らなかった。ワイヴァーンはスープに集中しているふりをした。


カップに手を伸ばし、言った。


「カップ」


誰も笑わなかった。


僕は皿に目を落とした。パンがあった。丸ごと、小さな皿の上に。二つに割った。また二つ。いつものように袖にパン屑が入った。誰も見ていなかった。あるいは、見ていると言わなかった。


テーブルの向こうで、父の手がスプーンの上で止まった。大きく、開いていて、とてもゆっくりだった。


それから三度の食事の間、父は一度も、前もって告げずに手を動かさなかった。


僕はそれを数えた。皿の上のパン屑と同じように、数えなければ消えてしまいそうだった。木の下に立つ父の背中を、窓の向こうの母の手を、ワイヴァーンの揺れる緑の髪を。全部、数えた。数えるたびに、何かがひとつずつ、確かに変わっていく音がした。

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