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Breakgod  作者: 風雅 白眉


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第17話 次なる空へ

――――――――――――――――――

 エピローグ 次なる空へ

――――――――――――――――――


◇◇◇◇


 戦いが終わった翌日、エリナの元を訪れた。


「聞こえてきたぞ」エリナは言った。

「ツァド・クアが消えたと」


「そうだ」


「お前が決め手になったと」


「みんなで倒した」


「その中でお前が鍵だった、という話だ」エリナは言った。

「物質融合が暗黒想念を取り込んだと」


「そうだった」


 エリナは静かに頷いた。


「仮説が証明された、ということか」


「そうなるな」


「次の敵がいると聞いた」エリナは言った。

「ダゴン、と」


「そうだ」


「それについては……私の知識では足りないかもしれない」エリナは言った。

「しかし、やれることはある」


「続けて教えてくれるか」


「来るたびに教えてやる」エリナは言った。

「.....ただし」


「ただし」


「次は、もっと厄介な問題を持ってこい」エリナは言った。

「簡単な問いでは物足りなくなってきた」


 ロスタムは笑った。


「そうする」


◇◇◇◇



 帝国は、ツァド・クア撃破後の再建に向けて動き始めた。


 暗黒感染者たちの大半が、正気を取り戻していた。暗黒想念が消えた後、意識が戻った者が多かった。


 全員が外法として扱われるわけではなかった。


 帝国の判断が、少し変わった。


 意思によらない感染は、外法認定の対象外とする。そのような方針が、静かに、しかし確実に動き始めた。


 ロスタムはその変化を、クレイグから聞いた。


「……少し、変わった」ロスタムは言った。


「そうだな」クレイグは言った。

「しかし少し、だ。全部が変わったわけじゃない」


「少しずつでいい」ロスタムは言った。

「少しずつ変わっていけばいい」


「楽観的だな」


「そうかもしれない」ロスタムは言った。

「しかし……仲間のために体が動く人間は、楽観的な方がいいと思う。悲観的だったら、あの時動けなかった」


 クレイグは少しの間、ロスタムを見た。


「……そうかもな」クレイグは言った。


「ダゴンが来る前に、俺はもっと強くなる」ロスタムは言った。

「そのためにここにいる」


「当然だ」クレイグは言った。

「俺たちも強くなる。お前だけに任せるつもりはない」


「頼もしい」


「当たり前だ」


 二人は並んで、メタ・シャルマの空を見た。


 戦いの痕跡が、まだあちこちに残っていた。


 しかし空は、青かった。


 地球意思が、この惑星を守り続けていた。


◇◇◇◇

 その夜、ロスタムは一人でメタ・シャルマの外縁部に出た。


 空を見た。


 胸の奥の温かさが、いつもそこにあった。


「……ブリリアント・クイーン」ロスタムはつぶやいた。


 温かさが揺れた。


「あの時、支えてくれた。地球も、お前も」


 温かさが、大きくなった。


「次の戦いは、今日よりも難しい」ロスタムは言った。

「しかしお前と一緒なら、何とかなる気がする。根拠はないが」


 温かさが、笑うように揺れた。


「……そうか」ロスタムは言った。

「お前も根拠がないと思っているのか」


 温かさが、また揺れた。


 今度は、力強く。


「わかった」ロスタムは言った。

「根拠はある。ただ、まだ見えていない根拠が。見えない根拠を信じることが、俺たちの力になる」


 メタ・シャルマの空に、星が出ていた。


 ロスタムは空を見ながら、ダゴンのことを考えた。


 「飲み込む深淵」と呼ばれる存在。バルトが「戦えない」と言った存在。


 しかしダゴンは、次に会う時を楽しみにしていると言った。


 それはつまり、ロスタムに何かを感じたからだと思った。


 その何かが、次の戦いの糸口になる。


 そう感じた。


 ロスタム・ジークの物語は、始まったばかりだった。


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