↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Breakgod  作者: 風雅 白眉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/23

第19話 這いよる黒い影

◇◇◇


 脱走が発覚したのは、夜明けだった。


 ヨトゥン・ヘイムの警備担当者が、定期確認の際に気づいた。


 三つのセルが、空だった。


 結界は維持されていた。外側から破られた形跡はなかった。しかし三人がいなかっ

た。


 緊急通信が、帝国情報部門に届いた。


「ヨトゥン・ヘイムより緊急報告。外法の者三名が脱走。確認時刻:夜明け前。脱走

手段:不明。現在の所在:不明。脱走者:操獣師ロキ、イビルドロー・スペア、黒魔装のクロウリー、以上三名」


 この報告が、ガインの元に届いた時、ガインは一瞬だけ目を細めた。


「ヨトゥン・ヘイムの担当は誰だ」


「ドノヴァン・フォーチュンです」部下が答えた。

「マジェスティック・ロード所属の召喚士です」


「ドノヴァンには連絡が取れるか」


「……現在、連絡が取れない状況です」


 ガインは沈黙した。


「三名を追え」ガインは言った。

「それぞれが別の方向へ動く可能性がある。同時多発の攪乱工作と思って動け」


「はい」


「ドノヴァンの捜索も同時に行え」


「わかりました」


 ガインは窓の外を見た。夜明けの空だった。


 ダゴンが動き始めた、とガインは感じた。


◇◇◇


 三名は、それぞれ別の方向に動いた。


 ガインの予測通りだった。


 ロキは北方へ向かった。ダゴンの波動に共鳴した魔獣たちを集めながら、各地を転戦し始めた。その動きは読みにくかった。一定のパターンがなく、帝国の追跡部隊が常に後手に回った。


 イビルドロー・スペアは西方へ向かった。目的地は、八大守護龍伎楽大隊の展開区域だった。タクシャカ隊が現在展開していた地域に向かって、密かに動き始めた。


 黒魔装のクロウリーは南方へ向かった。各地に罠を仕掛けながら、追跡者を混乱させ、追い払いながら移動した。


 ドノヴァン・フォーチュンは、単独でクロウリーの追跡を始めていた。


 連絡を取らずに動いていた。それが、ガインへの報告よりも早く動くための判断だった。


 封印を突破された責任を、自分の手で取ろうとしていた。


◇◇◇

 ロスタムは、この報告を受けた時、ガインの執務室にいた。


「三名が脱走した」ガインは言った。「各自が別の脅威となっている。帝国全体が動く必要がある」


「ロキ、スペア、クロウリー」ロスタムは繰り返した。「全員が超印六つ持ちか」


「そうだ」


「俺には五つしかない」


「数が全てではない」ガインは言った。

「お前の力の性質は、数で測れない」


「どこへ動けばいいですか」


「今は待て」ガインは言った。

「三名の動向が見えてきてから判断する。動きが読めない相手に、先に動いても無駄足になる」


「わかった」


「ただし」ガインは続けた。

「常に動ける準備をしておけ。いつ指示が来ても、即座に動けるように」


「はい」


 ロスタムは執務室を出た。


 廊下に出た瞬間、胸の奥の温かさが、微かに揺れた。


 いつもとは違う揺れ方だった。


 何かを警告しているような。あるいは、何かを予感しているような。


「……何かが来る」ロスタムはつぶやいた。


 それが何かは、まだわからなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。